【病気】水ガメの水カビ病(皮膚が白い)

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白いのがフワフワ

四肢や頭の皮膚の一部がふやけたように白くなっている、ふわふわ綿や皮のような物がついているなどの異常が見られたら、細菌感染あるいは真菌(水カビ病)による皮膚炎の可能性が高いです。悪化すると皮膚の潰瘍や炎症を起こします。しかしながら、脱皮した皮や鱗がついたままの脱皮不全ということもあります。カメは甲羅だけでなく、皮膚も脱皮をしますが、水中にいる時とその脱皮した皮が分かりやすくなり、四肢や頸に半透明~白い皮や膜のようなものがヒラヒラと付着します。水槽内にも剥がれたふやけた皮や膜が浮いていますので、水槽の水の汚れが気になってから、この異常が発見されるケースも多いです。

原因

原因は以下の通りに色々考えられています。脱皮不全は水ガメではまれで、多くは細菌や真菌感染(水カビ)、あるいは水槽の壁や石などにぶつけたり、同居カメから咬まれて外傷を負った可能性があります。

  • 脱皮不全
  • 細菌感染
  • 外傷
  • 真菌感染(水カビ病)

脱皮不全

カメの皮膚も鱗なので脱皮を定期的に行います。部分的に小片の皮膚が剥がれますので(部分脱皮)、それが白く見えることもありますが、水槽内の水が極端に汚れるようなことはありません。冬眠以外はいつでも脱皮する可能性があり、年に1~3回くらいあります。

水ガメの脱皮

細菌感染

細菌感染は主に幼体に見られます。炎症を起こして、その部分が白く皮膚がふやけています。

外傷

水槽の壁や石など四肢を擦ったり、同居カメから咬まれて外傷を負って外傷を負います。四肢の擦過傷は、水槽内のレイアウトや陸場として置いているレンガなどで外傷を負った可能性が高いです。特に四肢の裏に発生する炎症では、水ガメが狭い水槽から外に出たいために、頻繁に四肢を動かして、水槽の壁をひっかくことで発生します(四肢の潰瘍性皮膚炎)。

真菌感染(水カビ病)

水カビはカメの免疫が低下することで易感染症になります。白色のモヤモヤの皮膚や物質が甲羅など体全体について発見されます。原因となる水カビは、ミズカビ科ミズカビ属(Saprolegnia)、ワタカビ属(Achlya)、アファノマイセス属(Aphanomyces)が多く、特にアファノマイセス属の水カビが検出されます〔Sinmuk et al.1996,Takuma et al.2011,鎌田ら 1998〕。

カメが生活する水中環境には真菌は少量ながら常在しますが、健康体ならば感染は成立しますせん。低水温や栄養のアンバランスなどでカメの免疫低下で感染が起こります。

診断・検査

顕微鏡検査で菌糸の確認をしたり、微生物検査で培養して検出します。

治療

細菌感染であれば抗生物質の投与や皮膚の消毒を行います。水カビであれば、抗真菌剤の投与や消毒を行います。いずれにせよ、水替えは頻繁に行い、衛生管理に努めて下さい。

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予防

水質が悪化しないように、水替えは頻繁に行って衛生的な管理をして下さい。また太陽光では殺菌効果があり、紫外線ライトにより脱皮が促進します。その他カメの免疫が低下しないように温度管理を行い、栄養のバランスの取れたペレットを主食にしましょう。

アカミミガメ

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まとめ

水カビは免疫低下で発症するものなので、カメの健康をしっかり保てる環境であれば、通常は起こりません。

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参考文献

  • Sinmuk et al.Aphanomyces infection in juvenile soft-shelled turtle,Pelodiscus sinensis,imported from Singapore.Mycoscience37(3).15:249-254.1996
  • Takuma et al.Aphanomyces sinensis sp.nov.,isolated from juvenile soft-shelled turtle,Pelodiscus.Mycoscience52(2):119-131.2011
  • 鎌田篤,廣瀬一美.ニホンイシガメ,Mauremys japonicaの皮膚糸状菌症について.水産増殖46(3):377-378.1998

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。