アルファキサロン
アルファキサロンはプロポフォールと同様にγ‐アミノ酪酸サブタイプ(GABAA)受容体に結合することにより、鎮静・麻酔作用ををもたらすステロイド系注射麻酔薬です。スムーズで迅速な麻酔の導入と回復、痛みのない投与、換気と血圧への影響が少ない良好な筋弛緩を提供しますが、鎮痛効果はありません〔Lambert et al.2003〕。アルファキサロンは、1971年にアルファキサロン/アルファドロン合剤として製剤化されましたが〔Child et al.1971〕、使用された溶媒(ヒマシ油誘導体)によって重篤なアレルギー反応を生じ、〔Denton et al.1980,Moneret-Vautrin et al.1983〕。多くの国で市場から撤退した歴史があります。近年、安全性の高い2-α-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPCD)を溶媒としたアルファキサロン-HPCD製剤が開発され、2000年にオーストラリア、2007年に英国、2008年に中央ヨーロッパ、2011年にカナダ、2014年に米国で猫と犬への使用が認可され、本邦でも2014年から販売が開始されています。アルファキサロン-HPCDは水溶性の特徴を備えて、血管周囲または筋肉内注射後に刺激を引き起こすこともありませんのでプロポフォールなどの他の麻酔薬に比べて明らかな利点があります。基本的な投与は静脈内投与ですが、動物種と個体特性に応じて、筋肉内あるいは皮下注射で使用できます。必要に応じて、乳酸リンゲル液または 0.9%塩化ナトリウムで希釈できます。ボトルには防腐剤が含まれていないため、開封したバイアルは製造元の指示 (国によって異なる場合があります) に従って廃棄しないよいけません。アルファキサロンは多くの動物種において、肝臓で代謝され、血漿半減期が非常に短く、クリアランスは用量依存的です。安全域が広いですが、アルファキサロン-HPCDには反復投与による蓄積性もないです〔Suarez et al.2012〕。犬や猫では、アルファキサロン-HPCDはプロポフォールと同等の麻酔効果を発現し〔Maney et al.2013,Mathis et al.2012〕、推奨投与用量の10倍でも循環系機能への安全性が確認されています〔Muir et al.2008,Muir et al.2009〕。しかしながら、副作用が全くないわけではありません。犬ではプロポフォールと比較して呼吸抑制が少ないとされていますが〔Kaetes et al.2012〕、用量依存性の呼吸抑制を生じ、特に高用量を投与すると一過性の血圧低下および心拍数上昇も引き起こす恐れがあります〔Muir et al.2008,Muir et al.2009〕。一方、アルファキサロン投与後の麻酔回復は、プロポフォールと同様に円滑であったとする報告〔Taboada et al.2010〕や、プロポフォールより延長し〔Mathis et al.2012,Maney et al.2013〕、痙攣、興奮、および遊泳運動などが多く認められるとの報告もあり〔Jimenez et al.2012,Maddern et al.2010〕、見解は一致していません。犬では、アルファキサロン単独IM投与による鎮静不動化の回復初期に一時的な筋振戦と運動失調を高率に認め、猫においても、痙攣、パドリング、不快感、振戦または後弓反張などが比較的高率に観察されています〔Tamura et bal.2025a、b〕。臨床用量では心血管への影響は最小限であると思われていますが、心拍出量を減少させる可能性があるため、静脈注射では様々な動物種で一時的な無呼吸を引き起こす可能性がありますので、効果が出るまでゆっくりと静脈投与することで最小限に抑えることができます。製造元はアルファキサンを他の IV 麻酔薬と併用することを推奨しておらず、肝機能が低下している時の使用も控えてもらいます。20分間程度消失する深い鎮静状態を得られることが報告されています〔Bertrand et al.2017〕ケタミンは小型哺乳類によく使用される解離性麻酔薬で、単独の投与では筋弛緩が不十分なため、α2作動薬やベンゾジアゼピン系などの薬剤と組み合わせて使用されるのが一般的です〔Heatley 2009,Doss et al.2020,Lester et al.2012〕。また、ケタミンは麻酔回復期間中の運動失調および運動活動の増加を含む覚醒時せん妄が見られ、小型実験用哺乳類でも報告されています〔Lester et al.2012〕。ミダゾラムはベンゾジアゼピン系薬剤で、オピオイド系鎮痛剤または解離性麻酔薬と併用すると鎮静効果と筋弛緩効果が加わるため前投薬によく使用されます。循環器への影響が最小限であるため、危険にさらされた、または衰弱した小型哺乳類に有効です〔Lester et al.2012〕。そして、拮抗薬であるフルマゼニルがあります。α2作動薬であるメデトミジンは。これは中枢性徐脈と交感神経緊張の低下を引き起こします (Kobinger, 1983)。しかし、全体的に優勢な末梢効果は高血圧につながり、全身血管抵抗 (SVR) の増加と代償的な心拍数 (HR) の低下をもたらします。しかし健康な個体では問題なく使用でき、拮抗剤であるアチパメゾールがあります。デクスメデトミジンは副作用が発現しにくい α2作動薬で、近年はよく使用されています。ウサギにアルファキサロン5mg/kgにデクスメデトミジン100μg/kgを併用して静脈および筋肉投与すると、アルファキサロン単独と比較して、より深く持続する鎮静が得られ、これはデクスメデトミジンとの併用は、中程度から深い鎮静を達成するのに有用である可能性があり、その理由はデクスメデトミジンはアルファキサロンの薬物動態学的配置を増加させ、鎮静/麻酔効果を増強することが考えられています〔Marín et al.2020〕。
投与
本邦での投与は、体重1kg当たり、アルファキサロンとして、犬には2~3mg、猫には5mgの用量で、動物の状態を考慮し、喉頭反射を確認しながら上記用量の範囲内で、60秒かけてゆっくりと静脈(IV)投与をします(1/4量を15秒毎)。しかしながら、水様性のアルファキサロンは、さまざまな動物種で筋肉内(IM)および皮下(SC)経路を介して化学的拘束や鎮静を目的とした応外使用できるという点でユニークですな薬剤で、多くのエキゾチックな患者に対する有用性が調査されています。
筋肉投与
アルファキサロンの静脈(IV)注射を行うために、動物を保定しますが、暴れて抵抗したりする取り扱いのストレスを生じます。それに比べて筋肉(IM)投与が簡易で、特猫では、筋肉内投与と静脈内投与を比較した薬物動態分析により、筋肉内投与は高いバイオアベイラビリティ(バイオアベイラビリティとは、服用した薬のうちどれだけ体の中に入って利用されたかを表す) (94.7%) と、静脈内投与の約 2.5 倍の半減期を示し、筋肉投与により、10 分から 45 分間続く深い鎮静が得られました。犬では、筋肉内アルファキサロンは、用量依存的な心肺機能抑制を伴い、一貫して安定した鎮静をもたらしました〔Rodrigo-Mocholí et al.2018〕。にエキゾチックアニマルでは保定の負荷が過大なストレスとなるため、有用な投薬経路とされ、数多くの報告が上がっています〔Marsh et al.2009,Grubb et al.2013〕。犬や猫〔Warne et al.2015〕をはじめ、グリーンイグアナ〔Bertelsen et al.2011〕、ヨツユビリクガメ〔Hansen et al.2013〕、ミシシッピアカミミガメ〔Kischinovsky et al..2013〕、コモンマーモセット〔Thomas et al.2012〕、ブタ〔Santos et al.2013〕、モルモット〔d’Ovidio et al.2018〕 およびウサギ〔Huynh et al.2015〕など多くの動物種において筋肉投与で良好な鎮静不動化を得られます。なお、ウサギではアルファキサロン4~6mg/kg IM投与で適切な鎮静不動化を得られると報告されています〔Huynh et al.2015〕。アルファキサロン製剤濃度は10mg/mLで、 4~6mg/kgの薬用量でIM投与に換算すると0.4~0.6mL/kgの投与量になり、投与後に多くのウサギが投与時に破行などの疼痛反応を示したと報告されています〔Huynh et al.2015〕。既報においても、アルファキサロン投与の犬および猫のIM投与による疼痛に関連する行動変化を認の報告があります〔Tamura et al.2015a,b〕。しかし、アルファキサロン-HPCDのpHは中性であることから、脂質不含プロポフォールなどと比較して、IV投与時の痛みはほとんどありません〔Michou et al.2012〕。特にウサギでは薬剤の局所刺激ではなく、投与量が多いことで、筋肉内に注入する際の違和感が投与時の反応を引き起こしたものと推測されます。欧州連邦製薬工業協会および欧州代替法バリデーションセンターは、動物福祉の観点からウサギでのIM投与を0.25mL/kgと推奨しているため〔Diehl et al.2001〕、アルファキサロンの後肢筋のIM投与に注意しなければなりません。そのため、他剤を併用あるいは低用量投与の検討が必要です。さらに小型げっ歯類、鳥類、爬虫類、両生類であると筋肉量が少ないことからも、不快感や破行する可能性がありますので、皮下投与が好まれるかもしれません。
皮下投与
エキゾチックアニマルにおけるアルファキサロンのIVおよびIM投与よりも、SC投与が操作も簡易で、動物に対しての疼痛も少ないことから、最も望まれる投与経路になります。しかしながら、動物の状態や種特異的な解剖学的特徴により、薬剤吸収に大きな影響受けることが予想されます。アルファキサロンのSC投与による鎮静効果に関する情報は乏しく、経験的な薬効効果の報告が大多数になります。
ウサギ
イギリスではウサギへの使用が認可され、投与は2mg/kg IV投与です。α2作動薬と併用投与することで、アルファキサロンが約70%減量できます。投与は最初の¼用量をゆっくりと投与して、20〜25秒待ち、ウサギの鎮静状態および呼吸状態を観察しながら追加を決めます。迅速な投与は一過性無呼吸が懸念されていますので、投与前の酸素化が重要です。投与時には心拍数の代償的な増加が見られる場合があります(圧受容器反射)。持続時間は約10分とされています〔https://www.alfaxan.co.uk/resources〕。他にもアルファキサロン3mg/kgIV投与で、立ち直り反射の消失は投与約74秒後、四肢の引き込み反射と耳つまみ反射は約120秒後、その後意識も迅速に消失しました。鎮静持続時間は約9分で、回復も早くて大きな問題もなかった報告もあります〔Gil et al.2012〕。


単独筋肉投与
アルファキサロンの筋肉投与は簡易で、結構効果的です。アルファキサロンをIM投与では、立ち直り反射の消失から再出現までの期間として定義される鎮静時間は用量依存的に延長し、4、6、8mg/kgの用量で投与を受けたウサギでは、鎮静の発現時間はそれぞれ、約2.3分、約2.4分、約3.1分で、平均時間は約37分、約52分、約58分であったと報告されました。しかし、単独で8mg/kgの高用量を投与したウサギ10頭のうち1頭が呼吸抑制で死亡し、高用量では重度の副作用が懸念されました〔Huynh et al.2015〕。臨床ではX線検査、静脈確保ならびに採血など短時間の中等度の鎮静がしばしば必要になりますので、ウサギでの低用量での投与のデータが必要となります。アルファキサロン1、2.5、5mg/kgの用量でIM投与したウサギも用量依存的に鎮静が強くなり延、立ち直り反射の消失は、2.5と5mgの用量群では全頭で達成されましたが、1mg投与群では鎮静に至らなかったウサギがいました。立ち直り反射の消失までの時間はそれぞれ16分、6分、4分であり、持続時間はそれぞれ0.5分、23分、53分でした。軽処置であれば、単独での適切な投与量は2.5 mg/kg IM投与であると示しています〔Ishikawa et al.2019〕。しかし、ウサギでは、アルファキサロン単独IM投与による鎮静の回復初期に眼振や振戦を認めましたが、その頻度は比較的低いと報告されています〔Huynh et al.2015,Ishikawa et al.2019〕。ウサギに関するこれらの既報〔Hansen et al.2013,Hedenqvist et al.2001,Huynh et al.2015〕を含めて、臨床上健康なウサギでは神経症状の発生率は少ないものと推察されています。しかしながら、アルファキサロンは鎮静と筋弛緩を生じますが、鎮痛作用はありません。8mg/kg IM投与でも、後肢の指を2本の爪で強くつまむことで誘発される後肢引っ込め反射が常に存在しますので〔Huynh et al.2015〕、外科手術目的での麻酔前投与で使用する場合は、鎮痛剤なども併用するべきです。
単独皮下投与
アルファキサロンの単独皮下投与は、ウサギに侵襲が低い投与経路で、軽度の鎮静目的であるならば推奨されるかもしれません。アルファキサロン5mg/kg IM投与と同用量のSC投与を比較したところ、横臥するまでの時間は筋肉投与と皮下投与ではそれぞれ、約4分と約8分、横臥持続時間はそれぞれ、l約48分と約53分で、明らかに筋肉投与の方が迅速に鎮静が得られましたが、鎮静の程度には大きな相違は見られませんでした〔Ishiklawa et al.2018〕。
併用静脈投与
鎮静薬併用でのアルファキサロンの静脈投与で注意するのは呼吸抑制です。モルヒネ1mgまたは2mg/kg+メデトミジン200μg/kg IM併用投与後、アルファキサロン10mg/kg IV投与では適切な麻酔が得られ、鎮静持続時間は51~70分でした。しかし、心肺機能低下と長時間の無呼吸が発現し、気管挿管および間欠的陽圧換気による酸素供給が必須でした〔Nevarrete-Caivo et al.2014〕。フェンタニル0.0125mg/kg+ドロペリドール0.625mg/kg IM併用投与後、アルファキサロン3mg/kg IV投与では、麻酔がスムーズに導入され、迅速な挿管が可能になることが確認されましたが、やはり呼吸抑制と低酸素症が深刻な問題でした〔Tutunaru et al.2013〕。ブプレノルフィン0.03mg/kg IM投与後、2mg/kg および 3mg/kgのアルファキサロンIV投与では、導入前に酸素を補給されて気管挿管されましたが、無呼吸の持続時間が約45秒見られました〔Grint et al.2008〕。
併用筋肉投与
鎮静鎮痛薬を併用したアルファキサロン筋肉投与は保定が難しいウサギでの外科麻酔前投与薬になります。他の薬剤と併用投与で鎮静への導入が短くなり、持続時間は長くなりました。アルファキサロン6mg/kg IM投与では約40分に対し、アルファキサロン6mg/kg IM投与にブトルファノール0.3mg/kg IM併用投与では、発現時間は約48分、アルファキサロン6mg/kg IM投与にミダゾラム1 mg/kg IM併用投与では約65分、アルファキサロン6mg/kg IM投与にデクスメデトミジン0.2mg/kg IM併用投与では約158分、アルファキサロン6mg/kg IM投与にブトルファノール0.3mg/kgならびにデクスメデトミジン0.2mg/kg IM併用投与では約158分でした〔Bradley et al.2019〕。アルファキサロンを他の鎮静剤と併用すると、長時間かつ確実に鎮静が得られ、組み合わせによっては麻酔効果まで得られることが実証されました。アルファキサロン単独投与と比較して、ミダゾラムの追加で鎮静時間は約25分延、デクスメデトミジンの追加により約117 分延長しました。ミダゾラムとアルファキサロンの両者はGABA受容体作動薬であり、併用投与で同受容体に作用すると相加効果があるのではないかと推定されています〔Griffin et al.2013〕。
ウサギの全静脈麻酔
ウサギにアルファキサロンの全静脈麻酔の報告例があります。前投与薬として、デクスメデトミジン0.2 mg/kg IM投与またはデクスメデトミジン0.1 mg/kg+ブプレノルフィン0.05mg/kg IM併用投与、その後アルファキサロンのIV投与で麻酔を導入して、声門上気道デバイスを設置して100%酸素を送達しました。維持麻酔はアルファキサロンのTIVA(全静脈麻酔)で、注入速度は四肢のひっこめ反射が消失するまで調整し、デクスメデトミジン前投与薬では9.6mg/kg/時、デクスメデトミジン+ブプレノルフィンでは4.5mg/kg/時でした。心肺モニターにも悪影響を見られず、デクスメデトミジン+ブプレノルフィンのウサギ群に避妊手術を施しましたが、4頭中1頭のみが吸入麻酔の補充が必要でした。将来的に全静脈麻酔も実現可能を示唆する貴重な報告でした〔Bradley et al.2022〕。
ウサギの経鼻投与
全身作用薬の新たな薬剤投与経路として、経鼻(TN)投与が注目されています。経鼻投与は投与が簡便で、かつ非侵襲的であることに加えて、薬物の吸収部位となる鼻粘膜は絨毛構造で、吸収表面積が大きく〔Grassin-Delyle et al.2012〕、粘膜下層にはリンパ管や毛細血管が発達しているため、薬物は肝初回通過効果を回避して全身循環系への移行が可能です〔Arora et al.2002,Pires et al.2009,武田 2017〕。人の医療でも、TN投与は救急処置や急性症状に対して鎮痛薬、全身麻酔薬および中枢神経系作用薬など多種多様な治療薬として検討されています〔Grassin-Delyle et al.2012〕。動物においても、実験ラットにうつ病治療薬であるミルナシプラン塩酸塩の経鼻投与〔Ucida et al.2011〕、犬や猫、ウシへのワクチン〔Ellis et al.2017,Fenimore et al.2016〕や全身麻酔薬〔Marjani et al.2015〕に経鼻投与が行われています。ウサギにおいても、デクスメデトミジン、ミダゾラム、およびブトルファノールの併用経鼻投与による鎮静効果〔Santangelo et al.2015〕、メデトミジン0.2mg/kg+ケタミン5~10mg/kgの併用経鼻投与により気管内挿管が可能であった報告があります〔Weiland et al.2017〕。アルファキサロン5mg/kgTN投与したウサギが、投与開始後の約30秒で横臥となり、鎮静持続時間は約35分間で、作用消失も速やかであり、静脈投与に匹敵する速やかさと言えます。アルファキサロン-HPCD32は水溶性としたpH6.05~7.0の製剤で、ウサギの鼻粘膜はpH5.5~6.0〔Muhammad et al.2000〕 であることから、鼻粘膜から十分に吸収します。経鼻投与では、鼻腔へ22G静脈留置カテーテルの外筒を用いて投与しますが、ウカテーテルをゆっくりと挿入することで、抵抗したりくしゃみが認められますが、用手での保定には労せず比較的容易に投与ができます。投与前に局所麻酔を鼻腔への噴霧することで鼻腔へのカテーテル挿入を容易にできます〔Ishikawa et al.2018〕。スナッフルなどの症状が見られ、慢性鼻炎を呈するウサギでは、当然ながら不向きの投薬経路です。
げっ歯類
げっ歯類でのアルファキサロン投与は、実験動物で頻繁に使用されて、確実な麻酔とある程度の鎮痛効果が得られることは分かっています〔Gilron et al.1996〕。しかし、非常に高用量が使用されることが多く、さらに腹腔内投与あるいは麻酔下での血管確保による静脈投与などはペットのげっ歯類での日常的な使用には適さない報告が多いです。また、実験動物では前投与薬よりも全身麻酔目的の報告がほとんどです。ラットに腹腔内 (IP) または IV投与(2mg/kg および 5mg/kg) でアルファキサロン投与で、IP 投与群は、無呼吸も見られず持続的な麻酔効果が得られ、IV 投与群より長い睡眠時間をもたらしました〔Lau et al.2013〕。マウスに対する報告では、メデトミジン0.3mg/kg+ブトルファノール5mg/kg投与に、 アルファキサロン60mg/kg(SCまたはIP投与)が、外科麻酔としての導入に適している結果でしたが、一部では死亡例が見られました〔Higuchi et al.2016〕。モルモットではアルファキサロン20mg/kg SCでの横臥時間の約74分でしたが、アルファキサロン20mg/kg SC+デクスメデトミジン0.25mg/kg SC投与+ブプレノルフィン0.05mg/kg SC投与での横臥時間は約90分に延長されましたが、1頭だけ死亡しました。〔Doerning et al.2018〕。しかし、このモルモットの治験は皮下投与であるためなのか、効果発現が遅く、十分な鎮静には至らなかったイメージが強く残る報告でした。ペットのラットの報告では、ミダゾラム0.5mg/kgをピオイド系鎮痛剤と混合IM投与、その後アルファキサロン2~3mg IM投与が推奨され、去勢手術を受ける健康なラットでは、特に効果的で安全で術後の回復がスムーズであった報告がなされていいます〔Lennox 2015〕。

フェレット
フェレットは身体が小さく、絶えず動くため、採血、X線や超音波検査を行うには化学的拘束が必要になることがよくあります。イソフルランやセボフルランなどの吸入麻酔薬は、短時間の処置でフェレットを麻酔するためによく使用されますが、手動拘束や刺激臭に対する副作用を伴うことがよくあります。さらに、イソフルランとセボフルランはどちらも、脾腫ならびに赤血球パラメータの低下を引き起こすことが知られています 。そこでアルファキサロンが注目され、フェレットにおける効能が研究されました。アルファキサロンがそれぞれ10mg/kgおよび20mg/kg単独IV投与された2頭が死亡しました。アルファキサロン5mg/kg IV単独投与した場合、短時間でしたが適切な鎮静が得られました。メデトミジン20μg/kg IM投与とアルファキサロン2.5mg/kg IV投与の併用は、アルファキサロンを単独で5mg/kg IV単独投与した場合よりも麻酔および鎮痛の持続時間が延長され、脈拍数も徐々に減少しましたが、呼吸パラメータは問題ありませんでした〔Giral et al.2014〕。しかし、フェレットへのアルファキサロンの使用を検討する場合、意識のある患者に IV投与のために血管穿刺をすることは非常に困難なため、静脈方法は制限され、筋肉投与や皮下投与が切望されています。フェレットにアルファキサロン2.5~5mg/kg+ブトルファノール0.2mg/kg IM併用投与は、安定した鎮静効果が得られましたが、アルファキサロン5mg/kg と高用量であると、軽度の一過性心拍数の低下が認めれました〔Milloway et al.2021〕。アルファキサロン単独でのSC投与では、10mg/kg ならびに12.5 mg/kg単独投与において、両グループの90%の症例で、立ち直り反射が約10分以上消失する鎮静が観察され、十分な鎮静効果をもたらし、重大な副作用はありませんでした〔Yee et al.2023〕。

ハリネズミ
ハリネズミは防御行動としてボール状に丸まって、頭部、四肢、および腹部へのアクセスが制限されます〔Heatley 2009〕。身体検査や臨床検査では薬剤による化学的拘束が必要な場合があります。 イソフルラン麻酔は、通常、チャンバー誘導によって行われ、フェイスマスクで維持した上で、検査やび処置が行われます〔Heatley 2009,Helmer et al.2018,Doss et al.2020〕。メデトミジンとケタミンの投与によるナミハリネズミとテンレック の注射麻酔が成功したという報告〔Henke et al.2007,Arnemo et al.1995〕はありますが、ハリネズミの注射麻酔プロトコルに関する逸話的な報告が多いです。一般的な組み合わせには、解離性薬剤とベンゾジアゼピンまたは α2 アドレナリン受容体作動薬が含まれますが、推奨用量は大きく異なり、有効性や安全性に関する情報はありません〔Heatley 2009,Helmer et al.2018,Heard 2014,Hoefer 1994,Lightfoot 2000〕。 ハリネズミに対するアルファキサロン投与は、ナミハリネズミにアルファキサロン 2mg/kg+デクスメデトミジン 0.05mg/kg IM投与(大腿四頭筋)が行われ、立ち直り反射は141~880秒の間に消失し、呼吸には影響がなく、脈拍数は減少して、体温は時間とともに低下しましたが、アチパメゾール投与後に回復しました。鎮静中の酸素吸入および保温は重要ですが、ただし肥満の場合は追加の鎮静剤投与が必要になることが懸念されていました〔Bellini et al.2019〕。ヨツユビハリネズミにケタミン30mg/kg+ミダゾラム1mg/kg併用SC投与、アルファキサロン3mg/kg+ミダゾラム1mg/kg併用SC投与の比較を行い、ケタミンとミダゾラム投与群よりも、アルファキサロンとミダゾラム投与群の方が深い鎮静効果は優れていました。拮抗薬であるフルマゼニル0.05 mg/kgSC投与後は、両グループとも回復時間に有意差は見られず、呼吸や循環にも悪影響は認められませんでした〔Hawkins et al.2020〕。キシラジン1mg/kg+アルファキサロン8mg/kg IM投与群、キシラジン1mg/kg+アルファキサロン12mg/kg IM投与群では導入時間に違いはありませんでしたが、アルファキサロン12mg/kgの高用量群の方が深い麻酔を誘発し、それぞれ37 分と54 分以上と麻酔時間も持続しました。心拍数と体温も高用量投与群では有意な低下が見られました〔Mpanduji et al.2024〕。

ブタ
体重 21kgのランドレース x ラージ ホワイトにアルファキサロン5mgkg/kg単独IM投与群とアルファキサロン5mg/kg+ジアゼパム0.5mg/kg併用IM投与群の投与を行ったところ、横臥までの時間は、併用群(平均 203秒)の方が単独投与群(平均302秒)よりも短かく、鎮静もより深く、筋弛緩がより良好でした。いずれも投与後に呼吸数が有意に低下しましたが、無呼吸はありませんでした。この併用投与ならば麻酔前投与として有用かもしれせん。しかし、注射液の総量が多いためは、一部の豚では注射時の痛みが見られましたが、注射液の量によりミニブタへの使用が制限されるかもしれません〔Santos et al.2013〕。

サル
コモンマーモセットに気管挿管を行うために、アルファキサロン10.6mg/kg IM投与し、続いて3.2mg/kg IV投与を行い、麻酔を誘発した報告があります〔Thomas et al.2012〕。アカゲザルにアルファキロン2mg/kg+メデトミジン20μg/kg+ミダゾラム0.3mg/kg併用SC投与を行い、約20分間の深い鎮静を得られた報告があります〔Bertrand et al.2017〕。

鳥類
ベンゾジアゼピン系薬剤とα2作動薬は、鳥に一般的に投与される鎮静剤です〔Doss et al.2021〕。ベンゾジアゼピン系は鳥の鎮静と筋弛緩に効果的であることが示されている一方で、過食、健忘、胃腸運動の低下などの潜在的な副作用が懸念されています〔Doss et al.2021〕。一方、α2作動薬の使用に関する主な懸念は心肺への副作用の可能性です〔Hornak et al.2015,Pollock et al.2001〕。心血管疾患を患っている鳥では、心血管の不安定化や重要臓器への灌流低下を引き起こす可能性があります。さらに、ハトなど一部の鳥種ではα2作動薬の鎮静効果が低いことが報告されています〔Pollock et al.2001〕。そして、鳥類で最も一般的に使用されている揮発性麻酔薬はイソフルランで、迅速な導入と回復、および麻酔深度をすばやく調整できるという利点があります。しかし、イソフルランのマスク導入中、鳥は誘発性ストレス反応にさらされ、交感神経系の活性化とストレスホルモンの放出を伴う生理学的プロセスが起こります〔Derbyshire et al.1983, Russell et al.1981〕。鳥のストレス反応は、神経系と内分泌系の両方の変化を伴う複雑なプロセスです〔Siegel 1980〕。交感神経系の刺激は、心拍数と呼吸数の両方の急速な変化につながり、ストレスは呼吸器系と心血管系の安定性に影響を与える可能性があります〔Siegel 1980〕。これらの副作用は、麻酔中の鳥の状態に悪影響を及ぼしますので、アルファキサロンは麻酔前投与薬として期待されています。これまでもアルファキサロンは様々な鳥類で効果的に使用されており〔Mastakov et al.2021,Villaverde-Morcillo et al.2014〕やはり、筋肉内注射が可能であることもその理由の一つです。もう1つの広く使用されている誘導剤は、静脈内投与されるプロポフォールですが、静脈内投与が困難な場合は、代替手段としてアルファキサロンが選択されます。筋肉内注射は静脈内注射よりも取り扱いが少なくて済むため、鳥のストレスを軽減できます。
オウム
成鳥のセキセイインコに、アルファキサロン15mg/kg IM投与後に、約27分の鎮静が得られ、X線検査、頸静脈からの採血、詳細な身体検査が受けられました〔Escalante et al.2018〕。オキナインコではアルファキサロン10mg/kg IM投与での誘発には約14分かかり、回復には約44分を要し、20mg/kgの高用量投与での誘発時間は約6分と短く、回復には約86分と長時間を要しました。アルファキサロンを単独投与すると、誘導中に筋肉の震えと過興奮が起こりました。しかし、ミダゾラム1mg/kgIM投与後にアルファキサロン10mg/kgIM投与した例では誘導時間も約7分で、アルファキサロン投与に関連する筋肉の震えと過興奮の両方が軽減されましたが、回復時間は約104分と高用量投与よりも有意に長くなりました〔Whitehead et al.2019〕。

フィンチ
ジュウシマツにアルファキサロン10、30、50 mg/kg SC投与したところ、用量が増加するにつれて、用量依存的に導入時間が短縮し、麻酔時間が延長しました。さらに アルファキサロン30mg/kg SC単独投与と、ミダゾラム0.7mg/kgあるいブトロファ1mg/kg併用SC投与を比較しました。アルファキサロン+ミダゾラム併用群は麻酔導入が速くなり、ミダゾラムとブトルファノールの両方併用群では、アルファキサロン単独投与群よりも麻酔の持続時間が長くなりました。アルファキサロンの用量を増やし、ベンゾジアゼピンまたはオピオイドと併用すると、呼吸数や脈拍数への影響は最小限または全くなく、麻酔の持続時間が延長しました〔Perrin et al.2017〕。
ニワトリ
アルファキサロン単独IV投与群とブトルファノール2mg/kg+ミダゾラム0.5mg/kg IM併用投与群を比較したところ、気管挿管を達成するために必要な静脈内アルファキサロンの最低投与量は、それぞれ 7.5mg/kgおよび4mg/kg で、併用群の方が導入および回復の質が向上していました〔Mastakov et al.2021〕
その他
野生のベニフラミンゴの骨折の手術においてにフェイスマスクによるイソフルラン吸入のみ群と、アルファキサロン2mg/kg IV投与使用群の比較を行いました。導入時間はイソフルランは約18分に対し、アルファキサロンは約2分と短時間でスムースで、維持麻酔に必要なイソフルラン濃度が低く設定できました。しかし、回復には両群とも相違はありませんでしたが、アルファキサロンの中程度の呼吸抑制が見られました〔Villaverde-Morcillo et al.2014〕。なお、コブハクチョウのアルファキサロン投与後の無呼吸、および回復過程における興奮と運動失調が副作用として報告されています〔Baldrey et al.2021〕。

爬虫類
爬虫類のアルファキサロンの投与は個体あるいは種類毎の感受性があるかもしれません。また、投与部位においての薬効も異なるため、まだ不安定な鎮静薬かもしれません。
飼育下の爬虫類は、臨床検査や手術を容易にするために化学的拘束を必要とすることが多いですが、特異的な解剖学的および生理学的特徴により、麻酔管理が困難な場合が多いです。爬虫類の鎮静ならびに麻酔導入・維持には様々な薬剤が使用され、導入や回復時間の延長や呼吸抑制などの問題が哺乳類よりも多く見られ、鎮静や麻酔には熟練や経験も必要とされます〔Calderwood et al.1979,Bennett 1998,Bennett et al.1998,Read 2004,Mosley 2005,Schumacher et al.2006,Ziolo et al.2009〕。鎮静薬して、静脈穿刺が可能な爬虫類の麻酔導入剤としてはプロポフォールが好まれまれていましたが〔Mosley2005,Schumacher et al.2006〕、問題は静脈内および骨内投与の使用に限られれれいることと、重度の無呼吸の発生が問題でした〔Bennett et al.1998,Anderson et al.1999,Mosley 2005,Schumacher et al.2006,Ziolo et al.2009〕。アルファキサロンも様々な爬虫類に鎮静や麻酔効果が報告されていますが〔Lawrence et al.1983,Carmel 2002,Scheelings et al.2010〕、爬虫類では静脈穿刺が容易でないために主に筋肉投与で使用されています〔Bertelsen et al.2011,Knotek et al.2011b、Shepard et al.2011、Kischinowsky et al.2013〕。そのため、鎮静・麻酔効果を得るには高用量が必要となり、導入と覚醒に時間を要する傾向があります〔Calderwood et al.1979 ,Lawrence et al.1983,Hackenbroich et al.1998〕。静脈投与で行うことができれば導入もスムースですが〔Knotek 2010〕、爬虫類におけるアルファキサロンの静脈内投与に関する投与量と心肺機能の抑制の詳細も解明されていません。一部の著者は、アルファキサロンは2~4mg/kg IV投与した後、2分以内に深部痛覚が消失し、10~30分後に完全に回復すると説明しています〔Carmel 2002,Simpson 2004〕。
そして、爬虫類の鎮静や麻酔において最大の問題点は、外気温動物であるために、環境温度によって薬剤代謝が大きく変動することです。冷温 (20°C) および高温 (35°C)で飼育されたアカミミガメに10mg/kgおよび20mg/kg IM投与した後の麻酔深度の研究が行われました。高温飼育では、どちらの投与量でも5~10分の短時間の軽鎮静が得られました。低温での10mg/kg投与では短時間の非侵襲的処置にのみにしか適さない鎮静であるのに対し、20mg/kg投与では、吸入麻酔の導入または鎮痛剤併用であれば短時間の外科処置に適した約20分の麻酔が得られました。投与量が多く、そして外気温が低いと、鎮静導入が長くなり、麻酔深度が深くなることも証明されました〔Kischinovsky et al.2013〕。薬剤の鎮静・麻酔効果を高めるために低体温を意図的に使用することは、爬虫類の健康を損なうようなデメリットも想像できるため、臨床の現場では行いません。もちろん、麻酔の覚醒時は温度を高くすることで、薬剤の代謝排泄も促進され、早くなることも予想されます。
解剖学的に爬虫類は腎門脈を備え、後躯および尾の血管は腎臓に集約した構造なため、注射薬剤が排泄される可能性があります。アルファキサロンは肝臓で代謝または排泄される薬剤ですが、後躯および尾に投与すると、薬剤の効能が大幅に低下する可能性があります。しかし、尾部からの静脈還流の一部が肝臓に直接流れることから、全てが腎臓で排泄されることはないそうですが、その詳細は不明です〔Yaw et al.2018〕。多くの臨床医は、この循環適応により腎臓かららの排泄が促進されると想定して、爬虫類の後肢や尾、または尾側半分への薬剤投与を避けています。現時点では、このシステムに関する詳細は完全には理解されていませんが、爬虫の種類によっても解剖的な相違がありそうです。ボールパイソンにアルファキサロン10~30mg/kg IM投与(尾部)し、頭部 (心臓から頭側1cm) と尾部にアルファキサロン20mg/kg●を投与し、注射部位の影響を評価した研究では、投与量と注射部位にかかわらず、最大効果は約10.0分以内に達成されました。頭部投与では20mg/kg投与で、約7分後に気管挿管が可能でしたが、尾部では30mg/kgでのみ気管挿管が可能であったことから、頭部注射の方が効率が良いと判断されました。しかし、尾部の30mg/kgと頭部の20mg/kgの両群で、投与後約10分で無呼吸が起こり、その時点でヘビに挿管が行われて機械的換気が行われたことを考えると、副作用も懸念しなければなりません〔James et al.2018〕。
カメ
カメの非常に強い頭部および頸部引込み反射と、水ガメであると長時間呼吸を止めることができる能力のため、カメの吸入麻酔は困難です。したがって、気管挿管を可能にするには、注射による鎮静が必要になります。 Knotek (2014)の報告では、ミシシッピアカミミガメにアルファキサロン5mg/kg IV投与(背甲静脈)、さらに、ミシシッピアカミミガメ、ヘルマンリクガメ、トゲオイガメ、オオカミガメ、ロシアリクガメに、メロキシカム1mg/kg+ブトルファノール2mg/kg併用IM投与後、アルファキサロン5mg/kg IV投与し、頭部、首、四肢の逃避反射は12~40秒以内に消失し、気管挿管は15~60秒以内に可能となり、深部痛覚消失までの時間は20~70秒でした 。アルファキサロンの静脈投与は、水ガメと陸ガメの吸入麻酔の導入に適した方法であることが証明しています。しかし、この報告では、心臓機能(心拍数や血圧など)や呼吸機能(パルスオキシメトリー)に関するデータを欠いているため、安全性の詳細は完全でないこと認めています〔Knotek 2014〕。そして、このデータはトカゲの報告〔Knotek et al.2011a,2013a,b〕とも類似していますが、導入や覚醒などがカメの方が少し長く、その理由は、麻酔薬に対する心臓と呼吸器系の独特な生理学的反応から生じている可能性があります。また、カメは特別な生理学的適応、つまり抗酸化防御を強化する能力によって、低酸素症や異物による組織損傷から身を守る能力を持っているとも示唆されています〔Venancio et al.2013a,b〕。Shepard et al.(2013)の報告では、2つの環境温度でミシシッピアカミミガメに対し、アルファキサロン10mg/kgまたは20mg/kg IM投与したところ、様々な程度の筋弛緩をもたらし、X線撮影、身体検査、静脈穿刺などの診断または医療処置の取り扱いに対するコンプライアンスを改善できることが示されました。しかし、カメはアルファキサロンに対して用量依存的でありながら、一貫性のない反応を示したことが記載されています〔Shepard et al.2013〕。つまり、個体差での薬剤の反応が異なることを示唆しています。ホルスフィールドリクガメにアルファキサロン10mg/kgおよび20mg/kg IM単独投与では、痛みを伴わない処置の鎮静に可能で、メデトミジンとの併用 (アルファキサロン10mg/kg+メデトミジン0.1mg/kg IM併用投与 、またはアルファキサロン20mg/kg+メデトミジン0.05mg/kg IM併用投与) ではより深い鎮静または麻酔に使用できますが、呼吸抑制および心血管抑制が観察されるため、その使用が制限される可能性があります〔Hansen et al.2013〕。投与量および併用の鎮静剤の選択も今後用件等の段階とい言えます。

トカゲ
グリーンイグアナは尾静脈の穿刺が容易なため、アルファキサロンの静脈投与が報告されています。腹側尾静脈から5mg/kgIV投与ファキサロンの効果を評価しました。このプロトコルは、著しい無呼吸を誘発せず、心肺機能にも影響を及ぼさず、グリーンイグアナの短期麻酔に適切かつ安全な方法であることが証明されました〔Knotek et al.2013a〕。IM投与の報告では、グリーンイグアナにアルファキサロン10~30mg/kgIM投与したところ、用量依存的に鎮静や麻酔が得られると報告されています。10 mg/kgでは軽い鎮静が得られて検査や静脈穿刺に適し、20mg/kgでは軽微な処置 (創傷ケアなど) または気管挿管と吸入麻酔の導入に適し、30mg/kgでは、最大4 分の外科処置に適した麻酔レベルが誘発されました。しかし、用量依存的な呼吸抑制があることが問題でした〔Bertelsen et al.2011〕。アガマ科のトカゲにおける効果は、アルファキサロン5mg/kgIV投与で、アゴヒゲトカゲ、ランキンズトカゲ、インドシナウオータードラゴンに投与され、立ち直り反射は 12~45 秒で消失し、気管チューブ挿入時間も迅速で、吸入麻酔の導入に適した方法であることが証明されました〔Knotek 2017〕。さらにフトアゴヒゲトカゲにおいての、投与部位での薬効の評価も行われ、アルファキサロン15mg/kgで、体腔内 (ICo)、皮下、筋肉、静脈注射により投与した場合の効果を比較評価しました。導入は静脈投与が他の経路よりも圧倒的に早く、鎮静効果と回復までの時間は有意差は見られず、呼吸抑制も起こりませんでした〔Webb JK et al.2022〕。ヒョウモントカゲモドキに、デクスメデトミジン0.1mg kg/kg+ミダゾラム1.0mg/kg併用SC投与と、アルファキサロン15mg/kg+ミダゾラム1.0mg/kgの併用SC投与が比較されました。鎮静効果はほぼ同じでしたが、アルファキサロン+ミダゾラム併用群は鎮静発現が速かったです〔Grayson et al.2017〕。ハスオビアオジタトカゲ、マダラアオジタトカゲ、ヒガシアゴヒゲトカゲ、フトアゴヒゲトカゲ、ジップスランドウォータードラゴンを対象にアルファキサロン9mg/kg単独IV投与(尾静脈)したところ、立ち直り反射が消失し、気管内挿管も成功しましたが、痛み刺激に対する反応は消失しませんでした。そして、一部の個体は鎮静効果が得られず、4頭 (57.1%) のマダラアオジタトカゲでは深い鎮静が得られませんでした。これらの結果は、種間の生理学的差異を反映している可能性があり、または麻酔薬の血管外投与を示している可能性が示唆されました〔Scheelings et al.2011〕。逸話的には、スキンク科のトカゲにはアルファキサロンの投与量をわずかに増やす必要があるかもしれないとも言われています。痛みを伴う処置にこの用量のアルファキサロンを単独で使用することを推奨しておらず、これは非ステロイド性抗炎症薬やオピオイドを含む鎮痛剤の補充が必要であることを示唆しています〔Mosley 2005〕。

カメレオン
エボシカメレオンにブトルファノール2mg/kg SC+メロキシカム1mg/kg SC投薬後、アルファキサロン5mg/kg IV投与を投与したところ、誘導時間は約36秒で、外科的レベルな麻酔は約122秒後に達し、5~10 分間持続しました〔Knotek et al.2011〕。

ヘビ
ガータースネークにアルファキサロンを体腔内注射すると、30mg/kg投与量では20mg/kg投与量よりも早く立ち直り反射が消失した〔Strahl-Heldreth et al. 2019〕。アカハラクロヘビ、オーストラリアカッパーヘッドヘビ、オーストラリアタイガーヘビ、コースタルカーペットパイソン、ズグロニシキヘビで、アルファキサロン9mg/kg IV投与(尾静脈)すると、鎮静が迅速に発現しましたが、一部の個体は鎮静効果が得られず、2頭(33.3%) のカーペットパイソン、および1 頭(50%)のアカハラクロヘビでは、深い鎮静が得られませんでした。やはり種間の生理学的差異あるいは麻酔薬の血管外投与が考えられました〔Scheelings et al.2011〕。ボールパイソンでは、アルファキサロン10~30mg/kg IM投与で、鎮静・麻酔効果が観察され、特に頭部で投与すると20mg/kgで気管挿管が可能でした〔James et al. 2018〕。ボールパイソンの別の研究でも、アルファキサロン5mg/kg SC投与を頭部に行うと尾部に比べて有意に長く深い鎮静が達成されたことが記録されています 〔Yaw et al. 2018〕。注射部位に関する違いは、腎門脈循環と肝臓代謝の速さによるものでした。コーンスネークでは、頭側 3 分の 1 にアルファキサロン5、10、15 mg/kg SC投与し、鎮静時間はそれぞれ、約24分、41分、57分で、高用量の方が低用量よりも長く続きました。しかしながら、尾をつまむ反射は完全に消失しませんでした。しかしアルファキサロン 15 mg/kg SCを体の頭側 3 分の 1 に投与した場合と尾側 3 分の 1 に投与した場合で鎮静時間に差はみられませんでしたが、心拍数と呼吸数が有意に減少しました〔Boykin et al.2021〕。
両生類
両生類へのアルファキサロンの投与ルートは不確定で、今後の研究に期待されています。
カエルは身体が小さく、四肢も細いために、筋肉内注射は困難なため、体重100g未満の両生類では、麻酔薬の投与方法としては、浴槽浸漬が推奨されています。しかし、浸漬に適した薬剤の中には、有効性ならびに安全性において両生類に最適なものは見つかりませんでした。近年は、鳥類や爬虫類においてのアルファキサロン投与の症例報告が増えて、両生類でも検討されています。両生類にもGABA受容体が存在することが記録されており、神経ステロイドは哺乳類と同様に両生類でも作用するようです〔Hollis et al.2004,Orchinik et al.1994〕。56gのアホロートルの胃内異物を外科的に除去するための麻酔で、水溶性のアルファキサロンの薬浴で行った報告があります。アルファキサロン (5 mg/L 溶液、2 ml/分~3 ml/分) で鰓と皮膚 (皮膚) を連続的に洗浄することで、麻酔の導入ならびに維持され、必要に応じて30秒ごとにアルファキサロン原液 (10 mg/ml) を鰓に鰓管に30μL滴滴下しました〔McMillan et al.2011〕。麻酔は、鰓と喉の呼吸運動は、適切な麻酔深度と考えられた深さで持続しました。麻酔深度は、アルファキサロン溶液を鰓に灌注することで急速に深めることができ、新鮮な脱塩素水で灌注することで浅くすることができます。麻酔は約1時間続き、追加の鎮痛剤が必要でしたが、回復は15分以内と迅速でした。チョウセンスズガエルにおいて、麻酔 (頭を下げた状態で動かなくなり、棒による刺激に反応しなくなる状態と定義) を誘発できるアルファキサロン濃度を調べた報告もあります。アルファキサロン濃度 200mg/Lでの薬浴で、11頭中10頭で麻酔誘発が起こり、皮膚の炎症、紅斑、皮膚の色素沈着の変化などの副作用はも見られませんでした。覚醒は薬浴からヒキガエルを取り出した後、10~30 分の範囲でした。しかし、手術レベルの麻酔深度に達することはありませんでしたので、非侵襲性の短時間の処置を受けるヒキガエルにのみ適しており、この研究で使用された用量では、ヒキガエルの痛覚反応を抑制できませんでした〔Adami et al.2015〕。インドヒキガエルに、20mg/100mLのアルファキサロン薬浴に 0.3mg/100mLのデクスメデトミジンを加えると、8頭中2頭に外科麻酔が起こり、麻酔の導入は動物の50%で達成され、一方でアルファキサロン単独薬浴は100%の麻酔に達しました。デスクメデトミジン併用群はいくらかの鎮痛効果をもたらしたが、意識消失のレベルを高めることはできず、アルファキサロンによって生じる催眠効果を低下させ (麻酔の効果を低下させた)、麻酔の深さを軽くした可能性が示唆されました〔Adami et al.2016〕。
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