ウサギの腰椎骨折

ウサギは骨が脆く骨折をしやすいことは、皆様ご存知と思います。

我々もウサギの診察は診察台の上ですることはなく、椅子に助手を腰かけさせ、仰向けで保定した状態で診察させて頂いてます。

ウサギはちょっとした物音にも反応して、強力な後ろ足でキックします。

その時に脊椎骨に障害(脱臼、骨折等)が及びますと肢の麻痺、排便・排尿障害などが起こります。

本日、ご紹介しますのはミニウサギのジュニア君です。

飼い主様が気づかれた時には、すでにジュニア君は後肢が麻痺を起こしており、起立不能状態に陥っていました。

起立不能の原因を探るためにレントゲン撮影を実施しました。

さらに腰椎を拡大したのが下写真ですが、黄色丸で示した腰椎に亀裂が入っています。

第5腰椎が亀裂骨折を起こしています。

加えて、ジュニア君の膀胱は多量の尿が貯留していますので、排尿障害の心配もあります。

後肢の痛覚はなく、現時点では前肢による匍匐前進しかできません。

脊椎骨の骨折の場合、犬猫であればプレート、骨スクリュー等による固定も可能ですが、ウサギの場合は骨が柔らかく脆いため確実な固定は望めません。

したがって、内科的療法でリハビリを含めた介護が必要となってきます。

飼い主様がジュニア君のことを愛され、大事にされてます。

ジュニア君は麻痺している後肢が気になるらしく、齧って皮膚が裂けてしまい、その治療も必要です。

排便・排尿も自身で確実にコントロールはできませんので、紙おむつをしています。

内科的治療にジュニア君が少しでも反応してくれて、後肢の麻痺が改善することを祈念してます。

全国的に見ても、脊椎損傷で後躯麻痺で介護生活をおくるウサギ達は多いです。

飼い主様の治療への情熱によるところが大きいです。

我々、病院のスタッフもジュニア君の回復を応援していきます。

この記事を書いた人

伊藤 嘉浩

伊藤 嘉浩

“小さくてもひとつのいのち”をスローガンに命あるもの全ての治療に全力を注いでいきたいと考えています。

動物医療は我々、獣医師と飼い主様、動物の3者が協調しあうことでよい治療結果が生み出せると考えます。

治療に先立ち徹底したインフォームド・コンセントを心がけております。