カメレオンの舌の損傷・炎症(ベロが戻らない)

原因

カメレオンは舌を伸ばして獲物を捕獲しますが、この舌は怪我をしやすく、外傷と感染で戻らなくなることがあります。外傷は獲物を捕獲した際の損傷や獲物にかまれた咬傷で起こりますが、通常の状態でのこれらの外傷は自然に治るはずです。

感染では細菌による口内炎が多いです。伸びきった舌は、過剰に伸びたことによる筋肉の緊張が原因になることもあります。カメレオンは獲物を逃してケージのワイヤーや枝などに舌が絡むようなアクシデントでも起こります。また脱水などで衰弱して舌が出た状態のこともあります。 舌に障害のあるカメレオンは獲物を捕まえようと試みても、舌を伸ばすことができずに採食不能になります。

治療・対応

舌の炎症があれば抗生物質などの投薬をし、元に戻るまでのしばらくの間は、直接の手で餌を与える必要があります。直接手で餌を与えることは、餌を頭から数cm以内に提示することによって行われます。舌の筋肉の損傷のダメージが大きいと、舌の回復は期待できません。

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。