フェレットのエストロゲン中毒~なったら死んじゃいます!

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自分のホルモンで死ぬ?

発情したメスを交尾をさせないと、発情が持続して命の危険にさらされてしまいます。野生ではオスと交尾をして、発情がおさまりますので、問題がありません。

なぜなるの?

卵巣があるメスのフェレットは、発情して交尾が行われなかった場合は排卵されず、発情が4~6ヵ月間続します。卵巣から女性ホルモン(エストロゲン)が持続的に分泌し、体に悪影響を及ぼします。エストロゲンは悪いホルモンではないのですが、高濃度で長期間分泌することがよくないのです。また副腎疾患により、エストロゲンが過剰に分泌することでも発生します。

どんな症状?

発情すると外陰部は腫大しますが、他に脱毛と造血器である骨髄の機能を抑制します。その結果、貧血(赤血球減少)、白血球減少、血小板減少などの再生不良性貧血を起こします。

フェレット貧血

貧血が起こると元気がなくなり、白血球減少になると感染が起こりやすくなり、血小板減少になると血が止まりにくくなり、胃や腸から出血して、メレナ(黒色の下痢)紫班(しはん)(皮膚からの微出血)が見られます。

フェレッ紫班

発情期して交尾していないメスの50%が発症し、30%が死亡します。

対策や治療はあるの?

発情してから1ヵ月以上放置するのは大変危険です。オスと交尾させるか、ゴナドトロピン放出ホルモンまたはゴナドトロピンの注射をすることで排卵を誘発させます。再生不良性貧血まで起こると、残念ながら大半はたすかりません。

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この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。