◎爬虫類・両生類の飲水と湿度の関係

両生類は幼生も成体も水への依存が強い生物です。特に幼生は水中生活をしており、水から離れることができません。両生類から進化した爬虫類は、進化の過程で水中から陸へ上がる能力を身につけました。爬虫類は硬い角質でできた丈夫な鱗や甲羅を備え、これによって水が少ない陸上でも、体内から水分が失われるのを防いでいます。そして、卵を覆う硬い殻も備え、卵が孵化するまでの期間、外敵から卵を守り、水中にないと乾燥してしまう卵が、乾燥にも耐えられるようになりなりました。両生類が生きていくには、水は大切なものです。爬虫類は水分がなくても良いのではなく、十分な水を与えて、それを陸上で乾燥しないような機能が備わっているのです。種類や個体によって水へのアプローチは異なりますが、飲水と環境における湿度の2つの方法があり、お互いが深く関わるので、ここでは一緒に解説をします。

飲水

乾燥地域に生息している種類でも飲水は必要です。爬虫類ではタンパク質を代謝したものを尿酸で排泄し、脱水すると膀胱結石痛風、消化管のうっ滞や便秘になりやすいです。飲み水の与え方は、基本的には水容器に入れて与えるか、あるいは霧吹きをし、ケージ内壁やケージ内のアクセサリーについた水滴をなめさせる方法があります。

水ガメ

水ガメは水場の水を飲むので、水分不足になることは少ないです。

陸ガメ

陸ガメでは自ら水を積極的に水を飲まない場合があります。そのような時は、野菜を多く与えたり、温浴で飲ませるという方法がとらえています。

爬虫類の温浴の解説はコチラ

ヤモリ

ヤモリは水容器から飲む個体もいますが、霧吹きで水滴をなめさせる方法を併用して下さい。

カメレオン

カメレオンは動いていない水を認識しません。大きめの水容器内にポンプでエアーを送って水面を動かし、水を認識させます。また、水滴を落とすドリップ方式で水を飲ませます。

ヘビ

ヘビは水容器から直接水を飲みます。ヘビは水に浸かることが好きな種類も多く、ケージ内に常に水をいれた容器が、シェルター的な役割も担います。

両生類

両生類は皮膚から水分を吸収しますので、ケージ内の湿度は高めに設定する必要があります。カエルは骨盤や後肢の腹側の皮膚(ペルビック・パッチ)から水分を吸収しやすいことが知られています。

カエルのペルビック・パッチの詳細な解説はコチラ

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湿度管理

空気中の湿度の管理は、霧吹き、飲み水の水容器の常設、通気によってコントロールします。ケージ全体の湿度を上げられない場合は、床敷に湿気の多いミズゴケなどを使うのも一方法です。地中性のヘビ、トカゲモドキ、イモリなどの多湿を好む種類は湿気のある床敷が必要になります。ミズゴケ以外にもヤシガラ土などの植物系の床敷は湿らせて使う方法もあります。

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シュエルターでも、湿度を保てるタイプがウエットシェルターあるいはモイストシェルターとして販売されています。

爬虫類・両生類のシェルターの選び方とお薦め商品はコチラ

水槽やケージ内に、定期的に散水をする方法や定期的な温浴を行う方法もあります。

爬虫類の温浴の解説はコチラ

また、爬虫類用の加湿器もありますが、グリーンイグアナなどの大型の爬虫類では、ケージをおく部屋に加湿器を設置しないといけません。

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この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。