めちゃくちゃ多い!
ラットの肺炎は幼体に多発します。抗生物質などの支持療法で改善傾向はみられますが、完治しないことが多いです
原因
複数の病原体による感染で、慢性経過をたどることが多いです。一般的な原因は、肺マイコプラズマ (Mycoplasma pulmonis)で、実験動物のラットでは蔓延している状況です 〔中川 1984〕。肺マイコプラズマ (M. pulmonis)はマウスとラットに感染し、マウスよりもラットの方が症状が強く発現します。くしゃみや鼻水による空気感染を起こし、感染したら生涯にわたりマイコプラズマを排菌し続けますが、死亡率は低く、慢性化しやすい特徴があります。他にネズミコリネ菌 (Corynebacterium kutscheri)、気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)、パスツレラ(Pasteurella pneumotropica)、CARバチルス菌[呼吸器線毛付着桿菌](Filobacterium rodentium)、肺炎連鎖球菌 (Streptococcus pneumoniae)などが原因となり、ウイルスでは、ラット唾液腺涙腺炎ウイルス (Sialodacryoadenitis virus :SDAV)、センダイウイルス(Sendai virus)などが同時に感染します。症状の強さは感染する病原体の種類と数に比例しますが、尿アンモニアによる飼育要因や栄養不良などのラットの生体要因などが大きく関与します 〔斉藤ら1982、中川1984〕。

症状
初期感染では無症状ですが、発症すると、くしゃみ、鼻汁、呼吸促拍、体重減少、そして被毛粗剛になります。

肺炎が悪化すると、多く助かりません。このような感染症にかかるとラットは紅涙が多く見られます。

検査
肺炎の診断はX線検査で行います。

原因となる病原菌は、微生物検査で菌分離をしたり、遺伝子(PCR)検査や微生物検査を行います。

治療
基本的には抗生物質を投与します。肺マイコプラズマは、サルファ剤、テトラサイクリン系あるいはマクロライド系抗生物質が有効とされています〔中川 1984〕。マイコプラズマ以外にも感染していると、その病原体にあった薬を投与しないと治りませんので、筋分離を行って感受性試験をするとよいいです。ウイルスが関与していると抗生物質では効果が期待できません。免疫も大きく関与するため、サプリメントを与えたり、ネブライザー治療などで症状を軽減することは可能かもしれません。
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これがポイント!
- 原因となる病原体は一つでない
- ひどい肺炎になると死ぬ
- 原因をきちんと調べるには遺伝子検査しかない
- あった薬を投与しないと治らずに、こじれるだけ
参考文献
- 斎藤学,中山一栄,武藤健,中川雅郎.マウスおよびラットのMycoplasma pulmonis感染に及ぼすアンモニアガスの影響.Exp Anim31(3):p203-206. 1982
- 中川雅郎.総説マウスおよびラットにおけるMycoplasma pulmonis感染の診断と疫学に関する最近の知見.Exp Anim33 (2):141-149.1984