仮性歯牙腫(オドントーマ)
仮性歯牙腫は、デグーにおいて比較的多く見られる疾患で、主に上顎の切歯およぼ臼歯が過剰に成長することにより、歯槽骨や周囲の組織に圧力をかけて呼吸困難や鼻の閉塞音を引き起こします。この病気は、真性の腫瘍ではなく、歯の過成長や炎症反応に関連する病態です。
原因
遺伝的要因 :デグーは生理的に歯が終生成長する(常生歯)ため、歯の成長が制御されにくい場合があります。
不整咬合 :固い餌を与えない、または咀嚼に必要な刺激が不足すると歯が過剰に伸びる可能性があります。
症状
- 呼吸困難:仮性歯牙腫が鼻道を塞ぎ、呼吸に影響を及ぼします。
- 食欲不振:食事を食べるのが難しくなるため、食欲不振が見られることがあります。
- よだれ:口内の異常が原因で、よだれが増加する場合があります。
- 顔や顎の腫れ:歯槽骨の拡大や炎症により、見た目で分かる腫れが生じることがあります。
- 目の突出:仮性歯牙腫が眼窩に影響を及ぼす場合、目が突出することがあります。
- 歯ぎしり:不快感や痛みを和らげるために歯ぎしりをすることがあります。
診断
- レントゲン検査:切歯の過長や鼻や顎の骨の変形を確認します。
また、呼吸が苦しくなり空気を飲み込むことによって鼓張症が起き、胃内にガスの貯留が見られることもあります。
- CT検査:より詳細に切歯の過長や鼻や顎の骨の変形を評価できます。
治療
- 内科療法
内科療法は仮性歯牙腫を取り除けるわけではないため、根本的な解決にはなりませんが、二次的に生じた炎症による鼻の気道の圧迫を減らし、
呼吸状態を改善する為に内服薬を使用します。
抗炎症薬:病変の周囲の腫れを引かせることで気道を確保し、呼吸を楽にします。
抗生物質:二次的に細菌感染を伴い、炎症を引き起こしている可能性もあるため、抗生物質を使用します。 - 外科療法
閉塞の原因となる腫瘍を根本的に切除し、気道を確保します。
鼻骨切除術:根本となっている腫瘍をドリルなどの切削します。この際、鼻骨の円鋸部(丸く切除した部位)は開存させたままにすることで
気道を確保します。