【病気】デグーの糖尿病と白内障

 

目次 [非表示]

発生

デグーに糖尿病が多いことは有名ですが、目の水晶体(レンズ)が白濁する白内障の原因の一つに糖尿病があげれます。白内障になって初めて糖尿病が診断されたというケースも珍しくはありません。

原因

糖尿病は血糖値が高くなる病気で、糖尿病になると網膜の血管が傷んで失明することもあります。そして糖尿病になるとソルビトールという糖成分が水晶体に蓄積しやすくなり、白内障にもなります。果物などの糖分が高いものをエサとして与え続けることが糖尿病の原因になるといわれています〔Murphy et al.1978〕。デグーが属するげっ歯目ヤマアラシ亜目のグループは、血糖値を下げるインスリンが特殊で、他の哺乳類と比較して1~10%程度の活性しかありません〔Opazo et al,2004〕。つまり、上がりすぎた血糖値を下げるのが不得手な動物なので糖尿病になりやすいのです。そして、デグーはジャービルやラットなどの他のげっ歯類と比べてソルビトールが水晶体に蓄積しやすいことも分かっており、糖尿病発症後4週間以内に白内障を併発するという報告もあります〔Datiles et al.1989〕。

症状

糖尿病になると、多飲多尿(たくさん水を飲んで尿をする)になって、動きも低下して、痩せてきます。目の水晶体もは白濁しているので、余計動かなくなります。

デグー白内障

症状・病状

デグーでは糖尿病起因の白内障が多発しますが、糖尿病とは関係のない先天性の白内障も報告もあります〔Worgul et al.1975〕。白内障は水晶体の白濁で発見されますが、通常は糖尿病の場合は両眼が罹患するため、片眼での発生ではそれ以外の原因の可能性が高いでしょう。進行するとぶどう膜炎(眼内の一部の炎症)を併発していることも多いです。根本的な治療は外科手術になりますが、眼球の大きさから現実的には不可能です。しかし、一部の研究では、糖尿病のデグーにソルビニル(アルドース還元酵素阻害剤)を投与することで最長6ヵ月間予防ができた報告があります〔Datiles et al.1989〕。またケルシトリン※の継続的な経口投与は、同様にアルドース還元酵素を阻害することにより、白内障の進行を遅らることができる報告もあります〔Varma et al.1997〕。ピルビン酸ナトリウムなどの抗酸化物質が白内障の形成を遅らせるのに役立つこと分かっており〔Varma et al.2005〕、抗酸化物質の天然物質を含むサプリメントも、白内障の形成を遅らせるのに有用かもしれません。

※フラボノイドの一種であるケルセチンのラムノース配糖体で、ピーマンの苦味成分に含まれています。

白内障の進行を遅らせるの点眼薬はコレ!

ライトクリーン 犬用 15mL(動物用医薬品)

治せないけど進行遅らせる効果がある!デグーならば1日2~3回さしてみて下さい。

検査・診断

目の検査をして、水晶体が白濁していることで診断されます。重要なことは白内障の原因です。高齢で白内障になったのではなく、糖尿病や内臓の病気が原因である可能性がある場合は、尿検査や血液検査を行います。

治療・予防

デグーの白内障は人と同じように手術ができません。残念ながら二次的に炎症などが起こらないか、定期的な観察になります。糖尿病は血糖値をさげるインスリン注射の治療が難しく、経口で血糖値を下げる薬で対応するしかないです。予防は糖類が少ない餌を心がけて下さい。おやつやエサの成分を確認し、そして糖類の吸収を下げるサプリメントがありますので、心配される場合は早めに使用しましょう。

デグーの血糖値を下げる+繊維質サプリメントならコレ!

ベルキュア EXO

2 g分包タイプ (お求めは写真をクリック!)

草食動物用流動食 Vercure Exo.(ヴェルキュア エキゾ)100g

100 g (お求めは写真をクリック!)

他にはないW繊維・痩せる&糖を下げるデキストリン・腸活のグルタミン酸配合の魔法のサプリ!下痢を予防するグルタミン酸が配合されている唯一のサプリです。野菜を主原料にした細かい粉で、使いやすさも抜群です。セルロースとデキストリンのW繊維で胃のうっ滞を解消し、摂取した糖質と脂肪をカットします。ペレットにかけたり、水に溶いて舐めさせたり、また流動食てしても使えます。この商品は専門獣医師であるDr. ツルが開発に協力しました。動物病院商品 ネットではここでしか売っていない!

参考文献

  • Datiles MB,3rd,Fukui H.Cataract prevention in diabetic Octodon degus with Pfizer’s sorbinil.Curr Eye Res8:233–237.1989
  • Opazo JC,Soto-Gamboa M,Bozinovic F.Blood glucose concentration in caviomorph rodents.Comp Biochem Physiol A137.57–64.2004
  • Varma S,Mizuno A,Kinoshita J.’Diabetic cataracts and flavinoids.Science195 (4274):205-206.1997
  • Varma S,Hedge S,Kovtun S.Attenuation and delay of diabetic cataracts by antioxidants: effectiveness of pyruvate after onset of cataract.International Journal of Opthalmology219(5):309-315.2005
  • Worgul B,Rothstein H.’Congenital cataracts associated with disorganized meridional rows in a new laboratory animal:The degu (Octodon degus).Biomedicine23(1):1-4.1975
  • 御影雅幸.ジュウヤク.伝統医薬学.生薬学:191-192.2013

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。