【解剖】チンチラの瞳孔(目の色の違いで瞳孔の形が違う)

瞳孔の形状は、 濃い褐色の虹彩では縦長のスリット状ですが、縮瞳時はさらに細くなり、ほぼ完全 に閉鎖できます。野生のチンチラはアンデス山脈の標高が高い地域に棲息しているため、日中の強い紫外線から眼を保護するためと言われています。

ブドウ目や赤目では

ブドウ色や赤色の虹彩をもつチンチラの瞳孔はスリットが鈍く、縮瞳すると小さい楕円形を呈します。ブドウ 色や赤色の虹彩を異常と判断するべきか、品 種特異的な正常所見であるのかは分かっていません〔Walls et ak.1963〕。

形状だけでなく機能もおかしい

薬剤(トロピカミド 1%,フェニレフリン 10%)による散瞳の反応は毛色によって異なり、褐色では散瞳するが色素の薄い虹彩では十分に散瞳しません〔Lima et al.2010〕。

参考文献

  • Walls GL.The Vertebrate Eye and Its Adaptive Radiation:p.652.Hafner Publishing.1963
  • Lima L,Montiani-Ferreira F,Tramontin M et al.The chinchilla eye:morphologic observations,echobiometric findings and reference values for selected ophthalmic diagnostic tests.Vet Ophthalmol13.Suppl:14-25.2010

この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。