飼育下のヒョウモントカゲモドキの目に関与するトラブルは一般的です。112頭のうち52頭(46%)が眼疾患を患っていたと言う報告もあり、理由は不明ですが、メスよりもオスが発生率が高く、発生年齢は加齢とは無関係のようです〔Wiggans et al.2018〕。飼い主は頻繁に目を閉じたり、目の周りに目ヤニが付いていることで気付きます。これらの問題は家庭で一般的で治療可能なものから、非常に深刻なものまで様々です。
ヒョウモントカゲモドキは、パキスタン、インド、アフガニスタンなどの砂漠地帯に分布しており、半乾燥地帯に生息しています。しかし、生息地は夜間は涼しくなり、空気は湿った状態で、夜露や朝露が発生します。ヒョウモントカゲモドキはイモリと異なり可動性の眼瞼を持っています〔Wiggans et al.2018〕。したがって、ヒョウモントカゲモドキの飼育では、目の周りの脱皮を促進するための適切な湿度と、そして適切な栄養のバランスがとれた餌が必要です。ヒョウモントカゲモドキの目は頭の大きさに比例して大きく〔Tony et al.2015〕、感染症や異物混入しやすいため、他の動物よりも発生しやすい理由の1つです。
カロチンがビタミンAに転換できない理由 近年、爬虫類のビタミンA欠乏症において、体内に存在するビタミンA及びβカロチンの吸収・代謝の中心的な役割を演ずるβカロチン中央開裂酵素(β-carotene 15,15′-monooxygenase:BCMO)が注目され、研究が進んで色々なことが解明されてきました。肉食や雑食性の爬虫類の方がビタミンA欠乏症を発症しやすく、草食性の爬虫類は発症しにくいそうです〔Mans et al.204〕。その理由は、肉食や雑食性の爬虫類ではBCMOが発現せず、草食性の爬虫類ではBCMOにより植物のβカロチンからビタミンAを転換しているという考えからきています。しかし、BCMOは各爬虫類に存在するのか、ビタミンAにどの程度転換されるのかなどは現在研究されている段階です。βカロチンの餌を与えたヒョウモントカゲモドキでは十分にビタミンAに転換できるという結果も報告はされていますが〔Cojean et al.2018〕、詳細は不明です。
脱皮不全のヒョウモントカゲモドキは、目に問題がある可能性が高いです〔Wiggans et al.2018〕。眼の周りならびに眼瞼の古い皮は、結膜や角膜に影響しますが、眼瞼の内側(裏地)にある結膜嚢に角質が蓄積することがあります〔Reavill et al.2012〕。これが継続的に発生すると、角質のさらなる増殖が起こりプラグ(栓子)が形成され、眼球の圧迫を起こしたり、角膜がプラグと融合し、永久的な眼の損傷を引き起こす可能性があります。初期の場合は、綿棒などを使用して古い脱皮をはがしたり、目のプラグを除去します。眼瞼の皮を剥がす時は、眼瞼の裏地も剥がれていることを確認しないと、結膜嚢にのプラグの原因になります。密閉されたシェルターに湿ったバーミキュライトやミズゴケを入れて、湿気のある隠れ場所を提供したり、温浴をさせて脱皮を促進させます〔Reavill et al.2012〕。
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