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嘴の過長
カメは歯を欠く代わりに硬い嘴を持ち、上顎の嘴がほんの少し下顎の嘴に重なっているのが正常です。この嘴は爪と同様に伸びてきますが、採食の際に嘴を使って引き千切ったり、かみ切ったりすることで、上手く削れて伸び過ぎるのを防いでいます。
原因
柔らかい餌によってカメが餌を引き千切ることが減ったり、柔らかい葉の部分ばかり食べていると、嘴が長く伸びて不正咬合になります。代謝性骨疾患による頭骨や顎骨の形成異常、あるいは生まれつきの奇形でも発生します。
症状
多くは上顎の嘴が過長し、水ガメよりも陸ガメに多発します。
反対に下顎の嘴が上顎よりも前に突出する受け口のカメもいます。
上と下の嘴の左右で変形しているカメもいます。
代謝性骨疾患による頭骨や顎骨の形成異常だと、嘴だけでなく顔も変形しています。
嘴の過長や不正咬合により、採食がしにくくになり、「キュッキュッ」「カチカチ」などの摩耗音が聞こえます。
水ガメの嘴が過長になると、採食の際に水槽の壁にぶつかって折れることがあります。空腹なカメだと、水槽に顔が当たりながらも餌を食べるので、容易に破折します。嘴が欠けた場合でも、通常は時間とともに大抵は伸びてくると思いますが、伸びてくる間は上手く採食できないこともあるので、色々な餌を試して食べられるものを選んで与えましょう。
治療
過長した嘴はカットします。飼い主が自身で嘴をカットする時は、人間用の爪切りやニッパを使いますが、上手く切れなかったり、縦割れをして欠けたりしますので、推奨できません。動物病院で嘴を綺麗に切ってもらう方が事故も少ないです。ただし、どうしても甲羅に頭を引っ込めたり、かみつくカメは麻酔をかけないと切ることができません。
予防
大きくわけて2つあります。
- 代謝性骨疾患の予防
- 嘴を摩耗する餌
代謝性骨疾患の予防
代謝性骨疾患により、上顎と下顎の骨が変形して、嘴が適切に磨耗できない状態になります。紫外線不足あるいはカルシウムが少ないエサが原因で代謝性骨疾患になります。幼体の時の成長伴って、顔の形も整ってきます。日光浴を積極的に行い、適切なライトを選びましょう。
嘴を摩耗する餌
野生のカメは、リクガメでは固い野草、水ガメでは時に巻き貝まで食べていますので、必然的に嘴が磨り減ります。リクガメでは葉野菜ばかり食べて茎を食べない、水ガメではペレットばかり食べていると嘴は過長します。カルシウムやミネラル補給も兼ねて、イカの甲(カトルボーン)、サザエやカキの殻などの貝殻や卵の殻などを食べるようであれば与えてみて下さい。また、リクガメでは、野草などのゴワゴワした歯ごたえのある餌や野菜の茎などを与えてみるのもよいでしょう。
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