爬虫類・両生類の搬入

WC?CB?

爬虫類や両生類を購入する際に、WCやCBという表記があります。これは野生個体か繁殖個体であるのかの鑑別表記です。

WCがワイルド個体

WCはWild Caughtの略称で、野生で捕まえられたワイルド個体を指します。爬虫類業界では「ワイルド」と略して呼ばれています。

CBが繁殖個体

CBはCaptive Bredの略称で、飼育下で繁殖された個体を指します。

どっちが良いの?

CBとWCでは、お迎えしてからの飼育難易度等が大きく異なるので、それぞれのメリットとデメリットがありますので、慎重に決める必要があります。

表: WCとCBの比較
搬入WCCB
価格安価高価
飼育難度高い低い
健康状態寄生虫感染が高い遺伝性疾患のリスクが高い

価格

WCは野生で捕獲したため、飼育下で繁殖するよりもコストが抑えられているというメリットがあります。そして、繁殖が難しいレアな種類が多いです。一方、CBは価格が高く、WCと比較して数倍も高い個体もいます。CBはブリーダーによる繁殖・育成コストも含まれてますので、その分の価格が上乗せされることは仕方がありません。

飼いやすさ

WCは野生環境で育った個体なために、全く慣れていません。人工飼料や冷凍マウスなどになかなか口にしてくれません。そして、臆病な性質な個体も多く、人に鑑賞されることやスキンシップも強いストレスとなります。これらの理由により、拒食になり、衰弱して死亡することも珍しくはありません。CBは飼育下で長年ブリードされてきた種であるため、遺伝子レベルで人慣れしている個体も多く、飼育もしやすいです。例えば、ヒョウモントカゲモドキの大半はCBであるため、もはや野生を忘れてしまったような性質になり、飼育がとても容易な種類になっています。

健康状態

WCは寄生虫のリスクなどもかなり高く、初心者にはあまりお勧めできません。しかし、CBも近親交配を含めて、カラーバリエーション作成のための交配の結果、奇形や先天性疾患のリスクも少なからずあります。ヒョウモントカゲモドキのカラーバリエーション個体では眼疾患が多く発生します。

まとめ

CBかWCのどちらがよいかと言えば、飼育難易度の高いWCをお迎えするよりは、圧倒的に飼いやすく安全なCBの方がお薦めできます。爬虫類の飼育歴が長く、普通のCBじゃ物足りない、レアな種類が欲しい場合は、WCにチャレンジしてもよいでしょう。爬虫類でお迎えする際は、WCとCBの表記は必ず見るようにして下さい。

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。