オカメインコの一人餌移行の問題(自分で餌を食べてくれない)

一人餌に気り替えができない

「挿し餌のオカメインコの雛が自分でなかなか種子を食べてくれない~」という声をよく聞きます。その理由は挿し餌を長くやりすぎているからです。40日齢を過ぎた辺りから体重をチェックしながら、上手く挿し餌の量を減らして行く必要があるのですが、それが中々できないんですよね~。切り替えもかなり個体差があるのも現実です。

挿し餌が長いとどうなる

一人餌 (ひとりえ: 自分で餌を食べること) のタイミングを逃すと、だらだらと2~3ヵ月くらい挿し餌が続いてしまいます。挿し餌をしている時は一時的に体重は増えますが、挿し餌を怠ると元の体重に戻ってしまいます。長期間、挿し餌を続けることは、そ嚢炎などが起きやすくなります。

オカメインコ

一人餌移行の流れ

迎え入れは30日齢

オカメインコの雛を迎え入れるのは、大半は30日齢前後です。羽も生え揃えて、自ら活発に動いて、とてもかわいい時期です。

初飛行は35日齢~体重少し減る時期

雛は35日齢位で飛翔を始めます。飛ぶ際には体を少し軽くするため、体重が減少傾向になり、これまでと同じ量を食べなくなってきます。「あれ?食べてくれないと体重も減るし・・・心配・・・」と与える回数を増やさないようにして下さい。

一人餌する目安は50日齢

一人餌になるのは、個体差もありますが50日齢前後で、長くても60~65日齢だと思います。その頃には自ら飛翔し始めて、一人餌も始める・・・そんなイメージを持って下さい。

具体的にやること

床に餌を撒いておく

鳥は地面に落ちている物をついばむ習性があり、床面に撒かれた餌をついばむようになります (撒き餌: まきえ)。餌を嘴で遊んでいるうちに偶然に口に入り、食べ始めるようになります。皿や餌容器にあるものが餌と認知することができませんので、必ず床に撒くようにします。餌が散らかったり、糞まみれになって汚くなったりして、無駄になることが多いですが、ぜいたくに使って下さい。最初は剥き餌やペレットを使うと良いでしょう。

オカメインコ

ふやかしペレットを食べている雛だと、撒き餌のペレットの味を覚えているので、まいているペレットを食べてくれますので、この方法がお勧めです。

ペレットを主食にする方法はコチラ!

雛は最初は上手く食べることは出来ません。嘴に咥えてコロコロと遊んでいるかもしれませんが、この仕草が見られたら、一人餌の練習している合図です。一人で餌を食べることに興味を持っているので、積極的にさせましょう。容器から餌を採食するのは、床から餌をついばみ慣れたことで、皿にも餌があることを発見して認識するようになります。

空腹の時間を作る

空腹だと餌を求めるために、撒き餌の餌を遊び始め、採食量も増えてきます。必然的に、挿し餌の量や回数を減らして下さい。

体重測定

雛に挿し餌を与えている間は、体重測定を毎日して下さい。体重増減を把握しながら、挿し餌の回数を1日3~4回から減らしていきます。特に一人餌の切り替え時期は朝と夕方に体重を測って下さい。空腹にして床の撒き餌と遊ばせて、自ら餌を食べ始めているならば、夕方の体重測定で、朝の体重と同じか、越えているはずです。もしも減っていれば、挿し餌を補助的に行います。上手くいくようであれば、5~7日で体重減少も見られなくなります。

透明な箱に鳥を入れて測りで重さを計測し、後で箱の重さを引けば正確な鳥の体重が測定できます。

小鳥の体重計

コレ、すごい便利!

鳴き声に負けないで

雛は挿し餌を抜くことで空腹で、「ジャージャージャージャー」とものすごく鳴きます。その鳴き声に負けないで下さい。その「ジャージャージャージャー」と、おねだりの鳴きが、あまりにも悲壮感があります。飢え死にするのではないか?まだ甘えたいのではないか?まだシードが食べれないじゃないか?と思ってしまい、つい挿し餌を与えてしまいがちです。鳴いても挿し餌がもらえないと、空腹に耐えかねて、自分で餌を食べるようになります。

まとめ

オカメインコの一人餌への移行の手順は、体重を測りながら、挿し餌を減らし、撒き餌に切り替えることです。ちょっと可哀そうでもありますが、多少は心を鬼にして挑んで下さい。

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。