飼い主とデグーの知恵比べ?
臆病な性格で、聴覚も発達しているために、静かでストレスの少ない環境で飼育することが理想です。しかしながら、知能が高く、好奇心旺で何にでも興味を持ちます。ケージ内のレイアウトを変えたり、玩具を与えたり、飽きない環境を提供するべきです。
飼育
デグーは汎用性が高い動物で、他の哺乳動物よりも容易に新しい環境に適応する能力を持っています 〔Lee, 2004〕。つまり、ペットのデグーは人間の生活に合わせることができるため、昼型あるいは夜型でも生活ができます。
飼育頭数
デグーは群れの中で社会的なコミュニケーショ ンをとるため、複数飼育が勧められています。2~4頭で飼うのが理想とされていますが、オス同士では喧嘩をするため、メス同志が理想でしょう。集団で飼育すると体を寄せ合うかわいい姿がよくみれますが、集団での飼育をすると人に馴れなくなる傾向にあります。なお、1頭での飼育はストレスになるため、人とのスキンシップを増やしたり、玩具を与えるなどの策をとりましょう。
ケージ
デグーは跳躍力が優れており、十分な運動量を確保できるスペースが必要です。また、齧る力が強いため、金属製の金網タイプのケージを選んで下さい。
全面がアクリル製のケージも販売されています。
金網タイプのケージの欠点は、網目が大きいとケージを噛んだり、跳躍した際に後足が挟まり、骨折などの事故が発生することです。
ケージは床面積が広いだけでなく、高層で立体的なタイプが理想です。ケージ内の木をたてかけたり、高い位置に数段の棚を設置して、登ったり、跳躍して移動ができるような立体的なレイアウトも必要です。
ケージの中に床敷、餌容器や給水器などをレイアウトして設置して下さい。デグーは暗くて狭い自分一人で落ち着ける場所も好ので、中で動けるくらい余裕がある小屋も1つ用意します。
トイレを覚えませんが、比較的排泄物の臭いは少ないです。床敷は牧草や木製チップなどを敷きます。
温度・湿度・照明
温度
夏はケージを直射日光が当たる所や閉めきった部屋に置くと、熱中症になる可能性があります。部屋の温度を観察し、涼しい場所に置いてあげて下さい。それでも暑い場合は、冷房や送風などで温度を調節します (温度・湿度)。冬はエアコンやヒーターなどで、保温をして下さい (温度・湿度)。
湿度
湿度が高いと体温が高くなるため、風通しをよくして下さい。特に梅雨の時期などは、除湿器やエアコンの除湿機能を活用しましょう (温度・湿度)。
照明
昼行性の動物ですが、季節的に薄明薄暮性でもあるため、日光浴を特別させる必要はありません 。
温度 | 24-32℃ 〔Kenagy, et al., 2002〕 |
湿度 | 30-60% 〔Colby, et al., 2012〕 |
食事
餌
デグーは草食動物で、基本的に植物質の餌を食べます。最も重要な栄養素である繊維質は腸内細菌によって発酵・消化され、盲腸で揮発性脂肪酸 (VFA) となり、それがエネルギー源になります 〔Langer, 2002〕。基本的に牧草を主食にし、その他デグー用ペレットや野菜を与えます。
デグーは薄明薄暮の行動を示すので、朝と夕方に給餌をします 〔Ocampo-Garcés, et al., 2006〕。牧草やペレットは常に餌容器に入れておき、しおれやすい野菜は時間を決めて新鮮なものを与えます。デグーは器用に前足で餌を持って食べます。
野生のデグーは過酷な環境で暮らしているため、一日の大半を採餌に費やします。入手できる餌の質が悪く、常に食べている時間が長いです 〔Kenagy, et al., 1999; Brown, et al., 2001; Langer, 2002〕。そのためペットで常に餌容器を満たしておくと、定期的に採食する以上の量を摂取し、肥満になりやすいです 〔Kenagy, et al., 1999〕。また、餌が欠乏すると食糞の量が増えるという報告もあります 〔Kenagy, et al., 1999〕。
デグーは糖の代謝をしにくい体質なので、糖質が少ないものを与えないと、糖尿病の原因となる恐れがあります 〔Brown, et al., 2001〕。果物やおやつなどはコミュニケーションの一環として、時々与える程度にとどめましょう。なおデグーはモルモットと異なり、身体内でビタミンCを合成することができます 〔Jenness, et al., 1980〕。
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栄養
現在デグーの栄養学的知見はあまり分かっていません。野生個体で繊維質が21.6%が必要である報告のみです 〔Langer, 2002〕。専用のペレットに関してはモルモットやチンチラ用ペレットの栄養素に類似しており、糖質が低いものになっているに過ぎません。またデグーは好発する不正咬合の原因として餌のカルシウムとリンにおいての研究がなされています。カルシウムを効率的に吸収するために、餌に2:1のカルシウム:リンの比率を必要とし、この比率のバランスが崩れたり、またはカルシウムやリンが欠乏していると、歯の問題や腎臓の石灰化を発生しやすくります 〔Gumpenberger, 2012〕。
飲水
野生では乾燥した気候で生活しているため飲水量が少なく、体内の水分をより効率的に利用できる能力を持っています 〔Cortes, et al., 1988〕。最大13日間水を飲まなくても生き残れた報告がありますが 〔Cortes, et al., 1988〕、ペットでは毎日飲水用の水を与えて下さい。給水器も壁掛け式のボトルタイプと皿タイプがありますが、多くがボトルタイプの給水器で水を飲みます。飲水量は約23 mL/頭/日と報告されています 〔Colby, et al., 2012〕。
ケア
ケージの中にデグーを入れて、餌を与えるだけという単調な飼育は、成長や健康維持、繁殖のみならず、精神的的なストレスの原因になります。デグーが持つ野生本来の行動を発現できるような環境作りのために、生息地に適応した体の特徴や生態を環境エンリッチメントに沿って考えます。デグーの場合「群れる」「(物を) かじる」「(物の) 認識させる」ことが重要です。これらの習性を満たすべき環境を整える以外にも、砂浴びや爪切りも必要となります。群れることは複数で飼育をするべきですが、1頭で飼育をする場合は人がコミュニケーションをとるしかありません。
運動・回し車
活発な動物であるが、最低の運動量は一概に定まっていない。ケージの中に流木や踊り場など設置して跳躍させる以外に、回し車あるいはケージの外に放すことで運動量を増やす。
回し車で運動させると、とても喜びます。ストレス解消にもなりますので、必ず入れてあげましょう。
玩具
知能が高いデグーは物を認識する能力も優れ、器用な手先で玩具を器用に扱うことができます。賢いデグーは、退屈な環境であるとストレスを感じやすく、箱やトンネルはもちろんですが、ハンモックやボールなどでも遊びます。
かじり木
かじり木は歯の伸びすぎをおさえてくれます。また、好奇心旺盛なため、かじり木を玩具として遊ぶこともあります。
コミュニケーション
群れで生活をしているため、社交性を求めて、人も認識して近寄ってくるほどまでに馴れます。
馴れたデグーは、名前を呼んだり、瓶の蓋を叩いたり、袋の音で餌を与えるようなサインをすると人に寄ってくるようになります。そして、人の肩や腕に登ったり、触られたりマッサージをされることを幸せと感じるようになります。
馴らすためには、デグーの鳴き声やボディーランゲージを知って、デグーが嫌がることをしないようにしましょう。
砂浴び
砂浴びを行う習性があります。きれい好きである反面、砂浴びの砂の中でも排尿をする習性もあります。尿のついた砂で砂浴をして、匂い付け (マーキング) をしているのです。神経質になることはありませんが、可能な範囲で砂の交換をする程度でよいです。
爪切り
爪切り爪が過長する場合は爪切りを行いますが、ストレスにならないように行ってください。難しい時は、動物病院でも切りますが、麻酔をかけるかもしれません。
これがポイント!
- 群れるのが好き、1頭飼育では退屈する
- 運動量が多いのでケージのサイズは縦に大きく
- ケージの中のレイアウトは退屈しないように考えて
- 牧草を主食
- 糖尿病になりやすいので甘いものは避けて
- 回し車が大好き
- 玩具を幼体から与えると賢くなる
- 人とのスキンシップを好む
- 砂浴び場で尿するのは習性
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参考文献
- Brown C & Donnelly T. Cataracts and reduced fertility in degus (Octodon degus). Contracts secondary to spontaneous diabetes mellitus. Lab Anim (NY). 2001; 30 (6): 25-26.
- Colby LA, Rush HG, Mahoney MM, & Lee TM. Degu. In Suckow MA, Stevens KA, & Wilson RP eds. The Laboratory Rabbit, Guinea pig, Hamster and Other rodents. Academic Press. London. 2012: 1032-1054.
- Cortes A, Zuleta C, & Rosenmann M. Comparative water economy of sympatric rodents in a Chilean semi-arid habitat. Comp Biochem Physiol A Comp Physiol. 1988; 91 (4): 711-714.
- Gumpenberger M, Jeklova E, Skoric M, Hauptman K, Dengg S, & Jekl V. Impact of a high-phosphorus diet on the sonographic and CT appearance of kidneys in degus, and possible concurrence with dental problems. Vet Rec. 2012; 170 (6): 153.
- Jenness R, Birney EC, & Ayaz KL. Variation of L-gulonolactone oxidase activity in placental mammals. Comp Biochem Physiol B Biochem Mol Biol. 1980; 67 (2): 195-204.
- Kenagy G, Nespolo R, Vasquez R, & Bozinovic F. Daily and seasonal limits of time and temperature to activity of degus. Rev Chil Hist Nat. 2002; 75 (3): 567-581.
- Kenagy G, Veloso C, & Bozinovic F. Daily rhythms of food intake and feces reingestion in the degu, an herbivorous Chilean rodent: Optimizing digestion through coprophagy. Physiol Biochem Zool. 1999; 72 (1): 78-86.
- Langer P. The digestive tract and life history of small mammals. Mammal Rev. 2002; 32 (2): 107-131.
- Ocampo-Garcés A, Mena W, Hernández F, Cortés N, & Palacios AG. Circadian chronotypes among wild-captured west Andean octodontids. Biol Res. 2006; 39 (2): 209-220.