【病気】アホロートルの水カビ病(白いモヤモヤ)

Contents [非表示]

モヤモヤ

外傷を追った四肢や鰭に白色のモヤモヤした綿毛状のものが付着していませんか?それは水カビかもしれません。

原因

水カビ病は真菌類のミズカビ目ミズカビ科サプロレグニアミ(Saprolegnia)属の数種の糸状菌による皮膚感染症です。魚病では水生菌症やワタカブリわー病などとも呼ばれています。


発生

水カビ病は何らかの皮膚障害や免疫低下を受けた際に、二次的にミズカビが寄生して増殖する日和見感染で、健常体には発生しません。発生要因になるものとしては、外傷や細菌感染などで、水温急変や水質変化によるストレスなどもあげられます。特に水生であるアホロートルに好発します〔Gentz 2007〕。

症状

皮膚、外鰓や鰭の損傷部にカビの胞子が付着し(小さな白点が見える程度)、次第に増殖して綿帽子状に多数の菌糸が広がります。最終的には組織内に侵入した菌糸によって表皮組織が崩壊し、寄生部位を出血させたり、壊死させます。皮膚の浸透圧差調節の破壊によって、全身性浮腫症候群が起こることもあります。

診断・検査

顕微鏡検査で胞子を伴う菌糸の存在を検出します。

治療

水カビ病は二次的な発生と考えられるので、発生要因となる外傷や細菌感染などの治療も必要になります。水カビには抗真菌剤を使用しますが、両生類では、2.5%の塩水浴(2〜10分間)での治療報告があります〔Greenwood 2002〕

予防

水カビの発育温度は一般に低いので、20℃以上に昇温できればカビの活力を低下させます。しかし、アホロートルの至適環境温度は20℃以下なので、高い温度設定にすることは難しいです。水カビ病は日和見感染なので、外傷を負わないように水槽の中のレイアウトに注意したり、細菌感染を予防するために、水換えや栄養管理に務めましょう。

参考文献
■Gentz EJ.Medicine and Surgery of Amphibians.ILAR Journal48(3):255-259.2007
■Greenwood J.Aquarium Fish Care and Diseases.In Aquaculture and Aquatic Animal Health.Proceedings 347,Post Graduate Foundation in Veterinary Science.University of Sydney.2002

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。