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爬虫類の心臓
心臓は右心と左心に区分けされ、それぞれ上側を心房、下側を心室と呼びます。我々哺乳類の心臓は2心房2心室の構造をして4つの部屋に分かれています。この構造は動脈血と静脈血が混ざらないので、効率よく酸素と二酸化炭素の交換を行うことができます。なお、鳥類の心臓も哺乳類と同じ構造をしています。哺乳類も鳥類も外気温に左右されず体温を常に一定に保つことができる恒温動物で、呼吸手段は肺のみです。
一方、両生類と爬虫類の心臓は2心房1心室の構造で、心房は左右2つに分かれているのですが、心室は1つで3つの部屋から構成されています。この構造は動脈血と静脈血が心室で混ざってしまい、酸素と二酸化炭素の交換効率がよくないです。そこで、両生類や爬虫類は肺呼吸の他に皮膚呼吸も行えるのです。皮膚呼吸では体の表面に呼吸ができる細胞を露出させて空気を出し入れしています。爬虫類の2心房1心室の心臓は両生類と一部が異なり、心室を2つに分ける壁ができはじめています。両生類よりも肺と心臓が強くなったため、皮膚呼吸をする必要がなくなり、より陸上生活に適応しているのでしょう。爬虫類全てがこのような心臓をしているわけではなく、例えばワニは完全な2心房2心室の構造をしています。
心不全ってあるの?
爬虫類の心臓の病気は検査が確率されていないこと、その基準が明確でない理由から明確に診断されるケースが少ないです。心臓の機能が低下することで、食欲と活動性が低下します。
むくみや腹水なども見られます。心臓だけに問題がある原発性のものと、他の病気や全身の感染症などで二次的に心臓にも影響が見られたものに分けられます。
X線検査で心臓が拡大して発見される心臓肥大に遭遇することがあります。
ヘビは心不全が他の爬虫類よりも多くみられ〔Gray 2004〕、次いでフトアゴヒゲトカゲやグリーンイグアナなどのトカゲでも見られます〔Raiti 2012〕。高齢の爬虫類では動脈硬化なども診断されます。
治療できるの?
爬虫類の心不全の治療は確立されていません。哺乳に沿った治療を行うしかありません。
参考文献
■Gray TZ.Cranial Body Swelling .In A Boa Constrictor,Boa constrictor constrictor.J Herpetol Med Surg. 14(4).22-24. 4 Refs.2004
■Raiti P.Husbandry,Diseases,and Veterinary Care of the Bearded Dragon (Pogona vitticeps).J Herpetol Med Surg22(3-4).117-131.67 Refs.2012