パンサーカメレオンってどんなカメレオン(知らないといけない生態と特徴)

目次 [非表示]

エメラルドの宝石のようなカメレオン

パンサーカメレオンは爬虫類の宝石とも呼ばれるほど、派手で綺麗な体色をしています。体色の模様がヒョウ柄なのでパンサー(豹)と名前の由来になりました。学名のpardalisも「ヒョウ」という意味です。生息地により体色が異なり、そのまま生息地名が名前としてつけられています。

パンサーカメレオンはワシントン条約の付属書II類掲載種です。ペットとして日本にも多くがWC(野生)個体が流通していますが、マダガスカルの動物の輸出は減少傾向にあるので、今後はCB(繁殖)個体が主体に流通すると思われます。

分類・生態

分類

有鱗目カメレオン科フサエカメレオン属
学名Furcifer pardalis
英名:Panther chameleon

分布

マダガスカル島の北部と近隣の島(レユニオン、ブルーモーリシャス)

生態

環境:
・温暖で多湿な海岸線沿いの低地の森林に生息しています(一部の個体群は標高の高い涼しい高山や高原に生息しています)
・多くは湿度の高い地域を好みます。
行動
・樹上性で、ほぼ木の上で生活をしています。
・動きは緩怠で、木の葉などに擬態する効果もあると考えられています。
・昼行性で、夜は葉の影などで休んでいます。

パンサーカメレオン

食性:動物食で、昆虫類や節足動物等を食べています。

寿命:2~5年

身体

全長:40~52㎝(飼育下では35cmを超えることはまれです)

特徴

性質

性質は温和ですが、危険を感じると体を大きく膨らませて体色を変化させ、開口して威嚇します。

カメレオン威嚇

身体

オスは地域変異によって色が大きく異なります。基調色は緑色系~褐色系で、体側の中央に頭から尾にかけて白色の明るい色の横帯(パンサーストライプ)、背中からお腹にかけて褐色系~暗色の縦帯(バー)が入ります。オスはさらに多くの色彩が入って派手になります。

パンサーカメレオン

メスは褐色系の個体が多く、地域変異はあまり見られません。体色から産地を鑑別することは難しいです。

パンサーカメレオンアンバンジャy

パンサーカメレオンは頭頂部の盛り上がった突起(カスク)は他のカメレオンと比べて小さいです。喉の咽頭垂と呼ばれる襞は比較的発達し、背中とノドに鋸歯状の棘上鱗(クレスト:Crest)が見られます。

吻端にはわずかな瘤状の突起があるのも特徴です。

カメレオンの特徴と魅力の詳細な解説はコチラ!

品種(ローカリティ)

パンサーカメレオンは生息地により、様々な体色の色彩変異が見られ、各々の生息地名あるいは特別な流通名がつけられており、ローカリティ(Locality:地域変異)と呼ばれています。アンバンジャ、アンビローブ、アンカラミー、ノシ・ベ、ノシ・ファリー、ノシ・ミチオ、サンバーバ、タマタブ、アンタラハ、エストキャップ、アンダバ、マソアラなどの産地の個体が有名です。

アンバンジャ

最も有名なローカリティで、基調色は赤色~オレンジ色、黄色~黄緑色、緑色~青色、紫色など多様で、パンサーストライプも様々です。
パンサーカメレオンアンバンジャ

アンビローブ

アンビローブは、マダガスカル北部の山地にある地域名です。最も派手な体色をしているかもしれません。基調色は赤色~オレンジ色、バーは青色あるいは赤色で、それぞれブルーバーレッドバーとも呼ばれ、パンサーストライプは白色~蛍光の青色です。下の写真はブルーバーです。

パンサーアk目レオンアンビローブブルーバー
ブルーバー
パンサーカメレオンアンビローブレッドバー
レッドバー

興奮時には派手な色彩になり、有名な画家のピカソという流通名でも呼ばれています。

パンサーカメレオンアンビローブピカソ

アンカラミー(ピンクパンサー)

基調色は淡赤褐色~濃赤褐色(赤ピンク色?)で、パンサーストライプは青色~白色、口唇部は白色、頭部がエメラルドグリーンをしていることから、別名としてピンクパンサーとも呼ばれています。

パンサーカメレオンアンカラミー

ノシ・ベ

基調色は緑色~青色、口唇部は黄色をしています。パンサーストライプは非常に薄く、入らないことも多いです。興奮すると綺麗な青色に発色し、ターコイズブルーあるいはエメラルドグリーンのような色になり、ノシベブルーと呼ばれています。

パンサーカメレオンノシベ

ノシ・ファリー

基調色は淡い綺麗な緑色~青色で、体に多数の赤褐色の斑模様が見られるの特徴です。

パンサーカメレオンノシファリー

ノシ・ミチオ

基調色は明るい緑色で、興奮すると蛍光の綺麗な黄色に発色します。

パンサーカメレオンノシミチオ

サンバーバ

基調色は緑色で、赤褐色~黒褐色のバーが入ります。興奮すると黄色~オレンジ色に発色します。

パンサーカメレオンサンバーバ
パンサーカメレオン
興奮時

タマタブ

基調色は濃緑色ですが、興奮するとオレンジ色~赤色系に発色します。トアマシナとも呼ばれています。

パンサーカメレオンタマタブ
パンサーカメレオンタマタブ
興奮時

アンタラハ

アンタラハはマダガスカル東部の地域です。基調色は白色を帯びた薄い緑色~青色です。

パンサーカメレオンアンタラハ

キャップエスト

基調色は灰色~白褐色で、赤褐色のバーが入り、まるでウルトラマンの色のようにみえます。

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。