【病気】鳥の腫瘤症〔バンブルフット〕

趾裏の炎症

鳥の趾裏の炎症や損傷の総称を腫瘤症と呼ばれています。

症状

軽度の発赤や擦り傷、胼胝、慢性的な深部の膿瘍まで多岐にわたります。

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悪化する場合は、徐々に炎症が進行して腫れがひどくなり、脚裏が変形します肉芽が形成されて変形しています。

オカメインコ趾瘤症

趾だけでなく、脚までもが腫脹し、バンブルフット(Bumble foot)とも呼ばれています。重篤な感染になると、骨や腱鞘および関節、特に脛骨足根関節および膝関節までに波及し〔Andreasen 2008〕、骨髄炎や敗血症に進行することで、水禽ではの死亡例の報告があります〔Cooper et al.1976,Marques et al.2009〕。

発生

全ての鳥類に発生しますが、飼鳥ではインコ・オウム類、ウズラ、ニワトリ、アヒルに多く見られます。重篤になるのは、ワシやタカなどの猛禽類、ウズラやニ ワトリなどの家禽類やアヒルなどの水禽類です〔Remple 2006,Andreasen 2003,Davidson et al.1985〕。

原因

鳥は常に趾を止まり木や地面につけて立っているため、不適切な止まり木、体重の増加、加齢などによって、趾裏への負担が大きくなることが原因で、二次的に細菌感染を起こすこともあります。不適切な止まり木とは、プラスチック製、角の鋭い製品、細すぎる製品で、またはワイヤー床などがあげられます、家禽や水禽では、硬い、粗い、鋭利な表面をの床で常に歩き続けるため、小さな外傷を負うことが原因になります。 細菌感染の原因菌は、黄色ブドウ球菌、大腸菌、またはプロテウス属菌などが分離されています〔Andreasen 2003〕。また、発生素因でビタミンA欠乏症もあげられています〔Coles 1985〕。

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治療・対応

床や止まり木の改善、体重の減量などの発生素因を改善します。炎症が強い場合は、抗生物質や抗炎症剤の投与、消毒、居所包帯をする必要があり、膿瘍であれば、切開・排膿します。趾瘤症を起こす根本的な原因を通常の生活の中で改善する必要があります。肥満の鳥はダイエットが必要で、適切な食事への改善もして下さい。止まり木の太さも見直して、足底への負荷を軽減する方法もとることがあります。

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参考文献

  • Andreasen CB.Staphylococcosis.In Saif YM,Barnes HJ,Glisson JR et al.eds.Disesase of Poultry 11th ed.Iowa State University Press.Ames IA:p798–804.2003
  • Coles BH.Avian medicine and surgery.Avian medicine and surgery.Blackwell Scientific Publications.Oxford.1985
  • Cooper JE,Needham JR.An investigation into the prevalence of S.aureus on avian feet.Vet Rec28:172–174.1976
  • Davidson WR,Netless VF,Couvillion CE et al.Diseases diagnosed in wild turkeys (Meleagris gallopavo) of the southeastern United States.J Wildlife Dis2l:386–390.1985
  • Marques RMV,de Resende SJ,Donatli VR et al.A bumblefoot outbreak and fatal septicemia in captive aquatic birds in Brazil.Ciencia Rural Santa Maria39:1905–1907.2009
  • Remple JD.A multifaceted approach to the treatment of bumblefoot in raptors.J Exo Pet Med15:49–55.2006
  • Andreasen CB,Staphylococcosis.Disesase of Poultry.12th ed.Ames.Saif YM,Fadly AM,Glisson JR et al.eds.Iowa State University Press.IA:p892–900.2008

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。