鋤鼻器
ヤコブソン器官(Jacobson’s organ)は嗅覚器官で、鋤鼻器(Vomeronasal organ)とも呼ばれています。ヤコブソンは発見者であるヤコプソンL.L. Jacobson(1783-1843)から命名されました。フェロモンの感知に役立ち、性行動や摂食行動、社会行動に関わる脳領域につながっています。構造や機能は、生物の種類によって異なります。ヤコブソン器官は動物種生物によって発達状況が異なります。ヒトでは胎児期には存在しますが、成長に伴って退化します。霊長類、コウモリ類、水生哺乳類では退化しています。ネコやウマなどの哺乳類は、興味深い匂いを嗅いだときに口を半開きにして上唇を引き上げる「フレーメン反応が見られます。鳥類、カメやワニでは鋤鼻器は消失しています。そして、ヘビやトカゲなどの有鱗目で非常に発達しています。口蓋に開口部を持ち、鼻腔の嗅上皮よりも主要な嗅覚器官となっています〔Barber et al.1974,Funk 1996〕。左右一つずつある鋤鼻器にあわせて口蓋の開口部も左右一対で、ヘビや一部のトカゲが二叉に分かれた舌を頻繁に出し入れしているのは、舌に付着させた空中の匂いの粒子をそれぞれ左右のヤコブソン器官に運ぶためです。
特にヘビは常に舌を動かしており、空気や地面などから、匂いを使って、その地域の環境における獲物や捕食者の存在を判断しています。アナコンダなど水中に生息するヘビでは、舌は水中で効率的に機能します。
動物看護師の教科書
カラーアトラス エキゾチックアニマル(爬虫類・両生類編) 緑書房
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参考文献
- Barber PC,Raisman G.An autoradiographic investigation of the projection of the vomeronasal organ to the accessory olfactory bulb in the mouse.Brain Res81(1):21-30.1974
- Funk RS.Biology.Snakes.In Reptile medicine and surgery.Mader DR ed.Saunders:p39-46.1996