動きがおかしい・・・専門獣医師が解説するカエルの代謝性骨疾患

カエルの栄養障害です

与えるエサの栄養の不均衡により、骨が変形することがあります。哺乳類で使用さてている病態である栄養性二次性上皮小体機能亢進症、骨軟化症やクル病、骨粗鬆症などの病名が使われています。しかし両生類においての定義が不明確であったり、発生が複雑であるため、これらを全てまとめて 代謝性骨疾患 (Metabolic Bone Disease:MBD) と呼ばれています。レントゲン検査で骨が薄くなったり、変形している所見で診断されます。

原因は?

MBD は骨の形成に必要なカルシウムの不足が大きな原因ですが、リンやビタミンDなどの他の栄養要因の欠如も関与します。たいていは、カルシウムが少ないコオロギやワームを主食としている場合が圧倒的に多いです。しかし、カルシウムも単に沢山与えればよいというものでなく、理想的なカルシウムとリンの比率 (Ca:P=1.5~2:1 )であって初めてカルシウムが体内に吸収されます。

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症状は?

骨の障害なため、カエルでは成長不良、異常な姿勢、運動失調(きちんと四肢が動かない)という症状が見られます〔Hadfield et al.2005〕。骨が脆弱になるので骨折もしやすくなります。顎の骨も変形するので、よく観察すると顔がややつまった感じになります。血液中のカルシウム値が低くなると (低カルシウム血症)、四肢の筋肉のケイレン(振戦)や胃腸蠕動の低下 (消化管うっ滞) も起こし、食欲と活動性の低下などが見られます。

予防は?

適切なエサを与えることが最もの予防になります。

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参考文献

  • Hadfield CA and Whitaker BR. Amphibian Emergency Medicine and Care. In: Seminars in Avian and Exotic Pet Medicine.14 (2): 70-89. 2005.

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。