【病気】ウサギのバーバリング(心因性脱毛)/自咬症

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ストレスで自分で被毛を抜く

ウサギが被毛や皮膚を舐めたり、かんだり(バーバリング:Barbering)、抜いたり(ヘアーリング:Hair pulling)するような行為が見られます。これはストレスにおける異常行動の一つで、生活の中で何らかのストレスがある証拠です。ウサギはイライラすることで、このような行動が起こります。症状は口の届く範囲、つまり脇腹、腹部、四肢や趾、肉垂などに起こりやすいです。皮膚病と間違いやすいです。

バーバリング・ヘアーリング

被毛をかんだり、かじったりするので、切断された被毛や脱毛が見られます。毛が濡れているだけのこともあります。


ウサギ皮膚病

自咬症・自傷

自分の皮膚を咬んで傷つけて出血が起こり、炎症にまで波及します。

原因

ストレスの原因を見つけることはとても難しく、多くは特定できません。飼育環境の見直しをすることが最優先ですが、環境エンリッチメントをしっかりと考えて下さい。遺伝的要因〔Iglauer et al.1995〕、ノミやダニなども考えられます。体のどこかが痛く、その場所に口が届かないため、代わり口が届く肉垂や足を起こることもあります〔Beyers et al.1991〕

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考えれられる原因は以下のようです。

  • 退屈
  • ケージが狭い
  • 運動不足
  • 騒音
  • 周りに嫌いな物がある
  • 発情

退屈

社交性があるウサギは野生では群れでおあり、会話したり、喧嘩したり、助け合ったりしています。1頭の飼育では退屈になりがちです。肉垂の自傷は、特に肥満個体では口元に胸垂が近いこと、退屈な環境により発生しやすいです。

ウサギ自咬

ケージが狭い・運動不足

ウサギはかなり運動する動物ですが、ケージが狭い、部屋にも出してもらわえない、例え出しても十分な運動時間がないことが原因になります。

ウサギ

騒音・ケージの周りに嫌いな物がある

家の周囲で工事などしていませんか?音楽の音がうるさくないですか?ウサギは聴覚が敏感なため、人が気にしないような音が原因になることもあります。ウサギがいる部屋の配置を変えていませんか?ウサギにとってそれが嫌いだったり、怖がっているかもしれません。もう一度確認してみて下さい。

発情

オスはマスターベーションとしておもちゃや人の足にしがみついて腰を振ります。メスは落ち着かない感じになり、ソワソワしています。発情が原因として最も怪しい時は、避妊手術・去勢手術をすることで治まるかもしれません。

対応

病気が原因の可能性があるか、動物病院で確認して下さい。病気の可能性が低い場合は飼育環境の見直しと脱毛やかんだ傷をそれ以上ひどくしないように、一時的にエリザベスカラーをします。

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根本的な原因を探ることが重要ですが、見つからないことが多いです。環境要因の見直しとして、以下のことをしてみて下さい。

まとめ

原因はウサギに聞かないと分かりません。焦らずにじっくりとウサギと相談しながら、環境の見直しを一つ一つ行って、その反応を観察して下さい。

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この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。