チンチラ・ウサギの感電

チンチラやウサギはなぜか電気コードを齧るのが大好きです。

そして、冬に増加するチンチラ、ウサギの疾患の1つが「感電」です。

感電は電流が体に流れて傷害を受けてしまうことです。とても危険な事故ですので、少しでも予防になればと思い、感電してしまった症例2件についてお話したいと思います。

1件目は、我が家のチンチラ、ととろ君です。

ととろ君は電気コードが大好きです。

数年前、部屋んぽ中に目を離した際に電気コードを齧ってしまいました。バチンという音がしたので振り向くと、ヒゲが焦げてチリチリになっていました。

おそらく、齧った際に生じた火花でヒゲが焦げたのだと思います。

幸い大きな怪我はありませんでしたが、かわいそうなことをしてしまったと反省しています。部屋んぽ中は目を離してはいけませんね。

2件目は、ウサギのまるちゃん(仮名)です。

まるちゃんは、数日前にコードを齧って感電してしまい、それ以降食欲がなくなってきた、との主訴で来院されました。

感電した際にまず気になるのが、口唇部や口腔内の熱傷です。まるちゃんは歯や舌など口腔内は問題ありませんでしたが、口唇部に焦げた跡がありました。

また、感電時には非心原性肺水腫と言い、肺に水が貯まることがあります。

これは、肺の毛細血管が電流で損傷するために生じます。

当院では、ウサギやチンチラの感電時に肺水腫が生じた子は見たことがありませんが、念のためにレントゲン検査を実施しました。

まるちゃんの肺はキレイで、肺水腫は起こしていませんでした。肺は写真のように黒く写るのが正常ですが、肺水腫になると肺が真っ白になります。

まるちゃんの食欲低下は口唇部の熱傷が原因であると判断し、抗生剤と消炎剤、腸蠕動促進剤を処方しました。

まるちゃんは柔らかいチモシーであれば食べることができたので、食欲が元に戻るまでは柔らかいチモシーを食べて過ごしてもらうことにしました。

酷い熱傷でチモシーが食べられない子には、流動食を処方することもあります。

上図は、お薬を飲み始めて1週間後のまるちゃんの口唇部です。

傷は治り、食欲も回復し元気になりました。

まるちゃん、元気になって良かったですね。happy01

感電事故をできるだけ防ぐために、部屋んぽ中は目を離さないこと、電源コードにカバーを付けたり、届かない場所に配置する等の工夫をすることが大切です。

もし、ペットが感電している最中を見つけたときには、ペットの体には触れず、まずコードの電源を切ってください。

感電している最中に体に触れてしまうと、一緒に感電してしまう恐れがあるためです。

そして、一見元気そうに見えたとしても、迷わず早急に病院を受診して頂きますよう、お願いいたします。

この記事を書いた人

伊藤 嘉浩

伊藤 嘉浩

“小さくてもひとつのいのち”をスローガンに命あるもの全ての治療に全力を注いでいきたいと考えています。

動物医療は我々、獣医師と飼い主様、動物の3者が協調しあうことでよい治療結果が生み出せると考えます。

治療に先立ち徹底したインフォームド・コンセントを心がけております。