トラフサンショウウオってどんなイモリ(知らないといけない生態と特徴)

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トラフサンショウウオ

トラフサンショウウオ属のサンショウウオは主に北米に分布する有尾目で、本邦でもペットとして人気があります。アホロートルと呼ばれるメキシコサンショウウオもこのグループに属し、本章では水棲のアホロートル以外の陸棲種のうち、ポピュラーなトウブタイガーサラマンダー、オビタイガーサラマンダー、スポテッドサラマンダーについて解説します。

イモリとサンショウウオの違いは?

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分類

分類: 有尾目トラフサンショウウオ科トラフサンショウウオ属
別名: アンビストマ科(属)、マルクチサラマンダー科(属)

分布

トウブタイガーサラマンダー
アメリカのテキサス州、オハイオ州からフロリダ州北部

タイガーサラマンダー
アメリカのワイオミング州南東部、ネブラスカ州、コロラド州東部、カンザス州、ニューメキシコ州、オクラホマ州、テキサス州

スポテッドサラマンダー
カナダのノバスコシア半島からオンタリオ州中部、アメリカのジョージア州、ルイジアナ州、テキサス州東部

生態

森林や半砂漠地帯などに棲息し、比較的乾燥に強いです。薄明薄暮性で、昼間や真夜中あるいは乾季は地下の巣穴で過ごす地中性の高いです。

食性

動物食で、ミミズ、ナメクジ、クモや昆虫などの節足動物、陸棲の貝類、小型の脊椎動物(魚類、両生類、爬虫類、哺乳類)などを食べます。

身体

全長18~35cm

寿命

10~15年

性質

温和ですが、地中棲傾向が強く、あまり活動的でありません。

特徴

円筒形

ずんぐりとした体型で、円筒状の尾をもち、体側には肋条が入っています。四肢は短いです。

平たい頭

頭部は幅が広く平たく、丸みを帯びた大きな口を持っています。

指趾

前肢は4指、後肢は5趾で、吸盤や水掻きは備わっていません。

模様

本グループは、黒褐色と黄褐色の模様が入ります。

ネオテニー

環境や個体群によっては幼形成熟(ネオテニー)することがあり、本来はトラフサンショウウオ科の幼形成熟個体を総称してアホロートルと呼ばれています。

ネオテニーの詳細な解説はコチラ!

共食い

幼生期に共食いが多く見られることも特徴です。

種類

トラフサンショウウオ属(Ambystoma 属)には、トウブタイガーサラマンダー(A.tigrinum)、オビタイガーサラマンダー(A.mavortium)、スポテッドサラマンダー(A.maculatum)、マーブルサラマンダー(A.opacum)、カリフォルニアサラマンダー(A.californiense)、アミメトラフサンショウウオ(A.cingulatum)、デュメリルサラマンダー(A.dumerilii)、ブラウンサラマンダー(A.gracile)、ジェファーソンサンショウウオ(A.jeffersonianum)、アオボシサンショウウオ(A.laterale)、レルマサラマンダー(A.lermaense)、アホロートル(メキシコサラマンダー、A.mexicanum)、モールサラマンダー(A.talpoideum)などが主な種類として分類されています。なお、A.tigrinum はかつてタイガーサラマンダー(トラフサンショウウオ)と呼ばれ、北米に分布する最大の陸棲有尾目として、多くの亜種が分類されていました。しかし、近年タイガーサラマンダーと呼ばれていた亜種が独立種に昇格したため、基亜種とされていたトウブタイガーサラマンダーのみが本種とされることになりました。そしてA.tigrinumから独立したもので特によく飼育されているのがタイガーサラマンダー(オビタイガーサラマンダー、A.mavortium)です。

マーブルサラマンダー

トウブタイガーサラマンダー(Ambystoma tigrinum

ニューヨークからフロリダまでの大西洋岸で最も一般的に見られます。体色は黒褐色と黄褐色の帯模様で、名前の由来になった虎模様です。しかし、棲息地によって帯模様が細くなったり、太くなったり、あるいは斑状になることもあります。色彩も黄褐色だけでなく深緑色や茶褐色まで変異が見られ、中には模様を欠くものもおり、体色や模様の変異は大きいです。

身体は陸棲の有尾目では最大で、まれに40cmを超える個体もいます。トウブタイガーサラマンダーの幼生は、ウォータードッグ(Water dog)の名前で売られていますが、この名前は本来本種ではなく、マッドパピー(Necturus 属の完全水棲の有尾両生類)の仲間に使われる名前になります。

タイガーサラマンダー(オビタイガーサラマンダーAmbystoma mavortium

カナダ西部、アメリカ西部、メキシコ北部に分布しています。タイガーサラマンダーはトウブタイガーサラマンダーより明瞭な黄褐色と黒褐色の縞模様が入り、オビタイガーサラマンダー(Barred tiger salamander)とも呼ばれています。しかし、亜種により体色や模様に変異があり、模様を欠くものも見られます。亜種は基亜種であるタイガーサラマンダー(A.m.mavortium)、ハイイロタイガーサラマンダー(A.m.diabolic)、ブロッチタイガーサラマンダー(A.m.melanostictum)、アリゾナタイガーサラマンダー(A.m.nebulosum)、ソノラタイガーサラマンダー(A.m.stebbinsi)が属します。

スポテッドサラマンダー(キボシサンショウウオAmbystoma maculatum

アメリカ東部、カナダ南部にかけて分布しています。黒~暗灰色の体色に、多数の丸い黄褐色の斑紋が入るため、キボシサンショウウオとも呼ばれています。腹部には斑紋がありません。トラフサンショウオの中でも地中棲傾向が強く、繁殖期以外はほとんど巣穴から出て活動することはありません。冬の間は地下で冬眠します。

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この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。