ペレット
ペレット(Pellet)とは、小さい粒状の形をしたものを指し、餌では動物質や植物質を含む複数の原料を加工した配合飼料を整形して、乾燥させて製品になります。配合飼料のペレットのメリットは、生き餌や野菜などと比べて供給が安定し、栄養バランスも整えられ、副食が不要、長期保存が可能という点があげられます。例えば特定の野菜が嫌いで食べない個体でも、ペレットを採食していれば、欠乏しがちなビタミンやミネラルが摂取できます。また、生菌製剤のサプリメントや消臭成分を配合させた商品も人気があります。なお、リクガメおよびトカゲ専用ペレットは水やぬるま湯でふやかした状態で与えます。そのため、嘴や歯で餌を破砕する必要が減り、嘴過長や口内炎などが好発します。しかし、ふやかすことで、水分摂取にもなり、消化管うっ滞、痛風、膀胱結石、脱皮不全を予防します。一昔前ではリクガメ用ペレットは嗜好性が悪いため、加糖の果物ジュースでふやかしてから与えられていました。
メリット
- 供給が安定
- 栄養バランスが整っている
- 副食が必要ない
- 長期保管
- サプリメント含有
- 水分接種
陸ガメ用ペレット
陸ガメは全ての種類が完全草食ではなく、一部に雑食もいます。ギリシャリクガメ、ヘルマンリクガメ、ヨツユビリクガメ、フチゾリリクガメ、ケヅメリクガメ、パンケーキリクガメは生涯にわたって完全草食です。ノコヘリヤブガメやチャコリクガメは植物食の草食ですが、多肉植物や地衣類も食べます。アナホリゴファーガメも同じく植物食以外にも果物、ヒョウモンリクガメは草食動物の糞なども食べます。テキサスゴファーガメは植物傾向の強い雑食で、植物以外に昆虫や動物死骸を食べます。しかし、ホームセオレガメ、ベルセオレガメ、アカアシガメ、キアシガメ、エロンガータリクガメなどは、植物、キノコ、果物、ミミズや昆虫、巻貝などを食べる雑食です。比較的乾燥地域の陸ガメは草食傾向で、湿潤地域になるにつれ雑食傾向になります。
陸ガメ用のペレットは複数のメーカーから販売されています。しかし、上述したようにリクガメ科と言っても食性は異なりますので、どの種類に適応するのか、製品の成分とカメの食性をよく理解しておかなければいけません。タンパク質、繊維質、脂質、ビタミン、カルシウムやリンなどのミネラルなどを考慮する必要があります。完全草食のカメの主食に適している植物は、ミネラル、ビタミン、繊維質が豊富であり、かつタンパク質、脂質、糖分が乏しいものが理想とされていますので、栄養価の高いリクガメ用の配合飼料は一般的には適していません。タンパク質、脂質、リンの過剰摂取の恐れがあり、肝不全や痛風などの内臓疾患の発生要因となります。野菜と比べて繊維質が少ない上、ペレット製造にはつなぎである小麦粉を配合するため、消化管うっ滞、下痢や消化不良を起こしやすくなります。もちろん、着色料・香料・酸化防止剤等も含まれていることもデメリットになります。リクガメの餌で「ペレットよりも野菜」が理想とされるのは、そうした理由からなので、ペレットを給餌することは一長一短かもしれません。製品によっては、野菜と併用した上でカルシウム剤を添加して初めて使えるものもあります。
デメリット
- 内臓疾患/消化管トラブルの恐れ
- 着色料・香料・酸化防止剤の悪影響
- 嘴過長が好発
葉野菜のタンパク質は1~2%ですが、陸ガメ用のペレットでは10~20%の製品が多く、例え水でふやかして与えることで希釈されますが、完全草食のカメでは過剰となります。これに対しインドホンガメの幼体等では、一部に動物質を含む餌を与えた方が成長が高いともいわれ、植物性タンパク質を多く含む陸ガメ用のペレットを補助的に与えたりもされています。したがって雑食傾向のあるカメでは動物質や植物性タンパク質の多い陸ガメ用ペレットを補助的に利用することは適切と考えられています。ただし、近年は植物成分を多く配合した陸ガメ用ペレットも開発され、完全草食のカメに対して、成分や材料をしっかり考慮して選べば、デメリットは少なくなるかもしれません。なお、トカゲにおいても、グリーンイグアナやチャクワラなどの完全草食の種類にリクガメ用ペレットを与えることもあります。
陸ガメなら断トツコレ!
キョーリン(直送)]マルベリックドライ 180g
陸ガメやグリーンイグアナなどの草食性爬虫類用ペレット!桑葉(マルベリー)を主体に、モロヘイヤ、小松菜、エンドウ豆繊維、リンゴ搾りかす繊維を配合し、高い繊維質を再現しました。タンパク質と穀類の配合を抑え、高い嗜好性を保っています。ふやかすと多量に吸水保持することができ、爬虫類の口にこびりつきにくく、食べやすいスポンジ物性です。高カルシウム配合で、カルシウム:リン比はリクガメに最適な5:1に設計。吸水後のタンパク質は野菜と同レベルの低値になります。本品は着色料を使用せず原料そのものの色と風味で嗜好性を高めました。ひかり菌配合で腸内環境を保ち、消臭効果も抜群です。草食カメペレットのデメリットを解決した商品!
水ガメ用ペレット
雑食性の水ガメでは配合飼料のペレットで長期飼育や繁殖に成功しています。なお、水カメではカメの生態によって、浮上タイプおよび沈下タイプがあり、水の表面に浮いたペレットを採食するか、水中に沈んだペレットを採食するのかで使いわけます。
昆虫食トカゲ用ペレット
昆虫食のトカゲ類(ヒョウモントカゲモドキやフトアゴヒゲトカゲ等)では、ほぼ配合飼料のペレットの給餌による管理・繁殖に成功しています。トカゲではふやかしたペレットをピンセットでつかんで、目の前で動かして与えないといけないことがあります。トカゲ用配合飼料では半ねりタイプのチューブに入っている製品や、粉状になっているものを水で溶いて固まらせるゲル状タイプも販売されています。また、生体が販売されている時点で、妥当な配合飼料に餌付けされている場合も多いです。昆虫嫌いの飼い主には配合飼料で飼育ができることは好都合となります。また、昆虫類を常食にしていたトカゲなどは、それまでに与えていた生き餌を突然拒食を示すような事例も多く見られ、また生き餌が入手できなくなることもあり、普段から幅広い様々な食材を給餌するべきと言われています。その一つにペレットあるいは配合飼料がメニューに加わると栄養的に安心です。配合飼料は各爬虫類の嗜好性が高いと言われている昆虫や果物成分を配合されています。それでも食べない場合は、現在食している昆虫などにふやかした配合飼料を塗りつけたり、ペレットを粉にして昆虫にまぶすことで、味や匂いに慣れさせることから始めます。なお、爬虫類の餌付けの際、嗜好性の高い餌から与え始めるのと、その餌のみに固執が進む恐れもあり、餌の切り替えが難しいこともあります。なお、餌の切り替えは、幼若個体はより学習効果が高く、若い時に学習した「餌かどうか」の認識は、その個体の成長後にも大きく影響します。生き餌をケージ内にばらまくことで、トカゲはそれらを採食しますので、次にピンセットから同じ生き餌、その後、死んだもの(乾燥や冷凍餌)をピンセットで目の前に動かして生き餌のようにして反応させます。最後に配合飼料を塗りつけた生き餌や乾燥餌をピンセットで与えることで成功すると思います。なお、これらの過程は空腹状態で行うのが重要です。
フトアゴならこれまでナンバー1
キョーリン フトアゴドライ
全長20cm以上の昆虫・野菜食トカゲ用栄養食!つまり成体のフトアゴ用ペレットです。昆虫&野菜配合、昆虫原料はミルワーム、シルクワームがフトアゴヒゲトカゲの食欲を刺激し、野菜原料は小松菜で、アップルミールなどの植物質原料を強化配合して、嗜好性をアップさせています。食べやすい形状で、ピンセットでも一粒ずつ与えやすく、エサ皿に入れて与えても舌に引っ付けて食べやすい形状をしています。ひかり菌配合で腸内環境を保ち、消臭効果も抜群です。
フトアゴの新たなペレット!
ジェックス フトアゴのための健康食 BUG RICH 250g
成体のフトアゴヒゲ専用ペレット!昆虫原料を35%配合し、マンゴーが香る嗜好性の高いペレットです。高タンパク質で必須アミノ酸等が豊富で、栄養価に優れたアメリカミズアブ幼虫を原料にしています。繊維質も加えてありますが、フトアゴヒゲトカゲの成長に合わせ、新鮮な野菜を併用する量を増やしてください。食い付き抜群なので、食欲不振の時にコレ与えてみて!
デメリットの肥満
野生のカメやトカゲは餌を求めて歩き回り、広いケージはともかく狭いケージでの飼育は運動不足になり、消費エネルギーは減少します。そして、給餌過多によるストレスの少ない飼育環境は、同時に肥満傾向を招き、肝不全などの内臓疾患にもなりやすいです。本来、爬虫類は時間をかけてゆっくりと成長しますが、飼育下においては給餌の頻度が増え、成長速度が早くなることが問題となっています。成長が早くなることで、性成熟が野生と比べて早くに迎え、普段の生活も保温された環境下で、餌も豊富なことから、雌では無精卵が発育し、卵巣・卵管疾患および卵塞などの繁殖疾患が多発し、短命の原因になっています。早い成長は骨格とのバランスにも影響し、代謝性骨疾患の発生要因になります。
肥満の評価
トカゲの肥満は体幹の横腹で評価できます。トカゲは体腔内の下腹部に2様の細長い脂肪パットに栄養を蓄えます。そのために、肥満になると横腹が膨大してきます。横腹の部分以外にも顎下や腋下(ヒョウモントカゲモドキでは脇ぷにと呼ばれています)に脂肪がついたり、四肢が太くなってきますが、評価しにくいです。ヒョウモントカゲモドキは尾に脂肪を蓄積するので、肥満になると太くなり、削痩すると細くなるので(スティックテール)、分かりやすいです。特にヒョウモントカゲモドキは省スペースで飼育できることから、運動不足になりやすく、単に給餌されているだけの生活のため、肥満になりやすいです。なお、水ガメが十分な遊泳させる大きな水槽の準備が難しいこともあり、ヒョウモントカゲモドキと同様に肥満になりがちです。カメは甲羅で覆われているため、肥満の程度が判りにくいです。過度な肥満だと甲羅の隙間から肉がたるんで出ており、本来は四肢や頭部を収納できるはずの種において、腹甲と背甲の隙間がなくなり、閉じられないものもいます。
肥満対策
肥満対策は、採食量減少と運動量の増加になります。しかし、限られ空間で飼育されている多くの爬虫類の運動量を増やすことは難しく、給餌頻度と量を減らことが主となります。その中でもカロリーが高い配合飼料を減らすことが得策になります。完全草食のカメは毎日のカロリーが低い植物質の給餌が必要となりますので、野菜類の中でもカロリーの高いカボチャやニンジン、イモ類や果実類等を減らすようにします。一般的にはレタスなどの葉野菜はカロリーが低く、水分も多いので、ビタミンやカルシウム剤を添加して多給する方法もあります。水ガメもトカゲも成長期は毎日の給餌でよいですが、成体になればトカゲであれば週に1~2回程度の給餌、水ガメでは週に1~2回は餌を与えない日を設けてもよいと思います。もしも給餌の頻度を多くしたい場合は、体重を測定しながら、1回の給餌量を調整して下さい。
爬虫類飼育者は必ず読むこと!
爬虫類.カメ・ヘビ・トカゲ・ワニ.長く健康に生きる餌やりのガイド
目からウロコ・・・この本もヤバすぎ!