ハリネズミの鼻炎・肺炎

鼻炎・肺炎

ハリネズミでは鼻炎や肺炎などの呼吸器感染症が一般的に発生し、呼吸困難や鼻汁が見らて、削痩、食欲不振も生じます。原因は歯周病や口腔内の扁平上皮癌などによる二次的に鼻腔に影響を与えることもある得ますが、多くは細菌感染になります。肺炎は好酸菌による肉芽腫やリポイド性肺炎、肺の腺癌なども報告があり〔Silva et al.2022〕、野生種で検出されるような肺虫の例〔Lehmann et al.2023〕は稀です。

 

診断に麻酔下でのX線が必要

呼吸器感染症の診断には、麻酔下での画像検査が必要であるが、麻酔リスクが高くなるので注意が必要となります。X線では肺の不透過性亢進が見られます。

ハリネズミのレントゲン撮影

鼻炎による鼻腔の評価および歯周病や腫瘍の詳細はCT検査で判断するしかありません。

しかしながら、麻酔リスクが高いために、下記の写真のような防衛姿勢での読影をすることもあります。

AのX線像は肺野の不透過性が亢進し、呑気による鼓腸が確認でき、Bの正常個体のX線像と比べると、肺の透過性が低下していることから、肺炎と暫定的に診断することもありますが、信頼性は落ちます。


A

B

参考文献
■Silva GF et al.Pathological Findings in African Pygmy Hedgehogs Admitted into a Portuguese Rehabilitation Center.Animals (Basel)12(11): 1361.2022
■Lehmann S et al.Verminous pneumonia in European hedgehogs ( Erinaceus europaeus).Vet Pathol8:2023

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。