インコの卵づまり対策~苦しそう?

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卵づまりなのか確認!

メスのインコは一羽で飼育しても無精卵を産します。順調に卵を産んでいたのに、突然産まなくなり、羽を膨らませて目を閉じてうずくまる症状が見られると、卵づまりが疑われます。しかし、他にも卵管炎などの生殖器の病気や低カルシウム血症等とも鑑別をしないといけません。

セキセイインコ

お腹を触ると硬くて丸いものありますか?

可能であれば鳥を捕まえてお腹を触って下さい。丸くて硬いものが触れたら卵づまりの可能性が高いです。分からなかったら、無理をしないで下さい。長時間にわたり鳥を抑え込むと、鳥も抵抗して疲れてしまい、弱ってしまうことがあります。触りすぎて卵が割れてしまうようなこともあります。

鳥の爪切り

丸いのがあったら卵づまり

まずは以下の状況確認をしてください。

状況確認

  • 今まで卵を産んでいましたか?
  • お腹が張って総排泄孔から白い卵が見えていませんか?
  • 力んでいますか?
  • 糞や尿は出ていますか?

今まで卵を産んでいましたか?

インコは年に1~3回くらい産卵しますが、オスがいなくても発情をして、4~6個の卵を2日間隔で無精卵を産みます。過剰な産卵は卵管の病気を引き起こしたり、体のカルシウムが卵のために少なくなり(低カルシウム血症)、正常な産卵ができなくなります。
 鳥の巣

昔は順調に産んでいましたが、最近、産む卵の数が減ってきませんでしたか?卵の形が変形していませんでしたか?産んだ卵の殻が柔らかくなっていませんか?このような現象が思いあたるようであれば、それが卵づまりの前現象だったのでしょう。

  • 動物病院で卵巣や卵管の状況を診断してもらい、今後の対策ならびに卵づまりの予防策を練っておくべきでした。

お腹が張って総排泄孔から白い卵が見えていませんか?

総排泄孔から卵が見えていませんか?力んで卵が穴から見えたり、隠れたりすることもあります。

セキセイインコ卵づまり
  • お腹を強く押して卵を割らないでください。割れた卵が卵管を傷つけてしまうことがあります。鳥がショック死を起こします。
  • 総排泄孔から卵が見えていても、無理して取り出さないで、獣医師に処置は任せて下さい。卵が出てきやすいように油を肛門に入れてると良いと本に書かれています。しかし多くの場合は上手く入れられません。

りきんでいますか?

りきんでいるということは、卵を自らの力で産もうとしているのです。卵を産むのに相当の体力を使います。りきんでいないこともありますが、りきみが周期的なこともあります。りきまずに弱っている時は、動物病院へ早急に受診するべきです。りきむことで時に腹圧がかかり、総排泄孔が腫れたり、卵管などが総排泄孔から出てしまうこともあります。
セキセイインコ低カルシウム

  • りきむ時間が長いと、それだけで鳥は弱って死んでしまいます。早急に動物病院で対応してもらいましょう。

糞や尿は出ていますか?

卵の位置によっては糞もつまったり、尿が出なくなることもあります。糞が出ないことで、状態がさらに悪くなります。白色の尿酸が出ていないと、腎不全になり、卵づまりでない病気で死ぬ可能性が高くなります。

  • 鳥専門の動物病院が理想ですが、緊急を要するため、鳥も診てくれる動物病院を探しておきましょう!
  • 緊急事態にも差があります。夜間診療をしている動物病院まで1時間以上かかる・・・翌日に近隣の動物病院で診てもらう・・・鳥専門動物病院でない・・・すべてを満たすことは難しいので、その判断は飼い主次第になります!

動物病院に伝えるポイント

  • 産卵中でしたか?
  • 食欲はありますか?
  • 羽を膨らましていませんか?
  • お腹が膨らんでいませんか?
  • お腹を触ると卵らしきものありませんか?
  • 総排泄孔から卵が見えてませんか?
  • 糞や尿が出ていますか?

卵づまりの原因

卵づまりの原因は、若齢での初めての産卵、寒さ、ストレス、カルシウム不足、卵巣・卵管疾患などがあげられます。

雌鳥の繁殖と卵の詳細な解説はコチラ!

対応

できることはごくわずかですが、最低限の対応を解説します。下記の方法を行い、鳥の状態が悪化しても、当方は責任を負えませんのでご了承下さい。

その1

保温をして下さい。ホカロンや湯たんぽをケージの周りに置いたり、ペット用のヒーターや保温用の電球をつけたり、エアコンで室温を上げたりなどの対策をして下さい。エサと水も入れておきます。温度の目安は羽を膨らませなくなるまで上げますが、おおよそ30℃を目安にします。暑すぎると翼を浮かせ、口を開き、「ハァーハァー」します。状態によりますが、35℃くらいまで上げる場合もあります。エサも食べていないので、栄養剤を与えて下さい。

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その2

飲水に栄養剤やカルシウム剤をいれて飲ませます。鳥に体力を与えることが必要です。なお、カルシウムは、投与しても即効性があるわけではないです。

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その3

緊急対応と同時に鳥を診てくれる動物病院を探してください。鳥専門病院が理想ですが、本音を言うと急を要する状態ですので、時間をかけて遠方にまで移動することはお勧めできません。卵は出れば、少しづつインコは状態がよくなっていくはずです。しかし、その後も調子が悪そうであれば、次の卵がつまっていたり、卵管炎を起こしていたり、体の中で何かが起きているはずです。残念ながらインコが地面にうずくまってしまい、呼吸が早くなっていると、助からない可能性が高いです。この状態では、車での移動にも耐えられないでしょう。

最後に

卵づまりは色々な原因で起こります。卵管がおかしいのか?卵が変形しているのか?鳥の体力はあるのか?などの要因で上手く卵が産めることもあれば、そのまま死んでしまうこともあります。卵づまりは物理的に突然起こることが多いので、怖い病気です。一番の予防は何よりも無駄な発情をさせないことです。

発情させない対応はコチラ!

もしも卵が産めても、インコは数個の卵を産むために、翌日以降にまた卵を産むかもしれません。動物病院で診察は受けて、獣医師の診断や治療にしたがってください。無精卵を産む回数が増えてきたり、卵は変形していたり、また突然卵を産まなくなったりした場合は、何か体の中で異常が起きている可能性があります。

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。