【病気】カメの甲羅の脱皮不全(甲羅が白くなった)

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正常か異常か

「甲羅が白くなっている・・・・」、脱皮で古い甲板が付着しているだけのこともありますが、古い甲羅の長期付着は感染を起こすこともあります。

甲羅の脱皮

甲羅は年輪のように古い甲板が剥がれて新しい甲板が定期的に形成されます。カメの甲板は角質の角質甲板(麟板)と骨の骨甲板(骨板)という二重構造をしています。実際に剥がれる甲羅は角質甲板のみで、自然に浮いてきて一枚一枚剥がれます(部分脱皮)。甲板の脱皮は冬眠以外は、いつでも脱皮する可能性があり、年に1~3回くらい起こります。このような甲板の脱皮が上手くいかずに、遺残する状態を甲羅の脱皮不全です。

古い甲板が剥がれずに積み重なると、それが何重にもミルフィーユのように層を形成します。甲羅はくすんで見えたり、一部だけ強く付着している部分的に白色を帯びます。甲羅が乾燥していると、古い甲板が鱗状に浮いたように剥がれて見えます。

代謝性骨疾患(MBD)などで甲羅が変形していると脱皮不全も起こりやすくなります。

【解剖】カメの特徴(甲羅と首の曲げ方)の解説はコチラ!

原因

甲羅干しが足りない、不適切なライト

紫外線不足で甲羅の脱皮代謝に異常が見られますが、温度管理が不適切でも謝が低下して甲羅の脱皮が上手くいきません。

代謝性骨疾患

甲羅の骨板は骨と同様にカルシウムからできています。代謝性骨疾患(MBD)により甲羅が変形し、甲板の形が変形したり、甲羅が扁平になったり、縁が反ったりすることで、古い甲板が上手く剥がれなくなります。

カメの甲羅の脱皮不全

代謝性骨疾患(MBD)の解説はコチラ!

栄養のバランスが悪い

甲羅はカルシム以外に、特に麟板はアミノ酸であるタンパク質からできています。主食の餌がペレットでなく、エビが好物で偏食しているカメなどに好発します。

治療・対応

浮いた甲板であれば人が補助的に剥がします。しかし、無理に剥がすと、血が滲むこともあり、カメは嫌がるので少しづつ行いましょう。

カメの甲羅の脱皮不全

予防

甲羅がきちんと脱皮するように、餌の栄養のバランスをよく考え、水場と陸場をきちんとレイアウトし、甲羅干しあるいは紫外線ライトを照射するなど、水ガメの適切な飼育環境を見直して下さい。

まとめ

甲羅の脱皮不全は代謝異常で、カメが健康に育っていれば起らないです。何らかの問題が餌や照明などの環境に問題があるはずです。

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この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。