半水生イモリの飼育

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水生イモリ

アカハライモリシリケンイモリハナダイモリなどの水生の強いイモリの飼育です。

飼育頭数

多頭飼育も可能ですが、イモリは視力がよくないため、多頭飼育すると同居個体の四肢を餌と間違えて咬みつき、怪我をさせてしまうことがよくあります。多頭飼育の場合、ケージを大きくして十分な広さやシェルター、水草などのレイアウトを考えるとともに、四肢における擦り傷や糜爛が起こらないなど、各個体の状態をしっかり観察して下さい。

水槽

ケージは飼育する頭数に応じて、20~40cm のガラス、プラスチック、アクリル製のケースや水槽を使用します。水槽で飼育する場合は壁面を容易に登って脱走することもあるので、必ず蓋を用意して下さい。蓋はステンレスメッシュ製や穴あきのプラスチック製などで通気性のよいものを選びます。

レイアウト

基本的に半水棲種であるため、水場と陸場を設けます。水はカルキ抜きしたものを使い、水深は体長と同程度かそれ以下を目安にしますが、アカハライモリなどの泳ぎのうまい種類ではなるべく水量を多くした方が水質や水温が安定するうえに、遊泳などの立体的な活動が可能となり、小さな飼育スペースでも活動域を確保できるようになるので、推奨されます。ただし、飼育ケージの重量が増えるため、ケースやその置き場の安定性や掃除などの日常管理の面からも水量やケージの大きさを決定します。

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趣味として自然を模したアクアテラリウムで飼育されることも多いですが、美観を維持するためには掃除などのメンテナンスに手間を要します。

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シンプルな陸地やシェルターを用意するだけでも動物を健康に飼育・管理できるため、生きた植物や床敷(砂利や砂など)は必須ではありません。陸場については、この仲間は遊泳が得意なので、水場の中に身体を乗せられるほどの小さなスペースの陸場をもうけるようなレイアウトで構いません。イモリは遊泳の他に、水底も歩行します。

陸場は流木や石を積み上げてもつくれるが、完全に乾燥した陸地は好まないため、水ゴケなどを敷いて湿度を保つとよいです。

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日常的なメンテナンスを考えると、プラスチックやアクリル製の軽いケースに十分な水量を満たし、スポンジなどの掃除のしやすい陸場をもうけるのみで、水換えによって簡単に衛生的な環境が維持できます。

温度

至適環境温度域(POTZ:Preferred optimal temperature zone)は10~20℃で、涼しい環境を好むため、上限は25℃を超えないようにします。温度管理は夏と冬のみ必要となる。特に夏の高温には注意し、水温を下げる対策が必要です。反対に冬の低温時はケージの下にフィルムヒーターやパネルヒーターなどを敷いて調節することもできますが、室内などで飼育水が凍ってしまう心配がなければ無加熱で飼育することも可能です。低温では代謝も必須的に低下して食欲も落ちますが、食べるだけ餌を与えておけば通常は問題がなく、水温が上昇すればまた餌を多く食べるようになります。

照明

基本的に照明は不要ですが、日内リズムをつける目的として昼間は明るく、夜間は暗くします。また、飼育設備内に植物や水草を入れる場合は、その成長のために光は不可欠となり、観察の目的からも体色を鮮やかに演出してくれる観賞魚用の蛍光灯を使います。

給餌

給餌は週に1~3回の割合で行い、幼体では回数を多く、成体では回数を減らします。餌はイトミミズやアカムシ、小エビなどを与えます。イモリ用のペレットは、栄養のバランスに優れ、水質の悪化も少なくて済むので、食べるようであれば推奨されます。配合飼料を食べない場合は単食を避けて栄養の偏りがないように注意して下さい。基本的には満腹になると餌に興味を示さなくなるので、与えすぎることはないです。餌が残った場合は腐敗したり、ろ過器を目づまりさせて環境を悪化させるので、速やかに取り除くとよい。

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床敷

床敷は特に必要ではないですが、観賞性を重視して砂利などを敷く場合もあります。ただし、餌が床石の中に潜ってしまって食べ残したり、残餌や排泄物が蓄積して水質悪化の原因となる可能性があります。

水の管理

この仲間は水質に神経質なものは少ないが、排泄物などで汚染された飼育水に含まれるアンモニアが体表から吸収されて自家中毒を起こすため、こまめな水換えや濾過機の使用を考慮して下さい。しかし、池や田で生活し、本来強い流れを好まない止水性のイモリ・サンショウウオの場合、強い水流が生じるようなろ過器の使用は避けるべきです。これらの仲間は肺呼吸が発達しており、水中の酸素溶存量は呼吸に重要ではないため、エアレーションは必ずしも必要でないが、水質の安定や夏の水温の上昇防止には一定の効果があります。

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掃除

水槽や床敷が排泄物などで汚染されると、アンモニアが体表から吸収されて自家中毒を起こすため、こまめに取り換えて下さい。両生類は人獣共通感染症(ズーノーシス)であるエロモナス菌やサルモネラ菌を保菌していることが多いです。掃除の後にケージも殺菌するために日光浴や消毒をするように心がけましょう。

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この記事を書いた人

霍野 晋吉

霍野 晋吉

犬猫以外のペットドクター

1968年 茨城県生まれ、東京都在住、ふたご座、B型

犬猫以外のペットであるウサギやカメなどの専門獣医師。開業獣医師以外にも、獣医大学や動物看護士専門学校での非常勤講師、セミナーや講演、企業顧問、雑誌や書籍での執筆なども行っている。エキゾチックアニマルと呼ばれるペットの医学情報を発信し、これらの動物の福祉向上を願っている。

「ペットは犬や猫だけでなく、全ての動物がきちんとした診察を受けられるために、獣医学教育と動物病院の体制作りが必要である。人と動物が共生ができる幸せな社会を作りたい・・・」との信念で、日々奔走中。