フクロモモンガのくる病

 

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フクロモモンガは骨の病気が多い

くる病とは骨の病気で、主に幼体において使わわれる病名です。骨が正常に硬くならずに薄くなったり、曲がったり、骨折しやすい状態になります。成体では骨軟化症という病名が使われます。

なぜなるの?

くる病はカルシウムやリンが骨に沈着しないため起こります。具体的な原因は、カルシウムが少ない果物や昆虫を主食にしていることが一番にあげられます。カルシウムが体に吸収するには、リンという成分との比率が大切になります。そして、ビタミンDがカルシウムの吸収を促進します。カルシウムだけでなく、他の栄養素も考えないといけません。

症状は?

骨が薄くなったり、曲がると、フクロモモンガでは、特に四肢と骨盤に異常が認められます。

フクロモモンガくる病

四肢が変形して、上手く歩けなくなり、這いつくばって歩くようになります。骨盤が変形すると、糞が出なくなり、便秘で苦しむようになります。これはある程度フクロモモンガが大きく成長してから見られることが多いです。カルシウム欠乏は、骨だけでなく、神経ならびに筋肉にも影響し、手足が震えたり、ピクピクと筋肉が動く症状がみられます。この状態になると死亡する可能性が高くなります。

検査は?

X線検査で骨の薄さと変形、骨折の有無などを確認します。

フクロモモンガ正常のレントゲン

正常のレントゲン写真

フクロモモンガのくる病のレントゲン写真

くる病のレントゲン写真

血液検査でカルシウムの値を調べることもあります。

治療・予防は?

治療や予防は簡単で、カルシウムを投与することです。単にエサをフクロモモンガ用ペレットに変更します。しかし、今までペレットを与えていないと、エサを切り替えることは難しいです。果物や虫しか食べないフクロモモンガの場合、栄養剤をエサに振りかけてください。

フクモモ栄養剤はコレがお薦め!

まずはこの栄養剤を使って!くる病心配ならばとりあえず使ってみましょう!

やばいな~という時はコレ!

くる病怪しいならコレ!液体タイプのカルシウムで、塩化カルシウム以外に吸収率の高い乳酸カルシウムが主原料。骨の代謝を助けるマグネシウムも配合され、飲み水に混ぜてください。

神経症状がみられた場合は、吸収が優れている注射でカルシウムを入れるべきです。死につながる可能性が高いので、早急に対応した方よいです。

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。