エリザベスカラー
手術や皮膚疾患で、体に傷を負った際に動物が傷を舐めないようにするために、円錐形の保護するものです。略してエリカラとも呼ばれます。エリザベスカラーという名前の由来は、16世紀のイギリスのエリザベス王朝時代の衣服で使われた襞襟に似ているからです。この装置は通常、そのまま首に装着するか、あるいはプラスチックの側面に開けられた穴に紐を通して動物の首輪に取り付けられます。ほとんどの動物はこれにかなり順応しますが、首輪を付けたまま食べたり飲んだりしないペットもいます。専用のカラーの商品以外にお手製で作成することもできます。最近の首輪は、快適性を高めるために縁に柔らかい布のトリムが付いていたり、脱着しやすいように着脱しやすいようにマジックテープがつていいます。
ウサギの装着
身体に負った傷を刺激したり、自分で毛づくろいをする際に手術の縫合糸を外したり、心因性脱毛や自傷などの習慣を抑制するために使用されす。また、静脈点滴のために管を装着したウサギの水から管を外すことを抑制するためにも使用できます。しかし、重大な欠点もあります。エリザベスカラーを装着したウサギはパニックに陥ったり、ストレスにより食欲不振になったりすることがあります。カラーを装着したウサギでは、血糖値の大幅な上昇が認められています〔Knudtzon 1988〕。エリザベスカラーは、採食や飲水が上手くできないこと以外にも、ウサギが盲腸栄養物を食べるのを防ぐこともできます。盲腸栄養物は、アミノ酸とビタミンが豊富で、最適な栄養と創傷治癒に不可欠です。そのため、皮下埋没縫合や外科用ステープルの使用などの外科手術での工夫を優先することもあります〔Dobbins 2000〕。
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問題点
- ストレスやパニックになる
- 餌が食べにくい
- 水が飲みにくい
- 食糞ができなくなる
- 盲腸便がお尻にくっ付いて汚れる
少しの時間なら外してもよいか?
食糞や餌が食べやすいように、飼い主の監視の元、一時的にカラーを外すこともあります。しかし、患部や傷を舐めたら意味がなくなりますので注意して下さい。カラーを外すと、もう1回付け直すのが一苦労です。逃げて暴れますし、絶対つけたくないとアピールするウサギもいます。
カラーの種類
一般的にはハードタイプとソフトタイプに分けられます。サイズも体の大きさに合わせますが、もし肛門や臀部の患部をかんだり、なめたりしようにするなら大きめのカラーを使わないと口が届いてしまいます。
ハードタイプ
プラスチック(ポリプロピレ)などの硬い素材を使ったカラーです。ウサギの体の大きさにあわせて、犬や猫用のエリザベスカラーの外周を少し切って使うこともあります。
- 傷口を噛めないようにしっかりしている
- ソフトタイプよりはやや違和感がある
- 餌や水が飲みにくい
お薦めハードタイプ
ファンタジーワールド エリザベスカラー VETカラー SS レッド
犬猫用のSSがウサギにピッタリ!
ソフトタイプ
布や軟らかい素材を使ったカラーです。プラスチック製の首輪と同じ目的を果たしますが、動物にとってはるかに優しいこれらの首輪は、柔らかい布で作られており、マジックテープまたは紐を使用して締めます。より快適かもしれませんが、プラスチック製のものよりも動物の視界を妨げるものが多いです。
- 軟らかいので軽い
- カラーが曲がるので、餌を食べやすく、水も飲みやすい
- 顔を押しつけて傷をなめる可能性がある
- カラーをかじって飲み込む可能性がある
キリカン洋行 ソフトリカバリーカラー S 小型犬 うさぎ用
柔軟な撥水性特殊繊維製!とってもソフトでやさしく柔らかいカラーで、身体にフィットし、睡眠時も邪魔になりません。
【楽天市場】ソフトリカバリーカラー S 1枚 猫 小型犬 うさぎ用 エリザベスカラー キンカン洋行:ペットの診療所犬猫療法食&サプリ (rakuten.co.jp)
chou chou(シュシュ)うさぎ用品大阪 ウサギ用エリザベスカラー
すげー売れている!軽くて、可愛いくて、装着が楽なんです!ウサギんのストレスを考えるとさっと付け外しができるをコンセプトに作成しました。マジックテープで1~3センチの調整が可能です。
撥水加工のカラー
上記の同じ会社で作成した撥水タイプのカラーです!それぞれ1個ずつ用意しておきましょう!
赤ちゃんのよだれ掛けのように胸の部分だけを隠す布製のカラーもあり、全周をカバーするのではないので、気にしないウサギが意外と多いです。意外とこのカラーを装着しただけでも患部を気にしなくなるウサギが多いです。しかし、カラーをかんで外したり、布を食べてしまうウサギもいるため、注意しましょう。
カップ麺カラー
カップ麺に穴を開けて自作するハードタイプのカラーです。ウサギにとって軽くて違和感もなく、自然に生活できるケースが多いです。耳を通す穴も別に開けると、さらにカラーも外れにくくなります。
餌が食べやすいように、カップの下の口の当たりは、少し切ってあげると良いですが、切り過ぎると口が届いてカラーの意味が無くなってしまいます。カラーをかじって崩壊するウサギもいますので、注意して下さい。
カラー装着後の対応
エリザベスカラーを装着したウサギには、食糞対策、餌や飲水対策、ブラッシング、ストレス対策を行います。
食糞対策
最初に盲腸便がカラーによって食べれずに床に落ちているはずなので、それをウサギの口元に持っていって下さい。自ら口にするようであれば理想です。口にしない場合は、盲腸便の栄養を代わりにとらせるしかありません。主な栄養はアミノ酸とビタミンBなります。
アミノ酸対策
アミノ酸はタンパク質を構成するものですが、お肉やプロテインを与えるのではなく、良質なアミノ酸が豊富なマメ科の牧草 (アルファルファやクローバー) やアルファルファが主原料であるペレットが与えてください。今のエサに適当に加える程度でも構いません。
ビタミンB対策
ビタミンBを摂取させるにはサプリメントが最も効果的です。以下のビタミンサプリメントは動物病院用なのでお勧めです。甘いのでとても扱いやすいです。直接飲ませたり、ペレットに染み込ませたり、水入れ混ぜてもよいです。
お勧めカラー装着時のビタミンBサプリはコレ
ミネルヴァ タウビタB 60mL
ウサギにも使える美味しいビタミン!動物病院用
餌・飲水対策
餌はエリザベスカラーをしても食べやすいように高つきの皿にしてください。皿で水を飲むウサギなら、水も高つきの容器にして下さい。給水ボトルは少し高い位置につけて、カラーをしたウサギがやや上を向いて吸い口から飲める位にして下さい。カラーをしても食べやすい、牧草や野菜を多く与えるとよいでしょう。いずれにせよ、餌を食べている量や水を飲んでいる量を測って、問題ないか確認してください。
お薦め高つきはコレ
ペッツルート フリーハイ食器 容量150mL
高めのスタンドでらくらく食べやすい!傾き自在の食器で、割れにくく洗いやすいプラ食器です。
ブラッシング
肛門や陰部、四肢に盲腸便がこびりつきます。自ら毛づくろいもできないので、毛並みが悪くなります。ブラッシングは毎日行って下さい。
ストレス対策
カラーすること自体がストレスですが、それ以外のことでストレスを与えないようにしてください。ケージから出してのへやんぽ等はいつもと同じに行い、玩具も可能な物を選んで与えてください。
これがポイント
- ウサギはエリザベスカラーを嫌がる
- 傷に口が届かない大きさでないと意味がない
- カラーはソフトタイプとハードタイプがある
- ソフトタイプにはよだれ掛けタイプ、ハードタイプにはカップ麺タイプがあり、意外と好評
- 餌や水が口にできるかを確認
- 食糞対策をする
おまけ
カラー装着ができないウサギにも術後服を着せることがありますが、多くはかんでしまいます。しかし、ウサギにも適した商品がありますので、興味ある方はぜひトライしてみて下さい。
術後服
リボン調節ができるので、大抵のウサギでも着れる!
まとめ
基本的にウサギはエリザベスカラーを嫌がりますので、色々試して、最適な商品を選ぶしかありません。装着すること自体がウサギにとってストレスなため、それを最小限にする努力を飼い主が考慮しないといけません。
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参考文献
- Dobbins RM.The use of staples for skin closure following elective ovariohysterectomies in pet rabbits.Clinical Research Abstract.BSAVA Congress irmingham.2000
- Knudtzon J.Plasma levels of glucagon,insulin,glucose and free fatty acids in rabbits during laboratory handling procedures.Z.Versuchstierk26:123-133.1988