ヨーロッパアナウサギが南米の粘液腫ウイルス株の皮内注射を受けた実験では、接種後約2日で接種近くのリンパ節にウイルスが発見され、3日目には血流と腹部の臓器にウイルスが発見されました。約4日で、ウイルスは接種されていない皮膚および試験から分離されました。 5日目に眼瞼のわずかな肥厚と結膜液中のウイルスの存在が検出され、6日目に精巣に充血が認められました〔Fenner et al.1953〕。
ヨーロッパのウサギは、18世紀にオーストラリアに食料源として持ち込まれました。しかし、野生のウサギの個体数は、オーストラリアでは作物に数百万ドルの損害を与える害獣と変貌してしまいました。そこでウサギの個体数を制御するために、20世紀に様々な方法が試みられてきました。射撃と巣穴からの確保から始まり、1907年にはウサギに強いフェンスを建設して、ウサギを封じ込めようとしましたが、これも失敗しました〔Broomhall 1991〕。1950年代にウサギ粘液腫症を引き起こす粘液腫ウイルスを、野生に散乱させることで個体数を大幅に減らす効果がありました。しかし、その後、粘液腫症抵抗性のウサギの増加と弱毒化ウイルス変異体が出現して、個体数が回復するようになりました。1995年以来には、ウサギ出血性疾患ウイルスが個体数を制御するためにも使用されています〔Mahar et al.2018〕。
ヨーロッパ
1952年フランスでは2頭の野生のウサギに粘液腫ウイルスを接種して根絶をはかり、ウイルスはすぐに西ヨーロッパ、アイルランド、イギリスに蔓延しました〔Kerr et al.2015,Bartrip 2008〕。その結果、ウサギは根絶に近い状態になりましたが、ウサギを補食するイベリアオオヤマネコやイベリアカタシロハシなどの捕食者が絶滅の危機に瀕しました〔Gil-Sánchez et al.2011,Sánchez .2019〕。そして、野生のウサギだけでなく、肉や毛皮用の家兎を生産する大規模なウサギの飼育産業にも大きな影響を及ぼしました。最終的にはオーストラリアと同様に免疫を獲得したウサギの増加と弱毒化ウイルス株の出現により、激減は歯止めがかかりました〔Kerr et al.2015〕。
Bartrip P.Myxomatosis:A History of Pest Control and the Rabbit.Tauris Academic Studies.London.UK.2008
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Fenner F,Woodroofe GM.The pathogenesis of infectious myxomatosis: the mechanism of infection and the immunological response in the European rabbit(Oryctolagus cuniculus).The British Journal of Experimental Pathology34(4):400-411.1953
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