ウサギの皮膚糸状菌症

犬猫同様にウサギも皮膚糸状菌(カビ)の感染を受けます。

病変部としては、頸背部・顔面・四肢に限局的に脱毛や皮膚の発赤、鱗屑(フケ)が見られます。

今回ご紹介しますのは、両耳介部と両眼間部の脱毛がはじまったモモちゃんです。

黄色丸の部分が脱毛部です。

まずは皮膚掻破検査を行い、メス刃で脱毛部をこすって顕微鏡で検査を行いましたが毛包虫(アカラス)に代表される外部寄生虫は見つかりませんでした。

次に脱毛部周辺の被毛を抜いて、真菌鑑別用培地に被毛を培養して培地の色の変化を確認します。

モモちゃんの場合は、約1週間ほどで培地は最初の黄色から真菌陽性である赤に変わりました(下写真の黄色矢印)。

犬猫では皮膚糸状菌症の原因は、MIcrosporum canis であることが多いのですが、ウサギの場合は白癬菌のTricophyton mentagrophytes が圧倒的に多いそうです。

治療法は抗真菌薬(グリセオフルビンやケトコナゾール)の投薬、あるいは患部を剃毛してニゾラールローション(ケトコナゾール)の局所塗布を実施します。

皮膚糸状菌の場合は、ヒトにも感染する場合もありますので要注意です。

この記事を書いた人

伊藤 嘉浩

伊藤 嘉浩

“小さくてもひとつのいのち”をスローガンに命あるもの全ての治療に全力を注いでいきたいと考えています。

動物医療は我々、獣医師と飼い主様、動物の3者が協調しあうことでよい治療結果が生み出せると考えます。

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