ヘビの異物の誤食に関しては多くの種類の誤食物が報告されてこそいるものの、
基本的には他の爬虫類と比較して異物を意図的に誤食することは少ないとされています。
症例概要
患者情報
- 種別: アルバーティスパイソン
- 性別: 雄
- 年齢: 1歳
- フード: ウズラ等
背景
症例はアルバーティスパイソン、1歳1ヵ月、雄。ペットシーツを飲んだかもしれないと来院しました。
前日まではペットシーツが確認されていたため、前日の夜から当日朝にかけて誤って飲み込んだと推測されます。
最後の食事は3日前にウズラを給餌したとのことです。院内では威嚇行動をするほどの活性がみられました。
治療選択肢としては内視鏡と外科手術になりますが、まずは侵襲性の低い内視鏡での摘出をチャレンジすることになりました。
麻酔
内視鏡をするにあたって、鎮静を目的に複数種類の麻酔を注射しました。
その後カテーテルにて気管挿管を行い、吸入麻酔で麻酔を維持しました。
CT撮影・内視鏡
内視鏡の前にひとまずCT画像にて異物であるペットシーツを確認します。
外観上では明らかではなかったのですが、ペットシーツらしき物体が体の半分以上に至るまで消化管内に存在することが確認されました。
続いて内視鏡を挿入していきました。
外観上でも内視鏡の光源によって大体どこまで挿入したかが分かるのは他の動物種ではなかなかみられない興味深い光景です。
内視鏡でペットシーツが視認できたため、鉗子を用いて摘出を試みました。
消化管液を吸収して膨張していたため、摘出できるか、摘出の際にトラブルなど発生しないかが懸念点ではありましたが、無事摘出を完了できました。
術後経過
現在においても大きな問題はみられていません。
まとめ
先にヘビは意図的に異物を誤食することは少ないと書きましたが、タオルの上でヘビにげっ歯類を給餌していたら、げっ歯類に続いてタオルを飲み込んでしまったというのは典型的な異物誤食の病歴とされています 。
本症例においてもウズラを給餌した際に、その血がペットシーツに付いていたため誤食をしてしまったのではないかとオーナー様は推測されていました。
ヘビは獲物の臭いに近いものを摂取することが多いため、給餌時の環境や食事の臭いが付いたとされる敷物などの取り扱いは誤食を防ぐに当たって注意が必要なのかもしれません。