鳥のグリットインパクション

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胃に砂がたまりすぎている

鳥は歯を欠くため、咀嚼(そしゃく)をしません。そのため2つある胃の2番目の筋胃(きんい)の中にグリッド(Grit )と呼ばれる砂粒状のものを貯めることによってエサをすりつぶし、咀嚼のような感じで消化の補助をします。そのため筋胃を砂嚢(さのう)あるいは砂肝(すなぎも)と呼ばれます。胃の中のグリットが溜まりすぎる病気がグリットインパクション(Grit Impection)です。

グリットとは?

グリッドの素になるものとしては種子食の中に混じった砂や、ボレー粉、イカの甲羅(カトルボーン)、塩土、焼き砂、サンドパーチカバーの砂、植木鉢の土、ペレットに含まれるカルシウムの粒などがあります。基本的に成分は炭酸カルシウムになります。

症状は?

筋胃の中に過剰のグリットが停留し、突然の嘔吐や食欲不振を起こし、食滞を起こすことがあります。グリットインパクションを発症しているかどうかは、X線検査でないと判断できません。

X線で診断

下の写真は普通の量のグリットが確認されるX線写真です。お腹のあたりに見える白色粒上のものがグリットです。

次の写真は、大量のグリット筋胃に停留し、症状が見らえる鳥のX線写真です。

X線だけでなく症状とともに診断する

元気や食欲、排泄にも問題なくグリットインパクションのようにX線検査で診断されることも多いです。レントゲン検査では筋胃の大きさは分からずに、グリットだけの評価であるため、停留してつまっているかは実際の所は分かりません。必ず症状とともに診断して下さい。

治療は?

シードやペレットなどの粒餌から、流動食に切り替えます。または潤滑剤の内服投与でグリットの排泄を促し、ボレー粉などによる小さいグリットは消化による溶解を待ちます。

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この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。