ハリネズミの精嚢腺疾患~オスの原因不明の血尿

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精嚢腺とは?

精嚢腺は膀胱の後ろにある一対の入り組んだ副生殖腺の一つで、げっ歯目では発達し、犬や猫などの食肉目にはありません。ハリネズミはげっ歯類ほどは発達していないが、それなりの大きさをしています〔Banan Khojasteh et al.2014〕。 精嚢腺は精液となる液体のかなりの部分を分泌します。

雄で血尿止まらない時は・・・

ハリネズミでは血尿の原因の一つに、精嚢腺過形成および炎症があげられ、精嚢腺はアンドロゲンに依存している可能性が高いです。もちろん、泌尿器の結石や炎症を除外する必要があります。しかし、近年になりハリネズミの精嚢腺疾患の報告も増え、巨大な嚢胞形成の例などもありまする〔Wooten et al.2022〕。

検査は?

理論的に精嚢腺は超音波検査で明確になると思われますが、内臓領域とも重なることから、CT検査が最も診断に有用です。精嚢腺の拡大や軟化・硬結などが認められ、炎症などが潜在していると診断されます。

参考文献
■Banan Khojasteh SM et al.Histological Study of the Prostate and Vesicular Glands in Eastern European hedgehog (Erinaceous concolor).European Journal of Physical and Health Education6(2).2014
■Wooten MT,Snider TAGastrointestinal obstruction secondary to seminal vesicle cystic hyperplasia in an African pygmy hedgehog (Atelerix albiventris).Vet Record Case Reports10(4).2022

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。