【病気】ヘビの尿酸プラグ(圧倒的に多い便秘の原因)

発生機序

尿酸排泄するヘビやトカゲ(特にヒョウモントカゲモドキ)では尿酸が固まって、あるいは結石になって総排泄腔や腸管に蓋をするようにつまって便秘を起こします。このつまったものを尿酸プラグ(Urate plug)と呼ばれています〔Reavill 2010〕。

膀胱を欠くヘビなどでは、尿を逆蠕動で総排泄腔から腸管に移動して水分や電解質の吸収を行い、直腸~遠位結腸にかけて結石が特に形成されやすくなります〔Reavill 2010〕。脱水を起こすと、水分吸収が強くなり、硬い尿酸プラグが形成されて 便秘を起こします。

総排泄腔から腸への逆蠕動の詳しい解説はコチラ!

トカゲもヘビも、総排泄腔あるいはその頭側にある腸管の領域が膨らんだり、触診で硬い物が触知されます。X線検査では便秘と診断されがちです。

治療

尿酸プラグによる便秘の治療は比較的容易です。まずは、総排泄孔付近をマッサージして押して出したりします。または総排泄腔に潤滑剤を入れて(浣腸)マッサージをします。脱水が原因であれば、経口で水分を与えたり、状態によっては、皮下補液を行います。

参考文献

  • Reavill DR.Urinary Tract Diseases of Reptiles.Journal of Exotic Pet Medicine19(4):280-289.2010

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。