幼体に多発症
チンチラの幼体の脱毛って言ったら、大半が真菌症になります。皮膚の角質や被毛に感染する糸状菌です。
原因
糸状菌の病原性は弱いのですが、環境要因や栄養的要因、ストレスなどの免疫低下によって発病します。特にチンチラでは幼体に見られますが、若齢による皮膚免疫の脆弱性が発生要因になります。最も多く分離される糸状菌は、Trichophyton mentagrophytesです〔Ellis et al.2001〕。正常なチンチラでも約5%に無症状で常在しているという報告もあります〔Merry 1990〕。時にMicrosporum canis,M.gypseumが原因になることもありますが〔Ellis et al.2001〕、原因となる糸状菌で症状には相違は見られません。
感染
床敷の牧草などで同居のチンチラに感染しますので、注意して下さい。
症状
主に鼻や耳、目周囲、四肢、目の周りに、麟屑を伴う脱毛が見られます〔Hoefer 1994〕。進行すると皮膚の発赤や炎症が起こることもありますが、基本的に掻痒は痒ありませんし、食欲や元気にも影響しません。皮疹は見られずに不顕性のキャリアとして保菌者にもなりやすく〔Vangeel et al. 2000〕、他の動物や人へも糸状菌をうつすこともあります(人獣共通感染症)。
診断・検査
皮膚や被毛を顕微鏡で観察して糸状菌を確認したり、あるいは真菌培養を行って診断します。
治療
基本的に抗真菌剤の内服薬を投与します。皮膚糸状菌は角質と被毛に感染しているので、患部の剃毛した方が治りが早いです。
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チンチラは砂浴びを行うため、砂浴び用砂の頻回の交換、もしくは砂浴びをしばらく禁止するような対策も行わないといけません。チンチラのいるケージにも菌糸は残っているため、ケージなどの消毒も行います。
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参考文献
- Ellis C,Mori M.Skin diseases of rodents and small exotic ammals.Clin Am Exot Anim Pract4(2):493-542.2001
- Merry CJ.An introduction to chinchillas.Vet Tech11:315-322.1990
- Hoefer HL.Chinchillas.Veterinary Clinics of North America,Small Animal Practice24(1):p103-111.1994
- Hata Y,Amagai M,Naka W,Harada R,Nishikawa T.Two cases of Trichophyton mentagrophytes infection contracted from a hamster and a chinchilla.Nihon Ishinkin Gakkai Zasshi41(4):269-273.2000