脚が弱い
小鳥の症状で、「脚が弱くなった」「脚に力が入らない」「脚をあげている」「止まり木に止まれない」など・・・よく聞くます。その原因は何かというと沢山あり過ぎて、特定の原因が正確に見つかることは少ないです。
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脚だけの病気でなく、全身性疾患で脚弱になることもあります。脚の麻痺や疼痛以外に、運動失調や体型の異常などでも起こります。
脚の疼痛の有無
脚を触って鳥が嫌がらないか確認して下さい。痛いと暴れたり、鳴いたりします。
骨折や関節炎であると疼痛を生じ、しきりに脚を止まり木から上げ下げをするようになり、動かすと「キッキッキッ」と鳴くようになります。重篤になると食欲や活動性も低下します。
麻痺は力がはいらない
脚の麻痺の確認は、鳥が人の指をつかむ力で判断します。
疾病分類
脚疾患
外傷
飼い主が誤って鳥を踏む、鳥自身が落下する、ケージの金網やおもちゃなどに脚を挟むといった事故により、外傷、骨折、脱臼、捻挫などが起こります。羽切り(クリッピング)している鳥に多く見られ、当然飛んだり、逃げたりする能力が落ちているからだと思います。他にもネコなどに襲わたり、同居鳥とのケンカでも起こります。基本的には外傷によるものは疼痛が見られます。
骨折
骨折すると脚を上げていたり、脚が変な方向に向いていることがあります。触ることが可能であれば、骨折部位がゴリゴリという感覚があります。X線検査で骨折は確認できます。
若鳥やくる病だと骨が柔らかいために、完全な骨折ではなく、若木骨折で曲がって折れていることもあります。
鳥の骨折の詳細な解説はコチラ!
脱臼
関節が外れてしまう脱臼は、骨折よりも少ないです。X線検査で診断されますが、関節が元の位置に戻ってしまうと分かりにくいです。股関節の脱臼では足が外転し、膝関節の脱臼では膝を曲げられずに伸ばした状態になります。可能であれば脱臼した骨を戻します。難しい場合は安静(ケージレスト)にて、脱臼した周囲の靭帯や筋肉の修復されるのを待ちます。脚は変位した状態で固定されることが多いです。
趾瘤症
炎症などで、趾裏の赤みや腫れがある状態を趾瘤症と言います。
初期はわずかに赤くなっていますが、疼痛もなく無症状です。進行するにつれ徐々に痛がってきますが、胼胝になって落ちついていることもあります。
関節炎
関節炎と言うと加齢で起こるイメージですが、鳥では発情による多骨性過骨症を繰り返し起こすことによって、膝や趾の関節に骨棘が出来たり、関節包への石灰沈着を起こします。必然的に慢性発情を呈すメスに多発します。X線検査にて変形した関節を確認しますが、鳥は病変が不明瞭であることが多いです。
変形した関節を元に戻すことは不可能です。原因である慢性発情を抑制し、進行を抑えることを治療方針とします。疼痛がある場合には、鎮痛剤を与えたり、関節のサプリメントも使用します。
痛風
痛風になると趾の関節が腫脹したり、黄白色の塊が形成されます(関節痛風)。進行すると基本的には痛みを伴い、脚を上げたり、嘴でつつくこともあります。
栄養性脚弱
シードが主食だと栄養の偏りにより、多発性神経炎や開張脚などの脚弱が発生しやすくなります。特に若鳥に多発します。
多発性神経炎(脚気)
足が麻痺したり、上げる姿勢が見られ、感覚神経麻痺および神経炎による痛みによって起こります。よく、止まり木からの落下後や飛翔後の着地後など、脚に衝撃が加わった後に発現することが多いので、飼い主は捻挫と勘違いをします。脚弱以外にも翼を下げたり、呼吸が速くなることがあります。
多発性神経炎はビタミンB1不足によって起こりますが、幼若鳥に多く発生します。ヒナは市販アワ玉にお湯で湯がいてさし餌していることが多いですが、これが原因なのです。アワだけでは必要な蛋白質とビタミンやミネラルを補うことはできず、また炭水化物やが多い種子のため、ビタミンB1の消費が増大して枯渇します。アワ玉に高品質なビタミン・ミネラル剤を加えたり、パウダーフードやふやかしたペレットを使用することが予防になります。
ビタミンBを投与し、餌も栄養の偏りがないペレットに切り替えます。ペレットを食べてくれない時はビタミン・ミネラル剤のサプリメントを使用します。
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開張脚(ペローシス)
両側または片脚が開いて伸びてしまう状態で、開張脚とも呼ばれています。ニワトリやアヒルで類似したペローシスと呼ばれる病態(栄養不足による腱はずれで開脚する)から、同じくペローシスと呼ばれています。
明確な原因は不明ですが、遺伝性疾患あるいは栄養性疾患と考えられています。多くの鳥で発生しますが、特にオウム目の雛に好発します。
大腿骨が内側に回転し、脛腓骨が外側に回転することで脚が開帳します。重篤になると、膝や足根関節の脱臼も発生します。胸で体重を支えて成長するため、胸の変形も起こり、呼吸が促拍します。成長期である雛や幼鳥であれば、テーピング固定にて矯正を行いますが、完治は難しいです。すでに若鳥にまで成長し、骨の成長が終わっている場合は矯正しても改善は望めません。
趾曲り
足の指のみが内側に湾曲した状態で、グ―とした感じです。ビタミンB2不足が原因と言われ、先天性奇形であるとの報告もあります。多くの鳥に発生し、目立つ異常ではないため、幼鳥時には気づかないです。指も短く、足全体が矮小なことが多いことから握力が弱く、止まり木から落ちやすくなります。特異的な治療法はありません。止まり木に伸縮テープを巻いて足底の保護を行います。
全身性疾患
全身性疾患で脚が弱くなることもあり、くる病・骨軟化症、脊椎変形/骨折、内耳炎、腫瘍、中毒など多岐に渡る原因が上げられます。脚だけでないためで、食欲や活動性の低下、また他の症状も併発します。
くる病・骨軟化症
くる病と骨軟化症は、全身の骨の変形で、全ての鳥に見られ、足や背骨が変形する病気です。カルシウムが少ない餌を与えられたり、産卵中にカルシウムが枯渇することで発生します。血中のカルシウム濃度が低下することで、神経の伝達や筋肉の収縮の障害が起こるために、全身がぐたーと脱力します。特に足の麻痺によって立ち上がれなくなり、脚弱になります。血液のカルシウム濃度の測定を行う必要がありますが、状態が悪いため血液検査はできないことが多いです。治療はカルシウム剤を投与します
腫瘍による麻痺
腎臓腫瘍や精巣腫瘍は、近くにある坐骨神経を圧迫して、脚弱を起こします。主にセキセイインコにみられますが、まれにラブバードにもみられることがあります。X線検査や超音波検査で腫瘍を確認します。治療法は摘出手術術ですが、リスクの高いです。
脚弱の鳥の管理
鳥は基本的にケージの中で止まり木にとまっていますが、脚が弱いことで止まりにくくなります。以下のような対策を考慮して下さい。
床への落下対策で柔らかいマットを敷く
鳥が落ちても怪我しないように、かつ糞や尿が落ちるので掃除がしやすい床敷に変えます。柔らかいティッシュやキッチンぺーパーを何枚も敷くとことで怪我の防止にもなり、掃除も容易にできます。
止まり木に包帯で巻く
弱い力で止まり木をつかむので、止まり木に柔らかい包帯を巻くと、鳥にとって少しの力で止まれます。
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包帯同士が付く自着性包帯なので包帯止めが不要で、手で簡単に切れ、おまけに水に強い。
座りやすい止まり木が良い
止まり木をつかむ力が弱いので、つかまなくてもよい休む場所を用意してあげましょう。巣箱だと発情するのも心配だし・・・ならば以下のフラットの木製の止まり木がお勧めです!
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小鳥のリラックスタイムに!体を傾けてゆっくり休めるリラックススペース作りに使える小鳥用木製止まり木です。
餌容器を鳥に近くに設置する
採食しやすいように、いつも鳥が止まっている止まり木の近くに設置して下さい。餌容器には餌は満杯に入れておかないと鳥は食べにくくなります。また、餌容器と止まり木がセットになっている商品もあります。
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ビタミン、カルシウムなどの栄養のバランスをよくする
栄養性脚弱が多発し、普段の主食が種子の場合、野菜なども好き嫌いがある場合は、サプリメントを与えましょう。
まとめ
脚弱は色々な原因で起こりますので、早期に対応すれば治るものもあれば、治らないものもあります。治らなくても、正しいケアーをすれば寿命を全うできます。
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