動物食爬虫類の餌
肉食性あるいは雑食性の爬虫類や両生類に与える動物性タンパク質として、マウスやラット、ヒヨコやウズラ、小魚、ヤモリやカエル、貝類、ザリガニなどがあげられます。それぞれが生き餌 (いきえ) として与えるか、冷凍したものを与える方法があります。
入手方法は野生のものを採取して捕獲したり、爬虫類や猛禽類のペットショップ、熱帯魚店、釣具店などで販売されています。しかし、野生で捕獲したものは、病原菌や寄生虫の感染予防のために、冷凍した餌の方が安全とされています。しかし、家庭用冷凍庫で冷凍した餌は劣化が早いので早めに消費した方がよいです。
個々の餌においてもビタミンやミネラルなどの栄養の偏りが考えられ、栄養剤を添加したり、あるいはエサとなる生物を飼育して、栄養価のあるエサで肥やしてから与えるなどの策がとられています。しかし、マウスやラット、ヒヨコやウズラを主食として与える場合は、骨から内臓まで含まれているため、栄養剤の添加は不要です。肉食性や雑食性と食性を考慮して、適当に組み合わせて与えます。餌に粉のカルシウム剤やビタミン・ミネラル剤を添加する方法は、ダスティング (Dusting) と呼ばれています。
マウス・ラット
爬虫類ではヘビや大型の肉食や雑食性のカメ、両生類ではツノガエル類に与えます。生き餌あるいは冷凍のエサが、熱帯魚店や爬虫類のペットショップなどでは餌用に販売されています。生き餌は、生体を自家繁殖することも可能ですが、労力と時間が必要となることから、冷凍マウスやラットが主になっています。
成長の段階によって、ピンク (生まれて間もない赤子)、ファジー (ある程度育って体毛が生え始めてきた幼体)、ホッパー (普通に活動できるまで成長した幼若体)、アダルト (大人になった中型の成体)、リタイヤ (成長しきった大型の成体) 等の呼称で販売されており、与える動物に合わせて使い分けてください。基本的に骨、内臓まで含まれているため完全栄養食ともいわれています。ピンクマウスは新生仔であるため、消化管内容物には植物が含まれず、骨格もまだ十分に発達していないため、成分はほとんどがタンパク質となります。生まれたてのピンクマウスは成体のマウスに比べ十分なカルシウムを含んでいないため、ピンクマウスを与える場合はカルシウム剤を添加した方が無難です。
このピンクマウス食いつきが違う!
アダルトは骨が発達し、消化管内容物に大量の植物が含まれ、より栄養素的に優れています。生き餌は与えるときはケージに入れておくと爬虫類や両生類が捕獲し、冷凍の餌は湯につける、ホットスポットで暖める、電子レンジで解凍してから与えるなどの方法がとられています。大型の爬虫用では、冷凍モルモットや冷凍ウサギも販売されています。
アダルトもホッパーもファジーもこちらのファームで!
ヒヨコ・ウズラ
ヒヨコやウズラなどの鳥が猛禽類の餌として有名で、主に大型のヘビやオオトカゲに与えます。生き餌よりも冷凍の餌が主となっており、成鳥ならびに雛 (ニワトリではヒヨコ) が販売されています。鳥をそのまま冷凍してあるものと (未処理)、特に足は消化不良の原因になりやすく、消化器、卵、頭、羽、足を除去してある処理済みのものがあります。
ヒナウズラは国産のコレ!
鳥の卵
鶏卵とウズラの卵を、タマゴヘビやアオダイショウなどの卵食性のヘビの餌に適しています。卵黄はビタミンDが豊富ですが、卵白はビオチン吸収を阻害する成分が含まれているため、過剰投与は避けた方がよい。
子魚
メダカ(ヒメダカ)、小ブナ、ワカサギ、金魚 (和金)、ドジョウ、その他の淡水魚を、採集または鮮魚店や熱帯魚店で販売されています。爬虫類では多湿系ヘビ (ヒバカリ、ガータースネークなど) や水生のヘビに与え、水生のカメでは餌のバリエーションとして与え、両生類ではツノガエル類に与えます。ヘビにはそのまま与えますが、カメやツノガエル類には冷凍して解凍した魚を適当な大きさに切って与えます。
なかなか死なないエサ用メダカはコレ!
コイ、フナ、金魚、ワカサギなどの淡水魚やキビナゴなどの海水魚はチアミナーゼが豊富で、主食で与えるとビタミンB1欠乏症が起こることとが示唆されています。なお、酵素は加熱すればこのチアミナーゼは失活しますが、冷凍にすることで酵素の作用が強まります。
水生のカメでは簡易的に煮干し (低塩のものが理想) をタンパク質とカルシウムの補給の目的で与えられることが多いです。
エビ (川エビ、テナガエビ) やザリガニなども大型もカメの餌として使用されることもあります。生き餌の餌やザリガニは攻撃してくるので注意する。乾燥エビなでゃカメの嗜好品として複数の製品が販売されています。
スジエビ
2~4 cmの大きさのエビ!
ミナミヌマエビ
1~3 cmの大きさのエビ!
トカゲ・カエル
ヘビに与える食材ですが、多くが飼育者による採集で確保された生き餌を与えることが多いです。爬虫類のペットショップではナキヤモリやアノールの冷凍の餌が販売されているところもあり、熱帯魚店ではアロワナ用の餌として生体のアフリカツメガエルやウシガエルが販売されています。
センシング
爬虫類や両生類の皮膚や粘液の匂いをつけることで、野生でトカゲやカエルを食べている個体をマウスに餌付ける際に有効です。冷凍マウスと冷凍トカゲを一緒に解凍することでも匂いが移ります。
オタマジャクシは軟骨が主体で、まだカルシウムが不足する可能性が高いです。
アマガエルなどの毒性の詳細は不明ですが、毒性の強いヒキガエルは餌には不向きで、ツチガエルのように臭いを出す種類は拒食の原因になることがあります。
餌としてのトカゲやカエルの体内にいる寄生虫を殺す意味で、冷凍のエサの方が理想ともいわれています。
肉・肉製品
市販の鶏肉、豚肉、牛肉、レバーなどを餌として与えることもできます。
レップミールと呼ばれるマウスの肉をミンチしたソーセージが売られています。市販の肉もレップミールも肉だけなので、カルシウム剤やビタミン・ミネラル剤を添加 (ダスティング) してから与えて下さい。
爬虫類飼育者は必ず読むこと!
爬虫類.カメ・ヘビ・トカゲ・ワニ.長く健康に生きる餌やりのガイド
目からウロコ・・・この本もヤバすぎ!