【病気】モルモットのバーバーリング(毛咬症/毛咬み)

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毛咬症

自分の毛を咬む毛咬症は、自らの被毛を咬む場合と複数で集団生活をしている同居個体から咬まれる場合があり、英語でバーバリング(Barbering)、自ら咬むことをセルフバーバリング(Self-barbering)と呼ばれます。モルモットでは比較的多く見られます。

原因

自らの毛咬症は、外部寄生虫やストレスが多いです。ストレスの原因は過密飼育や騒音、あるいは社交不足(退屈)、その他にも餌の繊維質やビタミン不足、そして、シラミやダニなどの外部寄生虫、膀胱炎や尿路結石、卵巣・子宮疾患などの基礎疾患でも起こります。自ら被毛を咬んでいると、毛咬みした部分の毛は短く不揃いになり、途中で毛が切れていますが、皮膚には炎症や痒みも起こりません。毛咬みが自己によるものであれば、口が届く脇腹や後半身に発生することが多いです。同居個体による場合は、社会的に優位個体が下位個体に支配の目的で行うことが多く、また母親も子の毛咬みをすることもあります〔Manning et al. 1984〕。このような時には、自ら口が届かない頭部などにも毛咬みが見られます。

モルモットのストレスの解説はコチラ!

診断・検査

特異的な毛の状態、飼育状況などから暫定的に診断し、皮膚検査で外部寄生虫ならびに感染症を除外します。

治療

治療は原因や発生要因を除去する必要がありますが、ストレスであると多くは特定できません。対応として、複数飼育であれば隔離をし、自らの毛咬みであれば、一時的にエリザベスカラーを装着すると発毛するのを待ちます。

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参考文献

Manning PJ,Wagner JE,Harkness JE.Biology and disease of guinea pigs.In Laboratory Animal Medicine. Fox JG,Cohen BJ,Loew FM eds.Academic Press.Olando FL:p149-177.1984

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。