ウサギの膀胱結石(炭酸カルシウム結石)

本日ご紹介しますのは、ウサギの膀胱結石です。

以前、ウサギの尿砂粒症についてコメントさせて頂きました。

その詳細は、こちらをご覧ください。

ミニウサギのゆずちゃん(5歳、未避妊)は血尿が続くとのことで来院されました。

ペットシーツ上にゆずちゃんがした血尿です。

これまでにも避妊していない雌の場合、血尿が続けば子宮腫瘍を疑うことを強調してきました。

今回も子宮疾患を疑い、レントゲン撮影から始めました。

子宮腺癌のように腫大した子宮像は認められません。

むしろ、下写真黄色丸の膀胱内に3個の膀胱結石が認められました。

おそらくこの尿結石が原因で膀胱内の出血が起こったものと推察されました。

尿検査をしましたが、ウサギの尿中に一般的に認められる炭酸カルシウムが認められました(下写真)。

他にシュウ酸カルシウムの結晶は認められませんでした。

ウサギの場合は、正常な場合でも、尿中に結晶が認められることがありますので、この結晶イコール同じ組成の尿石症と判断は出来ません。

この膀胱結石は、レントゲン上で直径2~3mmでした。

状況によりこの程度であれば、排尿と同時に排出される可能性もあると考えられます。

今回は、止血剤と抗生剤の内服で経過観察としました。

その2週間後に飼主様からゆずちゃんが、排尿時に結石が出たとの報告を受けました。

下写真は、その出て来た結石です。

この尿石の組成は、炭酸カルシウムであることが判明しました。

ウサギの場合、10㎜未満の尿石であれば自然排泄される可能性が高いとされます。

今回のように軽度な尿石であれば、十分な水分補給と排尿を促すために水分豊富な野菜(ニンジン、ブロコッリー、キャベツ、チンゲンサイ、コマツナ等)を与えるように指導してます。

適切な食餌管理によって、今後尿石症が進行しないよう気を付けて頂きたいですね!

この記事を書いた人

伊藤 嘉浩

伊藤 嘉浩

“小さくてもひとつのいのち”をスローガンに命あるもの全ての治療に全力を注いでいきたいと考えています。

動物医療は我々、獣医師と飼い主様、動物の3者が協調しあうことでよい治療結果が生み出せると考えます。

治療に先立ち徹底したインフォームド・コンセントを心がけております。