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トカゲの尾
爬虫類の尾は重要で、カメレオンや一部の樹上性のトカゲでは第5の肢として機能します。樹上だけでなく、尻尾を走る際のバランス取りや、水泳にも使用され、重要な器官と言えます。
爬虫類の尾の疾患の原因
爬虫類の中でもトカゲは相対的に尾が大きく、尾の疾患も比較的多く発生します。尾の疾患は、環境要因での発生と身体的病変の2つに分けられます。
環境要因
環境要因での発生は湿度低下による乾燥が原因の脱皮不全によるものと飼育環境不備による尾の変性や損傷です。脱皮不全が起こることで、特にヒョウモントカゲモドキなどでは二次的に炎症や壊死が見られます。
狭いケージや水槽では、尾が常に折りたたんだ状態のために変性したり、壁にぶつけて損傷します。身体が大きくかつ尾が長いイグアナでは常に尾のトラブルが発生します。ケージや水槽の中での落下物や枝の間に挟まれたり、喧嘩や生き餌であるネズミに尾に外傷を追います。
水ガメでは仲間に尾をかじられることがありますが、水槽が狭いか空腹で気性が荒くなっていることが原因です。熱源であるライトやヒーターによって火傷を起こすことも希にあります。ヤモリでは適切な位置に止まり木がないと、水槽壁に頭を下にして張り付く時間が長くなり、重力によって尾が変位すると言われています(ヤモリのフロッピーディスク症候群)。
身体的病変
身体的病変では尾に細菌や真菌感染がまれに起こりますが、代謝性骨疾患で尾椎が変形するトカゲに多く遭遇します。また、循環器の問題で血栓が形成されて尾が壊死することもあります〔Zwart et al.2006〕。
症状
いずれにせよ尻尾は変色や炎症が見られ、壊死を起こしています。変位している場合は骨折を起こしていることあります。腫瘤が見られる場合は、膿瘍や肉芽腫、関節炎を起こしています。
治療
脱皮不全であれば乾燥対策を行い、炎症などに対しては抗生物質を投与します。しかしながら、尻尾が変形したり、内科治療で再生が期待できない場合は、断尾処置を行い、自切能を持つ種類では新しい再生尾が生えてきます。自切能がない種類では尾が短いまま生活を送ってもらいます。
参考文献
■Zwart P et al.PATHOLOGIES OF TAILS IN REPTILES.Conference: European Association of Zoo-and Wildiife Vetennanans (EAZWV) 6.scientfic meeting,24-28. 2006