カエルの幼生は、前変態期、変態始動期、変態クライマックスの3ステージに分かれています。幼生の成長が進む時期を前変態期、それ以降に後肢の成長して前肢が出現するまでを変態始動期、尾と鰓が吸収して消失し、肺が形成されて成体となるまでが変態のクライマックスです。変態始動期以降は甲状腺ホルモンによって変態過程が全身的に制御されています〔Lim et al.2002,Furlow et al.2004〕。変態に関わるホルモンは、甲状腺ホルモン以外にも副腎皮質ホルモンとプロラクチンなどで計3種類です〔Kikuyama et al.1993〕。甲状腺ホルモンは変態における中心的な役割を果たし、ほとんど全ての変化に影響します。副腎皮質ホルモンは前変態期には成長や発達を遅延させますが、変態始動期には甲状腺ホルモンの働きを強めることで変態を加速させます。プロラクチンは幼生器官の発達や維持の役割を担い、変態期の変態の進行速度を和らげながら、一部の成体器官の発達を促します。両生類の変態はこれらのホルモンにより複合的に調節されると考えられています 〔Kikuyama et al.1993,Denver 2013〕。