甲羅が割れた・・・専門獣医師が解説するカメの甲羅損傷

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割れちゃった!

カメが高い所から落下したり、車でひかれたり、犬にかまれるような事故で甲羅が割れる事故が起こります。水ガメだと水槽の掃除中にベランダから落下させるケースが多いです。

症状

甲羅が割れて、鱗板の下の骨板まで折れていることが多く、その隙間から内臓が出てしまうこともあります。

甲羅の損傷によって、肺や肝臓の損傷と出血が見られ、死んでしまうことも珍しくはありません。甲羅の端であれば、多くは命に影響することがありませんが、内臓の損傷などがあると、吐血や下血が見られます。歩かせてみて、普通に歩行をするようであれば、手足の骨折は除外できるかもしれません。

自宅での対処

甲羅が割れた場合は、割れた部分に土などの汚れがついているようであれば、水で洗浄して消毒をしておいて下さい。割れた甲羅の破片があれば、つなぎ合わせることができるので、かならず探しておいて下さい。

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器用な方であれば、割れた甲羅を一時的に結束バンドで固定してもらいます。

甲羅の端であれば、多くは命に影響することがありませんが、甲羅の中心の損傷であれば、肝臓の損傷や肺の出血が起こります。内臓損傷があると吐血や下血が見られます。歩かせてみて、普通に歩行をするようであれば、手足の骨折は除外できるかもしれません。

治療

元気があっても、内臓の損傷などの可能性もあるので、血液検査やレントゲン検査を行うこともあります。内臓の損傷や四肢の骨折などは、動物病院で血液検査やX線検査を行わないと判断できません。

甲羅の修復は、金属のワイヤーやプレートで止めたり、樹脂などで整復するなど、ケースバイベースです。もし、割れた小さい甲羅の破片があれば、そてらを上手く繋ぎ合わせます。水中で生活する水ガメでは防水のために最終的に樹脂で固定します。しかし割れた甲羅の部分に炎症がある時には、樹脂で整副する前に消毒などが数日必要な場合があります。最初は金属ワイヤーやプレートで固定して、最後に樹脂で固定するようなケースもあります。

金属プレート整復

 

樹脂整復

カメ甲羅損傷
カメ甲羅修復

  

複雑に割れた場合

カメの甲羅損傷

甲羅が一部ないです

カメの甲羅損傷
カメの甲羅損傷

無い部分にスポンゼルを詰めます。

カメの甲羅損傷

他の部分はとりあえず金具で仮固定します。

カメの甲羅損傷

無い甲羅の部分は自家移植片を切り出します。

カメの甲羅損傷
カメの甲羅損傷

切り出した甲羅移植片で埋めてから樹脂でカバーします。

カメの甲羅損傷

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これがポイント!

・甲羅が割れたらすぐに動物病院で受診
・時間がない場合は、エサの食べや出血の有無、歩行を確認
・割れた甲羅は綺麗にして消毒をする
・内臓まで損傷していると死にやすい

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この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。