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発生
お尻(総排泄孔)から何か出ている時は緊急事態です。逸脱しているものは内臓の一部で、総排泄腔脱、直腸脱、卵管脱、膀胱脱、ペニス脱が考えられます(膀胱脱はまれ)。いずれにせよカメは逸脱した組織を甲羅と床に挟んだ状態で引きずって歩行をするために、組織は炎症や出血を起こし、壊死することもあります。
原因
しぶりは、体腔内腫瘤、膀胱結石、胃腸のうっ滞や消化管内異物、腸炎などが腹圧の原因となり、総排泄腔脱や直腸脱が起こります〔Hedley et al.2014〕。他にも肥満や筋力の低下、または背骨の異常などの骨格異常なども発生要因になります〔Johnson et al.2018〕。産卵後などでは卵管脱が起こります。ペニス脱は発情することで発生します。
自宅での対応
逸脱した組織によって対応は異なりますが、逸脱した組織を消毒して乾燥を防ぎ、炎症しないように、濡れたガーゼや生理用ナプキンを組織にあててテープで止めたり、犬猫用オムツなどはかせて、引きずるのを防いで下さい。とくにかく早急に動物病院で診察を受けるべきです。直腸脱や卵管脱だと、緊急性を要する場合があり、様子をみて放置すると、危険な状態に陥ってしまいます。それぞれの組織の特徴を解説しますが、素人判断は禁物です。
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総排泄腔脱
逸脱した組織は短く、全体が浮腫を起こしていることが多いです。外科的に切除してはいけないので、収納します。一時的に総排泄孔を糞や尿が排泄するスペースを確保して縫合します。
直腸脱
逸脱した組織は肉色をして細長いのが特徴です。組織の先端中心に肛門が確認されますが、炎症や浮腫がひどいと分かりませせん。基本的に外科的に肛門の孔を確保して短く切除する手術を行います。
卵管脱
逸脱した組織は肉色をして細長く、アコーディオンみたいに襞状になっています。組織の先端中心に卵管孔が確認されますが、炎症や浮腫がひどいと分かりませんが、卵や黄身・白味が排泄されていると確定されます。もちろん卵管脱はメスに起こります。i卵管脱は逸脱した組織だけ切除しても、次に卵が産卵できなくなり、状態によっては数日で亡くなってしまうこともある緊急状態です。開甲手術で卵巣や卵管も全て摘出することが完治する方法になります。
ペニス脱(陰茎脱)
陰茎は総排泄孔から、出たと思ったら引っ込んだります。しかし、勃起して逸脱して、引きずられて炎症などが起こると戻らなくなります。もちろんペニス脱はオスに起こります。総排泄腔脱のように、一時的に総排泄孔を糞や尿が排泄するスペースを確保して縫合して、様子を見ますが、それでも戻らない場合は切除します。カメのペニスには尿道が通っていませんので、尿ができなくなることはありませんが、繁殖ができなくなります。
陸ガメ
陸ガメのペニスは肉色をしています。精子を通過させる精溝と呼ばれる縦の溝が見られます。
水ガメ
水ガメのペニスは、赤紫色~黒色のキクラゲのような感じをしています。対応はリクガメと同様です。
補足
逸脱した組織の対応だけでなく、しぶりを起こす原因をさぐるために全身の検査も必要になります。
参考文献
- Hedley J,Eatwell K.Cloacal prolapses in reptiles: a retrospective study of 56 cases. Journal of Small Animal Practice55(5):265–268.2014
- Johnson R,Doneley B.Diseases of the gastrointestinal system.In Reptile Medicine and Surgery in Clinical Practice.Doneley B,Monks D,Johnson R,Carmel B eds.Wiley-Blackwell:280-282.2018