レオパードゲッコーは、その繁殖が容易である一方、繁殖に関連する健康問題が発生することがあります。特に、卵塞や難産は生命に関わる深刻な問題となりうるため、適切な処置が必要です。本症例紹介では、卵塞による難産のために実施されたレオパの避妊手術の詳細を説明します。
症例概要
患者情報
- 種別: レオパードゲッコー
- 性別: 雌
- 年齢: 1歳
- 飼育環境: 温湿度管理良好、オスも飼育しているが別ケージ。
- フード: コオロギ、レオパ用フード
背景
このレオパードゲッコーは、産卵せずにお腹が膨れている状態が約3週間続き、食事も摂取していないため、健康状態が著しく悪化しています。
通常はお腹が膨れてから2週間程で産卵を行っていますが、今回は産卵の兆候が見られず、腹部の膨満が長引いていることが問題となっていました。
症状
- 腹部膨満: 約3週間前からお腹が膨れており、産卵の兆候が見られない。
- 食欲不振: 約3週間、食事を摂取していない。
- 体重減少: 尾が細くなってきており、体重減少が見られる。
- 産卵の歴史: 通常は産卵しており、お腹が膨れてから約2週間で産卵することが多い。
麻酔
手術をするにあたって、鎮静と痛みの管理を目的に複数種類の麻酔を注射しました。
その後カテーテルにて気管挿管を行い、吸入麻酔で麻酔を維持しました。
手術手順
- 切開: 有殻卵の直上、腹部腹側左側で皮膚を切開し、開腹を行いました。
- 摘出: 視認できる範囲の卵巣、卵管、有殻卵を全て摘出しました。
- 閉創: 腹壁および皮膚は、吸収性の糸を使用し閉創しました。
麻酔からの覚醒
手術が終わり、抜管を行い酸素マスクをしつつ覚醒を待ちます。
麻酔からの覚醒には比較的時間を要しましたが、1時間以内には体動を認めました。
その後入院下で管理を行いました。自発的な体動は見られなかったものの、刺激により体動が認められました。
術後の経過
術後3日程で食事を再開し、その後、食欲と活動性が健常時通りに回復しました。
また、術後2週間後には1日にコオロギ6匹ほどを食べるほどの食欲を示し、健常時と同様の活動性を示しました。
まとめ
卵塞および難産による避妊手術は、適切な麻酔管理と手術技術により成功しました。
今回の卵巣卵管摘出手術は手術はレオパードゲッコーにとっての健康を守るための重要な措置であり、事前の準備と適切な術後ケアが重要です。
この症例から得られた経験は、今後の同様のケースにおいて有用な情報となるでしょう。