餌や玩具による摩耗、金属ケージの網をかむことで特に上顎の犬歯が折れることが多いです〔Nemec et al.2016,Eroshin et al.2011〕。犬歯の破折は単にエナメル質が破折して短くなっていることもあるが、露髄することで炎症性歯根吸収や歯根膜腔の拡大などの変性を伴うこともあり、歯髄炎を起こします。
歯髄炎は歯の変色を起こし、失活します。
根尖塔周囲膿瘍に進展する可能性があり、患歯の近くの頬が膨らみます。歯髄炎を疑う症例では抜歯が推奨されますが、しかし、上顎犬歯の抜歯後に上唇が下顎犬歯に巻き込まれることがあります〔Primožič et al.2021〕。
欠歯と過剰歯
先天的に下顎第二大臼歯が欠損している場合があり、他の肉食動物と同様に、第二大臼歯は進化の過程で失われるか、痕跡化するのではないかという推測があります。また、上顎第一切歯と第二切歯の間に最もよく見られる過剰歯がある場合もあります〔Johnson-Delaney 2008,2016、Nemec et al.2016〕。
健康な口には歯肉炎はありませんが、フェレットが1歳以上になると少量の歯垢が付きます。加齢的に歯石の量が増えて歯肉炎が起こると、歯茎が腫れてきます。初期では痛みもなく、無症状ですが、炎症が広がると出血も見られ、歯を支える歯槽骨が溶け始めたりします。正常な歯肉溝の深さは 0.5 mm未満ですが〔Eroshin et al.2011〕、進行すると深くなってきます。歯槽骨の破壊も進むと歯が動揺したり、抜け落ちます。歯周病は食生活が原因で、フェレットは餌を少量ずつ一日に何度も分けて食べます。夜中に起きて食べることもあるため、口の中は常に食べ物が付着した状態が続くため、歯石がつきやすいのです。幼体時はペレットはふやかして与えますが、大人のフェレットにも柔らかい餌や半生フードを与えていると歯石がつきやすくなり、歯肉炎が起こります。動揺歯では抜歯が必要となります。
Eroshin VV et al.Oral examination results in rescued ferrets: clinical findings.J Vet Dent28(1):8-15.2011
Johnson-Delaney CA.Topics in medicine and surgeryDiagnosis and Treatment of Dental Disease in Ferrets.Journal of Exotic Pet Medicine17(2):132‐137.2008
Johnson-Delaney CA.Anatomy and Disorders of the Oral Cavity of Ferrets and Other Exotic Companion Carnivores.Veterinary Clinics of North America: Exotic Animal Practice19(3):901‐928.2016
Nemec A,Zadravec M,Račnik J.Oral and dental diseases in a population of domestic ferrets (Mustela putorius furo).J Small Anim Pract57(10):553-560.2016
Primožič PK et al.Follow Up on Simple (Closed) Extraction of Fractured Maxillary Canine Teeth in Domestic Ferrets (Mustela putorius furo).Front Vet Sciy13:8:677680.2021