爬虫類の表皮は特に体表からの水分蒸散による乾燥を防ぐため、表皮の表面に硬い鱗を持ち、ケラチンを多く含んだ死滅した細胞が厚い角質層を形成しています。この鱗は成長に伴って、周期的に新しい角質層が下に作られ、外側の古い角質層が剥がれて脱落するのが脱皮です〔Kardong 2002〕。トカゲやヘビでは一定の周期で短期間で脱皮が促進する現象が見られますが、カメはそれに比べて緩慢に時間をかけて脱皮しているようです。なお脱皮をすることでダニなどの外部寄生虫も一次的に除去されます。また、脱皮をすることでフェロモンが放出され、皮膚の色や模様が鮮やかになり、交尾相手の魅力が高まるよな作用もあります 〔Bauwens et al.1989〕。
カメの脱皮は継続的に行われますが、トカゲやヘビでは脱皮していない休止期と一気に増生する時期と極端に分かります。脱皮が始まると、ケージの中の木や石、シェルターなどに体を擦りつけて古い角質層を剥がします。カメとトカゲは時間をかけて体の部分ごとに脱皮するため部分脱皮と呼ばれます 〔Gravish et al.2008〕。ヘビは全身の皮が繋がって剥がれるため全身脱皮と呼ばれ、ヘビの抜け殻として有名です 〔Rutland et al.2019〕。特にカメの脱皮は知らず知らずに目立たなく行われ、甲羅も皮膚の一部なので、古い甲板がポロリと剥がれ落ちます。水ガメでは水槽の水底に古い甲板が沈んで発見されます。
トカゲの脱皮の明確な前兆がありません。トカゲのグループであるアガマ(フトアゴヒゲトカゲ)やイグアナ、カメレオンは、全身の皮が浮いて細かい断片になって古い皮が剥がれる典型的な部分脱皮ですが、ヤモリはヘビに近い脱皮をします。ヤモリの脱皮は全身にうっすらと膜を被ったような感じになり、つやもなくなります。その膜の所々に亀裂が入り、脱皮の皮が浮き上がり、それを口を使って引っ張って取り去ります。脱皮した皮を食べてしまうヤモリもいます。多くの爬虫類は脱皮の直前には、皮膚や鱗は色がくすんで乾いた感じになり、薄い皮が浮いて見えてきますので、脱皮直前には白っぽくなります 〔Rutland et al.2019〕。
ヘビも脱皮前に、鱗の色がくすんで乾燥し、同時に目 (アイキャップ) も白濁し、脱皮に備えます。ヘビは摂食を控え、隠れるか安全な場所に移動し、その数日以内に、古い鱗は口の付近で破れ、ヘビは周りの粗い表面に身を擦り付けるようにして身をよじらせながら古い鱗を脱ぎ進めます。多くの場合、脱ぎすてた靴下のように一連の脱け殻になり、頭から尾まで全身が裏返しになっています 〔Rutland et al.2019〕。ヘビの脱皮こそ永生と新生をもたらす象徴とされ、古くから縁起物と考えられ、財布などに入れておくと金運があがると信じられています。
Bauwens D,van Damme R,Verheyen RF.Synchronization of spring molting with the onset of mating behavior in male lizards,Lacerta vivipara.J Herpetol23(1):89-91.1989
Bauer AM,Russel AP,Shadwick RE.Mechanical properties and morphological correlates of fragile skin in gekkonid lizards.J Exp Biol145:79-102.1989
Gravish N,Autumn K.Gecko adhesion:Evolutionary nanotechnology.Phil Trans R Soc A366:1575-1590.2008
O’Malley B.Clinical Anatomy and Physiology of Exotic Species:Structure and Function of Mammals,Birds,Reptiles and Amphibians.Saunders Ltd.Philadelphia.2005
Price ER.The physiology of lipid raft storage and use in reptiles.Biol Rev92:1406-1426.2017
Rutland CS et al.Reptilian skin and its special histological structures biology,environmental science.In Veterinary Anatomy and Physiology.Rutland CS,Kubale V,Payan-Carreira R eds.2019