カメレオンの飼育(難関を乗り超えよう)

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長生きチャレンジ

カメレオンは長生きさせることができず、多くの問題が取り上げられてきました。しかし、近年飼育方法が色々と改良され、少しづつ長生きになってきています。

飼育

カメレオンは飼育が難しい爬虫類です。ストレスの回避ならびにスペースの確保、温度と湿度の設定、空気がよどまない通気性が必要となります。ハンドリングも、自ら手に乗ってくるような個体以外は可能な限り避けるべきです。

飼育頭数

カメレオンは非常に神経質なため、単独飼育が基本です。特にオス同士の複数飼育は喧嘩や強いストレスになり、たとえ別のケージで飼育をするにせよ、お互いの姿が視界に入らないようにしないといけません。ストレスを受けると体色が変わるので(体色変化)、容易に判断できます。

カメレオン

ケージ

特に上から見下ろされるとストレスを感じるため、ケージを飼育者の目の高さ以上にした方がよいともいわれています。もちろんカメレオンから見える所に、他のペットなどが見えると、それもストレスになります。ケージは床置きせずに、棚あるいは机の上などに置きましょう。カメレオンは樹上性で広い空間が必要となり、なおかつ保温と保湿、通気性に優れたケージが理想です。金網ケージ、ガラスやアクリル製ケージ、ネットケージが使用されていますが、それぞれメリットとデメリットがあります。

金網ケージ

金網なので通気性に優れていますが、保温性が劣ります。鳥カゴとし商品が多数あるので、十分な高さや大きさがある商品を選んで下さい。また鳥カゴは比較的安価で、丈夫なものが多いことも魅力です。しかし、金網の幅が大きめであるため、ある程度の大きさのカメレオンからしか使えません。幼体では金網の隙間から脱走するため、カメレオンの大きさを考えて選びます。

爬虫類用ガラス/アクリルケージ

ガラスやアクリルケージはいわゆる水槽タイプのケージです。特に爬虫類用ケージとして販売されていると、正面が開く構造のため、上から覗き込まれるのを嫌うカメレオンのストレスを最小限にできます。穴も空いていないので、カメレオンが観察しやすく、保温性も優れています。しかし問題は、通気性が劣るので、カメレオンが嫌うよどんだ空気が溜ります。

カメレオン水槽ケージ

爬虫類用ケージならば、通気性が考えられた構造にはなっていますが、金網やメッシュケージには劣ります。しかし、前面が開閉するため、世話が楽にでき、カメレオンにもストレスがかかりまええん。

カメレオン水槽

メッシュケージ

多数の小さなメッシュ穴で覆われたケージです。通気性も優れ、正面がひらく構造にもなっており、カメレオンのストレスを減らす・・・高さがある商品が多く、まるで金網ケージとガラスやアクリルケージの良い所をとったカメレオンに適したケージかもしれません。なお、メッシュの素材なのでカメレオンを観察しにくいという欠点があります。もちろん保温性もガラスやアクリルケージよりは劣ります。

カメレオンネットケージ

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レイアウト

ケージ内には、植物や流木、木の枝や植物の弦、ヒモなどを組み合わせて、行動するスペースや通り道、体を暖める場所、水やエサをとる場所、隠れ家などをレイアウトします。

カメレオン飼育

通り道

木の枝は細くても、カメレオンはしっかりと指趾や尾でつかむむことができます。

カメレオン木の枝

器用に植物の弦やヒモなども伝って歩けます。

カメレオン飼育

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シェルター

葉の多い植物をレイアウトすると、移動する通り道以外にも、シェルター的な隠れ家にもなります。なお、エボシカメレオンは植物も食べるので、植物の葉を食べることもあります。推奨できる植物はポトス、パキラ、ガジュマル、ベンジャミンなどですが、毒性の問題や食べられて枯らすことが多いため、人工の植物を設置しても構いません。

カメレオン植物

床敷

カメレオンは樹上性で、時に床に降りてくる程度なので、床敷の選択は大きな問題になりません。樹上で排泄を行い、それらが床に落ちるため、便宜性を優先的に考えるならば新聞紙などの紙でもよいでしょう。

照明・温度・湿度

照明

カメレオンは昼行性で、紫外線ライトをケージ全体に照射するように設置します。しかしカメレオンは強い光を好まないため、輝度の低いライトを選ぶことと、植物などで身を隠せる日蔭(隠れ家)も設けないといけません。夜間は爬虫類用の紫外線ライトとバスキングライトは消灯します。

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温度

基本的にカメレオンは温暖で、多湿かつ通風性も確保できる環境が必要です。ホットスポットで体温を至適体温(PBT)にするために、それぞれのカメレオンに合わせた至適環境温度域(POTZ)を設けます。ケージの上端にバスキングライトを設置して局所的に高温の部分を作り、体温を上げるホットスポットを作って下さい。カメレオンは高温すぎるのもいけないため、温度管理が難しいです。体温が上がり過ぎた場合は、カメレオン自身で移動できるようにレイアウトも考えないといけません。カメレオンの飼育では、湿度はもちろんのこと、温度管理も難しく、温度計/湿度計、サーモスタットも設置した方が適切でしょう。

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パンサーカメレオン

パンサーカメレオンは低地の熱帯雨林の森林に生息しており、他の昼行性の爬虫類と同じように暖かく、そして湿度を設ける考えで構いません。至滴環境温度域(POTZ)は26~29℃(ホットスポット30~32℃)にします。夜は低地に生息しているため20~25℃までなら下げられます。

ジャクソンカメレオン

ジャクソンカメレオンは標高1600~2200mの高山に生息しており、棲息地は雨季のあるサバナ、あるいは降水量の多いステップです。至滴環境温度域(POTZ)は26~29℃ですが、ホットスポット含めて30℃にはならないようにします。昼夜の温度差はかなり大きく、飼育下でも昼夜の温度差をつけるべきだといわれ、夜は約13℃まで下げてもよいと言われています。夜や冬に温度が下がり過ぎてもいけないので、保温電球や夜用電球、フィルムヒーターなどを補助的に使用して加温します。温度管理がとても難しく、エアコンを使うべきかもしれまん。

エボシカメレオン

エボシカメレオンは標高2000mの高山~低地の乾燥した森林に生息しており、至滴環境温度域(POTZ)は、ほぼジャクソンカメレオンと同じですが、夜の下げる温度は約20℃までにして下さい。夜や冬に温度が下がり過ぎてもいけないので、保温電球や夜用電球、フィルムヒーターなどを補助的に使用して加温します。温度管理がとても難しく、エアコンを使うべきかもしれまん。

湿度(飲水)

湿度はエボシカメレオンは60~70%、パンサーカメレオンは約70%、ジャクソンカメレオンは70~80%の湿度が必要となります。水をいれた容器を置いたり、ケージ内に水を散布したり、噴霧します。

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本当の霧かよ!加圧して細かい霧をつくれるスプレーです。

しかし、通気性も必要で、空気がよどんではいけません。このような湿気のある環境で通気性がある環境作りが難しいのです。エアコンや扇風機で軽く送気するのもよいですが、温度が下がりやすい欠点があります。カメレオンは動くものしか餌や水を認識しないため、水容器の水はそのまま置いても水と認識しません。

カメレオン

葉の表面できらめく水滴、枝などから垂れおちる水滴、水面が揺らめいているものからしか飲みません。

水を与えるためにはケージ内を霧吹きするか、専用のドリップボトル(しずくが常時垂れるような装置)をつけるか、あるいは水を入れた容器にエアレーションをしかけ、水面に動きをつけるなどの工夫が必要となります。

カメレオンは水不足になると舌を伸ばし、餌を捕らえるのが難しくなるので、他の爬虫類より水不足が大きな問題となります。上記のような給水スタイルは、必然的にケージの中が多湿になります。ガラスやアクリル製のケージの場合、蒸れ過ぎることがあるため、小型のファンを設置します。

近年は自動で霧を発生させて噴霧できる装置のミスティングシステムという便利な商品が販売されていますデジタルタイマーで噴霧するタイミングと回数を指定すれば自動的に噴霧を行いますので、カメレオンの飼育でも使われています。しかし、加湿のし過ぎには注意して下さい。エボシカメレオンは他の種に比べて高温や乾燥にも比較的強く、カメレオンの中では最も飼いやすいです。飼育のしやすさで言えばエボシカメレオンが入門種でしょう。

小さいケージならコレ!

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食餌

カメレオンは昆虫食で、主にコオロギワームを与えます。成体には1~2日毎、幼体には毎日与えて下さい。

餌のコオロギワームは、基本的に生き餌しか食べません。ケージの中に生き餌を入れて置くと、カメレオンは餌を見つけ、舌を伸ばして捕獲します。

同一の餌だけを与えていると、飽きて食べなくなることもあります。野生で捕獲したバッタ、カマキリ、セミなども与えることができます。与える昆虫の大きさは、口の大きさに入るサイズが理想で、馴れてくると、昆虫を目の前に持っていくと食べるようになります。

エサとなる昆虫は栄養の偏りがあるため、栄養剤をエサに添加する方法が常法とされています。特にコオロギやワームはカルシウムが足りないため、くる病・代謝性骨疾患になりやすく、カルシウム剤をサプリメントとして多く使われています。

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エボシカメレオンは雑食性で、成体になるにつれて植物食が強くなり、チンゲンサイ、コマツナなどの野菜も食べるようになります。エボシカメレオンは乾燥した森林に生息しており、水分を得るためにも植物質を得るようになったのでしょう。

ケア

カメレオンには爪切りなどのケアは不要です。ストレスがかからないように、自然に飼えるか考えてください。

掃除

カメレオンを触ったりした後はよく手を洗い、そしてケージなどの掃除も衛生的にして下さい。爬虫類はサルモネラ菌を保菌していることが多いです。爬虫類に常在しているサルモネラ菌は爬虫類には無症状のことが多く、人に感染すると嘔吐や下痢などの消化器症状が起こり(サルモネラ中毒)、人獣共通感染症(ズーノーシス)として有名です。掃除の後にケージも殺菌するために日光浴や消毒をするように心がけましょう。

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とりあえずの消毒にはコレ!

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カメレオンの糞や尿の掃除や消毒はもちろんですが、臭う場合は以下の対策を読んで考えてみて下さい。生き餌のコオロギが死んでいて悪臭の原因になることも多いです。

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ポイントはコレ(ケア)!

・人に馴れると抱っこもできる
・掃除は水洗いだけでなく消毒もする
・排泄物の量が多いので消臭対策もする

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この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。